軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

601話 扉の先のボス

獣人村の洞窟は、思ったより複雑な作りではなかった。分かれ道は数度しかなく、どのルートでも最終的に辿り着く場所は一緒になっているっぽい。

収穫物や経験値を考えると、俺たちにとってはあまりいい狩場ではないかな? 敵が強すぎるのである。アカリ級のプレイヤーがパーティを組んで、やっと適正って感じだと思う。

回復薬だけは十分にストックがあるので、それを使ってのごり押しで何とか進んできた感じだ。

そして、3時間ほどの探索の末、俺たちは最奥部と思われる場所に辿り着いていた。

「マップは全て埋めましたし、残るはこの扉の先だけです」

「そうだなぁ。行くのか?」

「今回は、これがありますからね!」

アカリがインベントリから取り出したのは、小さなオーブだ。青い光を放っており、神秘的な外見をしている。

このアイテムは、超脱出の玉。使用すると、ダンジョンから脱出できるアイテムだ。最近は普通に出回っている、脱出の玉の上位互換である。

何が超なのかというと、なんとこちらはボス戦の最中でも、効果が発揮されるらしい。つまり、ボスの力を見るためにとりあえず挑んで、負けそうになったら使用するという使い方ができるのだ。

死に戻りのペナルティなしで、ボスの情報を集められるという訳だった。レイドボス戦では使えないなどの制限があるが、面白いアイテムだよね。

自分では使おうと思わんけど。何せ、メチャクチャお高いのだ。第10エリアの町で売っているんだが、1つ50万もした。だったら、デスぺナを受ける方がマシだろう。

ただ、今回は良いアイテムを宝箱からゲットしてしまったので、使うことにしたようだ。一度外に戻ってアイテムを預ければいいんだけど、それだと時間がかかるからね。

まあ、使った時は代金を折半するということで話はついているし、俺もボスには興味があるから今回は挑んでみるのもいいだろう。

「アカリは、早速装備してるのか?」

「はい! いい感じですよ!」

アカリの装備品が、洞窟に入った時と変わっている。宝箱からゲットした装備にチェンジしたのだ。

アカリが入手したのは、虎のブーツという足装備と、蝙蝠のマントというアクセサリーであった。

虎のブーツは防御力が高いうえ、消音効果で足音を小さくしてくれる優れ物だ。しかも、スパイクが付いていて、不安定な場所でも踏ん張りが利く。洞窟探検中に、非常に使える装備が手に入ったね。

蝙蝠のマントは、気配消しと夜陰に紛れる効果があるようだ。スニーク系のミッションには、重宝されるだろう。

アカリはどちらも大喜びだった。

「ユートさんのは、ここの洞窟じゃ使えませんねぇ」

「まあ、俺のはどっちも外のフィールド用だったしな」

俺が手に入れたのは、狼の手斧と、草食獣の鈴というアイテムだ。

狼の手斧は、伐採斧として使える小型の斧で、装備者が狼系のモンスターに襲われなくなるという効果があるらしい。

限定的な効果だけど、狼のモンスターはどこにでもいるし、活躍の場はたくさんあるだろう。単純に、レベルの高い伐採斧というだけで嬉しいしね。

もう1つは、草食獣の鈴というアイテムだ。

これは、使用すると直径30メートルほどの結界のようなものが生み出され、侵入者があると使用者に教えてくれるという警戒系の魔法具だった。

休憩中などに使えば、自分たちで警戒せずとも済むという中々便利なアイテムである。しかも、30回も使用可能だ。

この手のアイテムは多くても10回くらいしか使用できない品が多く、それだけでも高値が付きそうだった。アカリ曰く、最前線のプレイヤーたちからしたら、喉から手が出るほど欲しいアイテムであるらしい。

「では、扉を開きます!」

「おう!」

アカリを先頭に、俺たちは扉の中へと突入した。

中は、巨大なドームのようになっている。天井の高さは優に30メートルを超え、広さも200メートル以上ある。薄暗くていまいち広さが分かりづらいんだが、場所によっては300メートル以上はあるかな?

俺は、このホールを見て嫌な予感しかしなかった。それは、アカリも同様だったらしい。

「なあ、こんだけ広いってことはさぁ……」

「ユートさんも、そう思います?」

「ああ」

ボスフィールドというのは、大抵そこに出現するボスのサイズに合わせて作られる。小さいボスならフィールドも小さく、大きければフィールドも広い。

最低でも、ボスの動きが阻害されない広さがあるのだ。これからもそうとは限らないが、少なくとも第10エリアまではそうだった。

では、これ程広いフィールドが用意されている場合は?

その答えは、すぐに判明した。

「うわっ! なんかいるんだけど!」

「首が三つあるライオン? すっごく大きいですねぇ」

そのフィールドを先に進むと、闇の向こうに巨大な影が見えた。さらに近づくと、その正体が見えてくる。

そこにいたのは、金色の体毛が闇の中でも輝いている、巨大なライオンだった。まだ寝そべっている状態でも、その大きさは理解できる。

立ち上がったら、全長30メートルくらいはあるかもしれない。

しかも、首が三つあった。ケルベロスのライオンバージョン? あの大きさだし、明らかに強敵だろう。

さらに、俺たちを驚愕させた事実がある。

まだ戦闘状態に入っていないのに、赤いマーカーとHPバーがハッキリと見えていたのだ。これは、レイドボスの特徴であった。

「超脱出の玉って、レイドボス戦だと使えないんだよな?」

「はい」

「……とりあえず、洞窟から脱出しようか?」

「……賛成です」