軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

554話 路地裏の宿屋

第5エリアを順番に回ってみると、ドゥーベ工房の作品がいくつか出回っていた。どれもきれいな絵が付けられた、食器類だ。

一緒に飾るにはちょうどいいだろう。揃ったら何か効果でもないかと思ったが、ただのホームオブジェクトでしかないらしい。

まあ、散歩もできたし、面白かったからいいけどさ。

「次は、始まりの町に戻って露店を冷やかしてみようかね?」

掘り出し物を見つけるのが面白くなってきたし、始まりの町でも骨董品が売られているかもしれない。こうなったら、今日は骨董品屋巡りをしてみよう。

ということで、俺は始まりの町に戻ってみた。モンスたちを入れ替えて、散歩も兼ねて歩き回る。

すると、意外にもそれなりの数の骨董品屋があった。今まで興味がなくて見落としていたのか、骨董知識のお陰で見えるようになったのか。しかも、売っている骨董品のランクは、第5エリアと変わらない。

リアルでも蚤の市とかで骨董品を探す人がいるのが、ちょっと分かるな。宝探しみたいで、ワクワクするのだ。

そうして俺は、始まりの町でもいくつか面白い品を手に入れることができていた。特に気になったのは、メラクという工房の焼き物だ。

メラク工房の品は、ちょっと中華風の磁器だった。白地に青い絵が描かれた、花瓶などだ。この工房の磁器も、本来は3~5倍くらいの価値がある。

ドゥーベ工房のものとはまた違う魅力があり、俺はここの工房の品も集めてみようと決意していた。

結局、その後は第3、7エリアも巡ってしまったぜ。第9エリアにもいこうかと思ったのだが、途中で第5エリアを回り尽くしていないことに気が付いた。

露店は巡ったが、裏路地の道具屋的な場所は見落としていたのだ。別にスルーしてもいいんだけど、せっかくである。まずは第5エリアを虱潰しにすることにした。

見落としているって気づいたのに放置するのは、なんとなく気持ち悪いしね。

そうして、NPCの道具屋を探して町を歩いていると、ちょっと変わった建物を発見していた。メイン通りから一本入った路地裏にある、一軒の宿屋だ。

ちょっと分かりにくいけど、周辺にはNPCのお店も多いから、発見不可能って程じゃないだろう。

俺が気になったのは、宿屋の表記の下にある、馬のような看板だ。しかも、宿のサイズが微妙に大きかった。

「これってもしかして、厩舎的な施設がありますよってこと?」

「ヒン?」

「獣魔ギルドの庭みたいに、NPCの馬と触れ合えたりしないかな?」

俺の知らない騎乗モンスがいたりするかもしれない。これは、突撃してみるしかないだろう。

俺はモンスたちと一緒に、宿屋に入ってみることにした。

「失礼しまーす」

「ヒヒーン」

「いらっしゃいませ!」

扉を開くと、すぐに受付であった。可愛いブラウンポニーテールの少女が、にっこりと笑いかけてくれる。

「どのお部屋をご希望ですか?」

「あ、えーっと……」

この宿屋は、ログアウト用の簡素な部屋と、一時利用可能な簡易ホームの2種類が存在しているらしい。

泊まりもせずに、厩舎を見せろは失礼過ぎるだろう。なら、今日はここを宿に使うのもいいかもしれない。

どうせ、露店を見て回るだけだし。

ログアウト部屋を選ぶと、自動的に部屋でログアウトという形になる。だとすると普通の部屋だ。ただ、これがいくつかグレードが存在していた。

とりあえず一番安い部屋をと思ったら、値段の隣に馬マークが付いているものがあることに気づいた。どれも少しお高めだ。

このマークが付いているやつは、騎乗モンスを預ける厩舎の利用料が上乗せされた料金であるらしい。

うちの場合、意味なくね? だって、キャロはサイズが小さいので普通に部屋に入れる。厩舎を利用するメリットがなかった。というか、部屋に入れないサイズのモンスの場合、宿に泊まると自動的に獣魔ギルドに送られるのだ。

だとしたら、厩舎とは何ぞや?

「厩舎に預けられるのは、騎乗スキルを持った従魔のみです。預けていただいている間は誠心誠意お世話をさせてもらうので、きっと従魔ちゃんも満足してくれると思いますよ?」

従魔を預けるとお世話をしてくれて、好感度的な物が上昇するってことらしい。お金を払うわけだし、その効果は結構期待できるのではなかろうか?

それに、これはチャンスだ。

「あのー、厩舎を見せてもらったりはできませんか?」

「いいですよ」

「ありがとうございます」

よし! これでモフモフと触れ合えるかも!

ウキウキしながら厩舎に向かうと、そこには空の馬房が並んでいた。今は預かっている馬などはいないらしい。

「どうかされましたか?」

「あ、いや、なんでもないんです。ここに、騎乗モンスを預けられるんですね?」

「はい」

馬房は非常に清潔だ。それに、床は絨毯で、クッションや布団まで置かれている。馬房と言ってしまったが、騎乗モンス用の部屋って感じだった。

好感度が上がるなら、預けてみるのも面白いだろう。ホームができてからはずっと日本家屋で寝泊まりしてたし、たまには洋風の宿で休むのもいいかな?

「じゃあ、今日はこちらでお世話になります。部屋は、普通の部屋で。この子は厩舎でお願いします。キャロ、挨拶しろ」

「ヒヒン!」

「はい、ありがとうございます! キャロちゃんのことはお任せください。あと、朝食は期待していてくださいね」

おお、朝食が付くのか。そういえば、こっちの世界で宿の朝ご飯を食べたことないかもな? 今から楽しみだ。