軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

552話 骨董品探し

「よいしょー!」

「ムムー!」

「よし、ついにきたぞ!」

「ココーン!」

「ちょ、暴れるなって! すぐに逃がしてやるから!」

俺の手の中で、今捕まえたばかりの狐が暴れている。

実は、これが動物知識の習得条件なのだ。町中やフィールドにランダムで出現する動物を手なずけて、抱っこするというものだった。

個体によって好物や行動が違うので、結構根気がいる。俺も、庭に出現した狐に近づけるようになるまで、4時間もかかってしまった。

『野生生物と触れ合いました。条件を達成し、取得可能スキルが一部解放されました』

待ちに待っていたアナウンスが聞こえる。

「またなー」

「ムムー」

逃げる狐を見送り、俺はスキルウィンドウを確認した。取得可能スキルの一覧に、しっかりと動物知識が表示されている。

実は、鉱物知識、水生知識に関してはかなり前に条件を満たしていた。ただ、あまり必要性を感じなかったので、取得していなかったのである。

ただ、最近はボーナスポイントにも余裕があるし、興味あるスキルを取っちゃってもいいかなーと思ったのだ。

因みに、鉱物知識は、採掘場所以外の岩や石をつるはしで壊すこと。水生知識は、名前のない雑魚を素手で一定数捕まえることが取得条件であった。

うちの場合、普段の遊びや冒険の中で、自然と条件を達成していた。

「これで、植物、動物、水生、鉱物知識ゲットだ」

「ム!」

「だが、これで終わりじゃないぞ」

「ム?」

「ふふふ、実は早耳猫でしっかりと情報を仕入れているんだ!」

「ムー!」

情報料の受け渡しの時に、アリッサさんから情報を売ってもらっていたのである。サービスしてもらっちゃったから、結局タダだったけどさ。

俺がゲットしたのは、骨董知識に関しての情報だった。

あのスキルスクロールを持っていたということは、早耳猫も骨董知識というスキルが存在していると判っていたはずだ。

彼らが放置しているはずがなかった。絶対に検証をしているだろう。そう思って話を聞いてみたら、なんと取得条件までしっかりと手に入れていた。

いやー、さすが早耳猫である。

本来の情報料は10万。高いのか安いのか、微妙なラインだろう。実は、あまり実用性がないスキルらしく、今のところこの値段であるそうだ。

アリッサさんに「使い道を発見して、スキルの価値を上げてね!」と言われたけど、そんな簡単にいくわけがない。

そもそも、明確な使い方を考えていないのだ。ぶっちゃけ、知識系を集めると決めてしまったからには、このスキルも欲しくなってしまっただけなのである。

「じゃあ、バザーに行くか」

「ム!」

骨董知識の取得条件は、同日に鑑定スキルを用いずに骨董品を10個購入すること。しかも、その中に売値よりも倍以上の価値がある物が混ざっていること、である。

簡単なようでいて、意外と難しいのだ。

まず、普通のプレイヤーはアイテム購入前に鑑定をするクセが付いている。そのため、鑑定スキルを使用しないという条件は、自力で達成するのは意外に難しいのだ。言われなければ俺も気づかなかっただろう。

また、売値よりも倍以上価値がある骨董品も珍しく、これを鑑定なしで引き当てるのはかなりの運が必要だった。

第5エリアのバザーへとやってくる。ここはNPCが多く露店を出しており、骨董品の類も売られているのだ。

「さっそく見て回るか」

「ム」

「フマー」

モンスたちと連れ立って露店を回る。ただ、鑑定なしでは全く分からん。俺は数を揃えることを優先して、安い骨董品を適当に買い込むことにした。

一応、ホームで使えそうな花瓶なんかを優先してるよ?

すると、5つ目の骨董品を買ったところで、後ろからローブをチョンチョンと引っ張られた。振り返ると、妙にテンションの高いクママたちがいる。

「クマ!」

「――!」

「もしかして、一緒に骨董品を選びたいのか?」

「ヒム!」

「ペペン!」

「ま、いいか」

俺だって選ぶ基準があるわけでもないし、うちの子たちの眼力と勘を信じてみてもいいんじゃなかろうか?

ヒムカとか、道具に対しての目利きができそうでもあるしね。

「欲しいのあったら言えよー」

「ヒム!」

「フマー!」

「ペーン!」

俺がそう声をかけると、モンスたちが跳び上がって喜んだ。やはり骨董品を選んでみたかったらしい。

一斉に周囲の露店に散っていった。

これ、メッチャ高い奴を選んできたりせんよな? まあ、うちの子たちが楽しめるなら、多少ぼったくられてもいいんだけどさ。

「ムムー」

「オルトが見てるのは花瓶か」

「ム」

オルトが真剣な顔で、花瓶を見比べていた。何やら、エアーで花を活ける動作をしている。イメージの中で花を活けてみて、合うかどうか想像を働かせているようだ。

「ムー……ムム!」

決まったらしい。茶色い焼き物の花瓶を頭上に掲げていた。大きいコップみたいな形をしている。

「――……!」

「サクラも決まったか?」

「――♪」

サクラが手に取っているのは、ちょっと古びた竹製の花入れである。茶室なんかの壁にかけられているイメージがあるが、骨董品と言えばこれも骨董品か。

どちらも1000Gと非常に安かった。まあ、ここは第5エリアだし、こんなもんかね?

その後、ヒムカが陶器のお猪口。クママが竹籠。アイネが緑色の壺。ペルカが魚の描かれた皿を選んでいた。

「もう10個買ったけど……」

骨董知識が解放されたというアナウンスはない。

「もう少し買わなきゃいけないみたいだな」

「ムム!」

「クマ!」

「じゃあ、もう1つずつ選んでもらうかな」

これは、想像以上に時間がかかりそうだった。