軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

566話 洋館

「わざわざ出迎えてもらって悪いな」

「今日はホームで鍛錬をしていたんで、わざわざって程でもないですよ」

セキショウがニャムンちゃんのイベントに参加していたように、他のメンバーも各々のオフを満喫しているらしい。

コクテンはホームに作った訓練室で、NPCの木人相手に模擬戦をしていたそうだ。俺は全く興味がないから知らなかったけど、戦闘やダンジョンを疑似体験できる訓練場をホームに設置できるという。

「木人か~」

模擬戦に興味はないけど、木人は興味があるのだ。

「じゃあ、案内しましょうか?」

「いいのか? なんか悪いな」

「いえいえ、どうせ暇なので」

セキショウがそのまま、木人だけではなくホーム内を色々と案内してくれた。うちと違って、パーティメンバー別に個室があるので、共用の部屋数は意外と少ないらしい。

コクテンが使っていた訓練室以外だと、戦闘中の映像をコマ送りなどして解析できるアナライズルーム。鍵開けや罠解除の訓練ができるトラップトレーニングルーム。装備品の耐久力を少しだけ回復できるリペアルーム。

さすが戦闘メインのトップパーティなだけあって、ホームの部屋も戦闘関係ばかりだ。

そして、うちのホームには必須の調理場や、モンスとの触れ合いルーム。畑や生産所は一切存在していなかった。

洋館と日本家屋というだけではなく、内側も我が家とは正反対のホームである。

「他のプレイヤーのホーム見る機会なんてなかなかないから、楽しかったよ」

「それならよかったです。うちは外観は綺麗ですけど、内装はほとんど手を入れてないんで。あんまり人を呼べるようなホームではないんですよね」

そう言えば、インテリアやオブジェクトがほとんどなかった。趣味のアイテムは各々の部屋に置いてしまうため、リビングなどの共用スペースはあまりいじっていないようだ。

備え付けの棚などが、少し寂しい感じだった。

「なるほどな……。そうだ! それなら引っ越し祝いとして、これを進呈しよう!」

ちょうど良い物を持っていたのだ。このリビングにピッタリだろう。

「これって、お皿ですか?」

「ああ、骨董品だけど、この家に合うだろ?」

俺がセキショウに渡したのは、ドゥーベ工房の飾り皿だった。明らかに洋風なので、このホームにしっくりくる。

いくつかあるし、2、3枚なら渡しちゃってもいいだろう。

「こんな良さげな物……」

「いやいや、高そうに見えるけど、そんな高価なものじゃないから。遠慮なく」

確かに、一見すると価値がありそうに見えるだろう。だが、元値は2、3000Gだし、俺にはこれくらいしかできないからね。

「そうですか? では、遠慮なく」

「リビングの棚に、ようやくインテリアが置けるな~」

コクテンたちは喜んでくれているようだ。セキショウが飾り皿を手に取ると、いそいそとリビングに備え付けられていたと思われる棚に向かった。

彼らが言う通り今は何も置かれておらず、スカスカである。そこに皿が置かれるだけで、部屋が華やいだ気がするから不思議だ。

「へー、これだけでも変わるものですね。もう少し、インテリアにこだわってみるのもいいかもしれません」

「じゃあ、ニャムンちゃんのポスターとかどうだろうか!」

「ないな」

「……うん、分かってた」

提案をコクテンに一蹴され、肩を落とすセキショウ。すまん。ちょっとかわいそうだと思いつつも、この素敵リビングがセキショウの趣味に侵食されなくてよかったと思ってしまったのだ。

「白銀さん。このお皿って、どこで買ったんですか? 私、他のアイテムも見たくなってしまったんですが」

「お、いい趣味してるね!」

別に俺が作ったわけじゃないんだけど、自分がいいと思ったものを褒められるのは嬉しいものなのだ。ただ、ドゥーベ工房の他の作品と言われてもね……。

「教えたいのは山々なんだけど、1つのお店で手に入れたわけじゃないんだよ」

俺は骨董知識を使い、様々な露店でバラバラに購入したことを教える。

「あー、そういう感じなんですね」

「うちだと無理だなぁ」

ポイントのほとんどをステと戦闘スキルに振ってしまっているコクテンたちにとって、たった2ポイントでも戦闘に関係ないスキルに振るのは厳しいんだろう。

「じゃあさ、こういうのはどうだ?」

「ほほう? これも綺麗なお皿ですね。むしろ、さっきのお皿よりもうちには合うかもしれません」

「だなー。これ、ぜひ欲しいね!」

「うちのヒムカ作の皿だ! 好きなの選んでくれ。これも、引っ越し祝いってことで、進呈するからさ」

ヒムカの磁器の中でも、できがいい奴はとってあるんだよね。まあ、どこかで使うあてがあるわけじゃないんだけどさ。

その中でも、この洋風リビングに合いそうな壺やティーセットをいくつか取り出してみたのだ。

「いやいやいやいや! 受け取れませんよ!」

「オークションでいくらついたと思ってんすか!」

「これは出品したカトラリーセットと違って、ヒムカが練習で作ったやつだから。正直、そんな高くはないと思うぞ?」

材料費も安いし、俺がとっておかなかったら無人販売所で適当に売ってただろう。あれも、未だに飽きられたりせずに、並べたらコンスタントに売れるんだよね。

ゲームに慣れてきたら料理やおやつに力を入れたくなるのは分かるし、もうしばらくは売れるんじゃないかな?

「お金払いますから」

「いいよ。本当に」

「ですが――」

「いやいや――」

あかん。いつもの頭の下げあいになってしまった。コクテンはお金を払うの一点張りで、受け取ろうとはしない。そこで俺は、あるお願いをすることにした。

「じゃあ、ちょっと倒せないボスがいるから、そいつ一緒に倒しに行かないか?」

「お? それ、いいんじゃないか?」

「そうですね。私たちの得意分野ですから」

どうやらコクテンたちも乗り気になってくれたようだ。

「まあ、まだコクテンたちを連れて行けるか分からんけど」

「どこのボスですか?」

「見習い騎士の森っていうフィールドなんだけど、知ってる?」