軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

597話 チャガマ検証

妖怪召喚の検証で呼び出したチャガマに、引き続き色々とやってもらおう。

「チャガマ、招福は使えるか?」

「ポコ」

「無理?」

「ポン」

俺の言葉に、首を振って答えるチャガマ。今は招福を使えないらしい。どうやら、能力を使う際、クーリングタイムが必要であるようだ。

各能力にそれぞれクーリングタイムがあるわけではなく、妖怪が何かの能力1つ使うごとに、次に何かをするまで少しの休みが必要なのだろう。

「じゃあ、直接攻撃はどうだ?」

「ポン!」

俺の指示に、チャガマは柄杓を咥えて駆け出していった。普通の攻撃などであれば、問題ないようだ。

走る姿を初めて見たけど、こういう時はやっぱり4足であるらしい。

鉄の茶釜に短い手足が生えた鈍重そうな姿なのに、驚くほど速く走っている。もう少しで接敵というところでピョーンと跳び上がると、口の柄杓を手に取るチャガマ。

そして、その柄杓をファットホーンに向かって叩き付けた。

「ポコー!」

「ブモォォ!」

ポコンという可愛い音と共に、ファットホーンのHPがほんの少しだけ減る。メッチャ弱いが、ファットホーンを怒らせるには十分だったらしい。

「ブモモモォー!」

「ポコー!」

あ、角攻撃を食らって吹き飛ばされた。

「ちょ、大丈夫かチャガマ!」

「ポ、ポン……」

やべぇ! HPが残り1割くらいしかない! クリティカルとかじゃなかったよな? 妖怪、弱すぎないか? 多分、ファウよりも打たれ弱いと思う。

いや、それも当然か?

妖怪の強さは、召喚スキルのレベルによって変化するらしい。今の妖怪召喚はLv1だし、妖怪もLv1扱いになっているはずだ。むしろ、一撃で死ななかっただけでも、運がいいと言えるかもしれない。

「ポーション、効くか?」

「ポコー」

「おお、この辺は普通にモンスと同じか」

範囲回復と招福は使って行きたいし、スキルレベルがある程度上がるまでは後衛として頑張ってもらうしかないかな?

「チャガマ、後ろに下がって皆を援護だ。招福はもう使えるか?」

「ポコ!」

チャガマは一番後ろまで下がると、招福スキルを使用した。踊るのは茶芸と同じだが、手に持っているのは柄杓ではなく、鶴と亀が描かれた扇である。

チャガマがクルクルと舞い踊っていると、俺の体が微かに光った。

「ほうほう。この状態は、ヘソ茶を飲んだ時と一緒だな」

「どんな感じです?」

「招福状態だってさ」

確認すると、招福という状態になっているのが分かる。

ヘソ茶と同じだとすると、戦闘中は意味がないが、ドロップ率が上がるはずだ。あとは、生産や採取にも影響があるはずである。まあ、あまり実感したことはないけど。

ボス戦などでもかなり有用かもしれん。ファウでも、招福効果のあるバフは使えないし。一番最初に喚び出して招福を使ってもらって、あとは茶芸で回復&タンク役って運用かな。

その後、アカリの攻撃でファットホーンを倒した俺たちは、そのまま大荒原を進んだ。俺のチャガマとアカリのスネコスリは、未だに召喚されたままだ。

この辺も、サモナーの完全召喚と同じであるらしい。1時間毎に維持コストがかかるので、ずっとパーティに入れ続けるのは難しいかもしれないな。

まあ、しばらくは妖怪たちを引き連れて、様子を見てみよう。

チャガマの招福は、戦闘中にしか使えないらしい。通常の採取前などには、発動できなかった。ただ、一度使用すれば戦闘中はずっと効果が続くようなので、ボス戦などでは最初に発動する方がお得だろう。つまり、チャガマの招福=ドロップ率上昇と考えていいだろう。

あと、茶芸は普段でも問題なく使えている。能力によって、使えるタイミングに差があるようだ。

チャガマに関してはある程度情報が集まったので、途中でハナミアラシと入れ替える。俺たちよりも大きな、ピンク色のクリオネだ。それが浮いているんだから、かなり目立つだろう。

あと、移動が結構遅い。これは、フィールドを進む時に呼び出すタイプじゃないかもな。良い点と言えば、HPがかなり高いという点だろう。

Lv1相当であるはずなのに、大荒原のモンスターの攻撃を食らって、3割程度しかHPが減らなかった。

妖怪召喚のスキルレベルが上がったら、凄まじい体力の超タンクとなるんじゃないか? 倒れることなく敵の攻撃を受け止めながら、状態異常をばら撒くタンク。考えただけで厄介だ。

妖怪召喚、育てば強いかもしれない。

そんな風にして、大荒原を歩き回っていると、リリスが何かに気づいたようだ。

「デビ?」

「なんだ? 何か見えるのか?」

「デビ!」

もう辺りはすっかり夜で、俺たちには遠くがあまり見えない。ただ、夜目が利くリリスには、かなり遠くまで見えているのだろう。

「妖怪か?」

「デビ?」

「違うのか?」

「デビー?」

「……行ってみりゃわかるか」

彼女に導かれるように大荒原を進むと、微かに人影が見え始めていた。妖怪じゃないっぽいな。

「あー、旅人さんだー」

現れたのは、1人の少女だ。灰色の髪の上には、灰色の犬耳が乗っている。

マーカーからすると、NPCかな? こんな時間にこんな場所で、何をしてるんだ?