軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

512話 ヒムカの食器、出陣!

次は、特別オークションの3つ目の出品だ。出品者はNPCである。

「お次はこちら! 四季の杖! 120万からの開始です!」

名称:四季の杖

レア度:7 品質:★10 耐久:780

効果:攻撃力+105、魔法力+264

魔術消費軽減(小)、MP自動回復力上昇(中)、秘奥術反動軽減(中)

装備条件:知力75

重量:7

普通に強い杖だった。ただ、装備できないので、あまり詳しくはチェックしていなかった。装備条件が知力75って……。トップ層でも、ステータスにポイントを振っているプレイヤーしか使えないだろう。

四季の名の通り、ピンク、グリーン、ブラウン、ホワイトの4色で彩られた木製の長杖である。

あと、秘奥術の反動を軽減するという効果が付いている。秘奥術? 必殺技みたいなものだろうか?

軽く掲示板を覗いてみたが、情報がほとんどない。ただ、この杖をあらかじめチェックしていた人たちが、必殺技の魔術バージョンだろうと推測していた。

もしかしたらホランドの必殺技取得が早すぎただけで、本来ならこのオークションでその存在が匂わされる予定だったのかもしれない。

運営の想定を、ホランドが上回ったってことなんだろう。さすがだ。

それにしても秘奥術か。これを覚えたら、もしかして俺でも強くなれるのか? だったら覚えたい。

必殺技は第10エリアで手に入るという噂だったが、まだ到達できていないんだよな。それに、第10エリアは他のエリアの数倍もの広さがあるらしく、未だに未踏の地も多い。

きっと、まだまだ色々な秘密が眠っているのだろう。オークションが終わったら、ちょっと頑張ってみるか。

そして四季の杖だが、なんとプレイヤーが800万Gで落札していた。俺と同じように顔を出したプレイヤーである。

よく見たらホランドの相棒のヒューイだった。周りに手を振って歓声を浴びている。ああやって顔を売って、トップとしての名声を高めているのだろう。

あんな風に、嫌みなくさらりとトップアピールできる感じ、憧れるねぇ。

この杖に800万も出せるってことは、ヒューイは秘奥術を覚えているのだろうか? もしくは、習得するための道筋が見えている?

機会があったら尋ねてみよう。

にしても、NPCの入札金額がさっきと違っていたな。今回は720万Gだった。周囲のプレイヤーの推測が聞こえてきたが、最低落札価格を調整しているのだろうということだった。

なるほどね。それはあり得るだろう。NPCアイテムはともかく、プレイヤーの出品アイテムが安過ぎたら、出品者がいなくなるもんな。

その次はプレイヤー作品の登場だ。まあ、うちの出品だけどね。ヒムカの食器がいざ出陣だ!

「次の商品はこちらです! 名前は『ヒムカ印の食器セット』! 350万から!」

「うえぇぇぇ!?」

350万G? いやいや、まじか?

だって、消毒効果があるとはいえ、綺麗なだけの食器だぞ? 攻略に役立つわけでも、生産の役に立つわけでもない。食卓に華を添えるだけだ。

そりゃあ、ヒムカの力作だから少しでも高く売れてほしいと思っていたけど……。食器に350万G? ありえなくない?

俺はそう思っていたんだが、目の前で値段がつり上がっていく。その速度が異常だった。

「390万!」

「390万入りました! さあ、他にはおりませんか?」

「こっちは440万だ!」

「510万よっ!」

「こっちは565万!」

「くそ! ならば――」

そこから白熱すること2分。その短い時間の入札で、会場から幾度となく悲鳴にも似たどよめきが上がっていた。

そして、最終金額が決定する。

「ではこちら、1970万Gで落札です!」

「「「うおぉぉぉぉぉ!」」」

会場が今日一番どよめいたな。本日最高価格が付いたからだろう。俺も一緒に「うおぉぉぉ!」って言っちゃったよ。

帰ったらヒムカを褒めてやろう。好きな素材をいくらでも買ってやるぞ!

「やばい、心拍数が上がってるかも……」

バイタル監視装置を使っていたら、絶対に警告が鳴っているだろう。いやー、まさかこんな値段が付くとは!

俺が気づいていないだけで、何らかの利用価値があるんだろうな。

あ、そういえばお貴族様の入札がなかったな。一気に値段が上がりすぎて入札チャンスがなかった? いや、それよりは、開始金額がすでに最低価格を上回っていたって可能性の方が高いか?

「おおっと、次のがもう始まっちゃったな」

混乱と興奮で軽くパニクっていたら、次のオークションが始まってしまった。NPCの出品した、弓が運ばれてくる。

名称:アデプト・ボウ

レア度:7 品質:★10 耐久:700

効果:攻撃力+181、魔法力+69

流派技消費軽減(中)、矢筒(30)、装填速度上昇(小)

重量:14

これにも気になる効果が付いていた。

「流派技?」

また違う単語だ。これも掲示板を覗いてみたが、広くは知られていないらしい。ただ、第10エリアには何人か達人的なNPCがおり、彼らが通常のスキルとは違う技を使用していることが知られていたそうだ。

弟子入りを志願したプレイヤーも居たそうだが、断られてしまったと書かれている。

だが、流派に入門できる可能性が示唆されたため、掲示板がお祭り状態だった。今から弟子入り志願をしてくるというプレイヤーも多い。

きっと彼らが弟子入りの方法を発見してくれるだろう。

結局、アデプト・ボウは黒尽くめのプレイヤーが590万Gで落札していた。

やはりお貴族様は、落札の最低値を調整する役目があるらしい。今回は520万での入札だった。

複雑な気持ちだ。落札者としては勘弁してほしいが、出品者としては非常にありがたいのである。

多分、プレイヤー同士の談合を防ぎ、落札価格を安定させるためのシステムなのだろう。

というか、俺の狙ってる孵卵器……。お貴族様が入札してくるんじゃね? 最低価格いくらかな?