軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

56話 勢いで第2エリア

回復薬類を使い果たしてしまったが、なんとかフィールドボスに勝つことができた。危なかったぜ。俺も含めて従魔たちもHPが半減しているうえ、MPはほとんどないからな。

ただ、格上との激戦だっただけあり、俺たちは全員がレベルアップしていた。これでリックのLv10も達成できたってことだな。

というか、俺も基礎Lvと職業Lvが10になった。基礎Lv10になると、取得可能なスキルが色々増えるらしい。そして、職業Lvが上がったおかげで、配魂増加という特殊スキルを覚えた。これを持っていると、従魔が卵を産みやすくなるらしい。

リックもLv10になった時に逃げ足スキルを覚えた。これは俺も持っている、逃げやすくなるスキルだ。リックは採集で単独行動もするからな。役立ってくれそうだ。

名前:ユート 種族:ハーフリング 基礎Lv10

職業:テイマー 職業Lv10

HP:15/35 MP:14/45

腕力:4 体力:4 敏捷:8

器用:8 知力:12 精神:6

スキル:気配察知:Lv8、採取:Lv9、使役:Lv10、従魔術:Lv11、調合:Lv16、杖:Lv7、テイム:Lv3、逃げ足:Lv3、農耕:Lv10、伐採:Lv5、水魔術:Lv9、料理:Lv13、錬金:Lv16、植物知識:Lv9、手加減

New 配魂増加

名前:オルト 種族:ノーム 基礎Lv11

契約者:ユート

HP:15/35 MP:10/43

腕力8 体力7 敏捷6

器用13 知力14 精神10

スキル:育樹、株分、幸運、収穫増加、重棒術、土魔術、農耕、採掘、夜目、栽培促成ex

装備:土霊のクワ、土霊のマフラー、土霊の衣

名前:サクラ 種族:樹精 基礎Lv13

契約者:ユート

HP:22/42 MP:12/44

腕力10 体力12 敏捷7

器用8 知力12 精神15

スキル:育樹、樹魔術、光合成、採取、再生、忍耐、鞭術、水耐性、魅了、木工、森守

装備:樹精の鞭、樹精の衣

名前:リック 種族:灰色リス 基礎Lv10

契約者:ユート

HP:15/29 MP:13/23

腕力7 体力9 敏捷18

器用8 知力5 精神8

スキル:警戒、採集、剪定、跳躍、登攀、前歯撃、頬袋

New 逃げ足

装備:赤いスカーフ

名前:クママ 種族:ハニーベア 基礎Lv9

契約者:ユート

HP:25/45 MP:10/32

腕力15+3 体力11 敏捷8

器用10 知力6 精神6

スキル:愛嬌、大食い、嗅覚、栽培、爪撃、登攀、毒耐性、芳香、養蜂

装備:ドッグジャケット+、ドッグシャツ+、ドッグアスコットタイ+

「さて、この後どうしよう」

正直、このまま始まりの町に戻れるかどうか微妙だ。回復手段もないし。

しかもすでに夜の帳が下りていた。モンスターのレベルも出現数も、昼と段違いに上昇している。今の俺たちに北の平原を突破できるか?

だったら、第2エリアに行っちゃおうか? 入ってすぐの場所にセーフティーゾーンがあるっていう話だし、そこまで行って、ログアウトして朝を待つか?

でも第2エリアのモンスターに夜に遭遇したら? 消耗している今の状態で平気か?

「うーん。よし、ここは多数決だ! このまま進む方が良いと思う人!」

「ム!」

「キュ!」

「クマ!」

サクラ以外は全員手を挙げたな。決まりだ。

「じゃあ、第2エリアのセーフティーゾーンまで進むか」

10分後。

「くそっ! もうちょっとでセーフティーゾーンなのに!」

「オオオォォオォォン」

俺たちの目の前には、半透明で薄く光る人型のモンスターたちが浮かんでいた。まあ、ぶっちゃけて言えば幽霊だな。

「何だよこいつら!」

来る気が無かったとはいえ、俺だって第2エリアの情報は一通り仕入れてある。テイマーとして、モンスターに関しては完璧に情報を仕入れてあった。

その情報の中に、幽霊やゴーストに見間違えるモンスターの話なんか無かったはずだ。勿論、幽霊自体が出るという情報もない。

「名前は、レッサー・ゴーストか」

やはり聞いたことが無い。

「ウオォォオォォン」

ここから逃げるのは難しそうだった。敵はゴーストだけではないのだ。

「クルルル」

可愛らしい小熊が2体、俺たちを威嚇している。クママの親モンスターでもある、リトルベアだ。ゴースト3体と一緒に俺たちを囲んでいた。

セーフティーゾーンが近いからといって、ちょっと焦りすぎた! もっと慎重に、リックに警戒してもらいながら進むべきだったんだ。俺の気配察知が仕事をしたときには、ゴーストに接近されてしまっていた。

それでも何とか逃げようとしたんだよ? でもゴーストは素早くてモンス連れじゃ逃げることができなかったうえ、逃げた先でリトルベアにも遭遇するという最悪展開である。

これはもう戦って勝つしかなさそうだ。

「仕方ない、やるぞ!」

とか言って戦い始めたんだが……。

「クマ! クマ?」

「キュー?」

目の前に立ち塞がるゴーストにクママとリックが飛びかかった。しかし、ダメージを与えられずに突き抜けてしまった。サクラの鞭もだ。

ちっ、魔術しか効かない系の敵か!

