軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

593話 幽鬼戦終了

幽鬼との戦闘は終了したが、イベントはまだ終了ではない。

「ユートさん、こっちきますよ!」

「お、落ち着けアカリ。これも知ってただろ」

「ですけど、怖いものは怖いんですよぅ!」

影のある美女風の姿に変化した幽鬼が、音もなくスーッと近づいてきた。河童の時と同じである。

ただ、まだ半透明のスケスケで、ちょっと浮いている幽霊丸出しの姿だし、妙に移動が速くて驚いてしまうのだ。

「ウアァァ」

「こ、これでいいか?」

「ウア」

まじでオッケーなのか。早耳猫情報でこれが幽鬼の好むアイテムだと分かっていたが、改めて喜んでいる姿を見ると驚きである。

俺が幽鬼に手渡したのは、高品質の毒薬であった。オバケも毒キノコを食べていたし、ゴースト系の存在は毒を好むらしい。

「ウアー」

毒薬の瓶を高々と掲げて、微笑んでいるような表情を見せる幽鬼。

何に使うのか不安になる姿だね。確実に復讐の匂いしかしない絵面だが、大丈夫?

『幽鬼と友誼が結ばれました。一部のスキルが解放されます』

「おー、きたきた!」

「私もです」

図鑑に幽鬼が登録され、スキルが2つ解放された。

「スキルは『絶叫』と『幽鬼の手』ね」

絶叫は大声を出して、聞いた敵を状態異常にするという、幽鬼が使っていた攻撃である。うちは状態異常をよく使うし、悪くないだろう。

幽鬼の手は、防御を無視したダメージを与えるスキルらしい。

幽霊系統の敵の攻撃を再現できるってことかね? ダメージはあまり高くないそうなので、習得するかどうかは微妙な感じである。射程が短いので、俺には扱いきれないかな?

妖怪図鑑はこれで5種類だ。ハナミアラシ、ブンブクチャガマ、スネコスリ、河童、幽鬼である。

5種類登録で何か起きるんじゃないかと思ったんだけど……。何も起きなかったね!

俺が図鑑を見ながら残念がっていると、アカリもウィンドウを見て唸り声を上げている。

「うーん」

「どうしたアカリ?」

「せっかく図鑑に登録したんだし、スキル取ろうかどうか迷ってまして」

「妖怪召喚スキルか?」

「はい」

テイマーのテイムスキルや、サモナーのサモンスキルと同じように、陰陽師の妖怪召喚スキルは他の職業でも習得可能だ。ただ、テイマーの固有スキルである従魔術と同じように、陰陽師の護符術は他職業では覚えられないらしい。

護符術は妖怪の力を護符に封じて、使用することができるスキルだ。攻撃以外にも様々な力を発揮するらしく、意外に汎用性が高いスキルであるそうだ。

護符術がない場合は、普通に召喚して攻撃を放ってもらうだけになるが……。

「妖怪の数が増えなきゃ、あまり使えるスキルじゃないと思うけど」

「そうなんですよねぇ。ユートさんはとらないんです?」

「……悩み中だ」

「ですよねぇ」

やっぱ、数の少なさがネックである。せめて、10種類くらい召喚できるんなら、普段から使っていけそうなんだけど……。

悩んでいると、アカリが決意したような顔で大きく頷いた。

「私、妖怪召喚を取得します!」

「え? まじか?」

だって、アカリは俺よりも図鑑の妖怪数が少ないんだぞ? それだったら、他の魔術でも取得した方が役に立つと思うが……。

「だって、いずれ覚えるつもりだったんですよ? だったら、今から使ってスキルをレベルアップさせた方がいいじゃないですか」

「な、なるほど」

目から鱗だぜ。確かに、どうせその内取得するんだ。確実に。だったら、今覚えてしまっても同じじゃないか?

「うーむ。言われてみたらそうかもしれん」

「でしょ! かわいい妖怪さんをいつでも呼び出せる夢のスキルですよ。絶対必須でしょう!」

「だな。それに、有用な妖怪が手に入った時に慌ててスキルを覚えるよりも、今からちょっとずつ育てるのはありかもしれん」

「はい!」

俺がアカリと頷き合っていると、オルトたちがローブの裾を引っ張ってきた。

よほど飽きてきたらしいな。皆で俺の周りに集まって、グイグイのワイワイだ。引っ張られ過ぎて、ガクンガクン揺れている。

「ムムー」

「ヒムー」

「どうしたお前ら? 飽きちゃったか? もうちょっと待ってくれ。そうだ。妖怪召喚スキルを覚えようと思うけど、どう思う?」

「フマ?」

「フムムー!」

「ヒヒン!」

どうやら、大賛成であるらしい。ルフレが指を二本立てて印っぽい物を結ぶと、キャロたちがやられたふりをする。陰陽師ごっこなんだろう。

それを見て、他の子たちも大喜びだ。ファウなんか、ちょっと和っぽいゆっくりとした音楽を奏で始めた。

「ヤ~ヤヤ~♪」

音楽即売会で手に入れたやつだろう。

「よし、それじゃぁ――オッケー。覚えたぞ」

「私もです!」

「とりあえず、一回使ってみようかね?」

「そうですね」

スキルを起動すると、召喚可能なリストが現れる。やはり図鑑の妖怪たちだ。

「えーっと、召喚スネコスリ!」

「スネー!」

「おお! 成功だ!」

「可愛いですー!」

現れたスネコスリを観察していると、すぐにその姿が虚空へと溶けるように消えてしまう。

「スネ? スーネー!」

「あ~。消えちゃいましたー」

「なるほど。召喚して攻撃対象を指定しなかったら、数秒で送還されてしまうわけか」

これは、妖怪の数をどんどん増やさなくちゃな!