俺は慌ててアクアボールを詠唱しはじめた。だが、その間にもゴーストの攻撃が俺に集中する。

何でかと思ったら、攻撃がすり抜けている従魔たちの攻撃は全くヘイトに関与していないらしい。そして、魔術の詠唱を始めた俺のヘイトだけが高まったんだろう。

サクラやオルトにも魔術を詠唱させればよかったんだが、詠唱中は指示が送れない。皆が俺を守ろうとゴーストに立ちはだかるが……。

「ムム?」

「――?」

実体が無いゴーストは、オルト達をすり抜けて俺に襲い掛かった。

ゴーストの体当たりが俺に直撃する。だが、予想していた衝撃は一切なかった。なんかヒンヤリした感覚が一瞬だけ背筋に走り、次にはもうゴーストは俺をすり抜けていった。

何だ? 攻撃にファンブルしてくれた? そう思ったんだが、違っていた。俺のHPバーが減っているし。どうやら衝撃などはなくとも、きっちりダメージを与えてくるらしい。

やばい、このままゴーストに集中攻撃され続けたら、俺のHPが削りきられる!

死に戻りを覚悟し始めたその時だった。

「助けますよー!」

背後から少女の声が聞こえてきた。そして、介入を承諾するかどうかというアナウンスが聞こえる。

「しょ、承諾します!」

「了解です! サークル・エッジ!」

そんな叫びとともに、俺に群がっていたゴースト3体が消滅する。

「え?」

まさか、こんな一瞬でゴーストが倒されるとは思っていなかったので、俺は一瞬惚けてしまった。

「こっちは良いから、早くリトルベアをどうにかした方が良いですよ!」

「あ、はい」

そうだ、今はまだ戦闘中だ。ゴーストは消滅したが、リトルベアが残っている。俺たちはその女性プレイヤーの助言に従って、残ったモンスターを倒したのだった。

「助かった……のか」

今も生きているのが信じられん。

「危なかったですねー」

「ありがとう」

俺は近づいてきた救世主に深々と頭を下げた。燃えるような赤いツインテールの、軽装系の装備をした少女だ。見た感じは高校生くらいに見える。まあ、このゲームで外見年齢はあてにならないけどね。

「いえいえ、困ったときはお互い様ですから。それに辻ヒーロープレイもしてみたかったですし」

LJOは、ボス戦などの特殊な戦闘でなければ戦闘時の介入が限定的に可能だ。勝手に手助けをしたり、パーティに加入することはできないが、1回だけスキルやアーツ、アイテムを使用して他のパーティの助力が出来るのだ。

助けられる方にデメリットはない。あるとすれば、たまにお礼の言葉を強要してくる押しつけがましい奴が居るくらいだろう。

回復魔術などのレベリングの為にあえてHPを減らしているのであれば承諾せずに断ればよいし、獲得できる経験値やアイテムが減ってしまう訳でもない。

ただ、助ける方は大した利益は見込めない。確実に得られるのは助けたパーティが得た経験値の5%だけ。アイテムと金は一切手に入らない。

ぶっちゃけ、自分でモンスターを倒す方が簡単で手っ取り早いだろう。

これは、低レベルのパーティーが強いパーティに寄生するのを防ぐための措置らしい。完全に善意の助力という扱いなのだ。

「俺はテイマーのユート。助かったよ」

「私はソードレンジャーのアカリです」

「さっきのは剣のアーツか? レッサー・ゴーストにダメージが通ってたみたいだけど」

「ああ、アーツの効果じゃなくて、剣の効果です。この朝霧のクレイモアは、水属性があるので」

ルインが使っていたメイスと同じ効果ってことだな。便利だね。

「お兄さん、これからどうするつもりです?」

「一応、セーフティーゾーンに向かうつもりだったんだ。夜のフィールドを町まで戻るのは無理そうだからね。回復アイテムもないし」

「なるほどー。じゃあ、セーフティーゾーンまではご一緒しましょうか?」

「……いいのか?」

「はい。私も戻るところでしたし」

天使だ! 天使様が降臨されたぞー!

「お願いします」

「ム!」

「――♪」

「キュー」

「クマッ」

オルト達も一斉に頭を下げた。それを見たアカリが黄色い声を上げる。

「か、可愛い! 可愛いですねユートさん!」

うちの子たちは女性プレイヤーに人気だねー。アカリはオルトの頭を撫でようとして、ハラスメントブロックに阻まれて悲しげな顔をしていた。ただ、この状態で俺からフレンド登録を申し込んだら、完全に寄生プレイヤー、もしくはナンパじゃないか? なので、向こうから言い出すのを待つことにした。

「じゃあ、行くか」

「は、はい。行きましょう」