軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

489話 グランドファイター撃破

「ムッムー!」

「ちょ、速い!」

ノーム・グランドファイターとの激戦も、いよいよ佳境に差し掛かろうとしていた。

HPが残り1割となったところで、狂乱状態となったのだ。まあ、姿は全く変わらず、赤いオーラを身に纏っただけではあるが。

ただ、行動パターンは急激に変わっていた。後衛を今まで以上に積極的に襲ってくるようになったのだ。

まさか、目の前にいる前衛をガン無視して、こちらにすり抜けてくるとは思わなかった。しかも、速度が段違いに上昇している。

その攻撃をロッドで受けることができたのは、奇跡に近いだろう。焦って闇雲に突き出した杖が、偶然いい位置にあったのだ。

「ムムー……!」

「くっ!」

ボスノームがこのまま押し切って俺を攻撃しようと、ピッケルを握る手に力を籠める。腕力で圧倒的に劣る俺は、一気に杖を押し込まれていた。

というか、笑顔の子供に武器を向けられるのって超怖いな! 幽霊とかとは違う、狂気的な恐ろしさがある。

「白銀さん! 今助ける!」

「早くしてっ!」

「どりゃああああ!」

「ムー!」

な、何とか助かった! つがるんに感謝である。巨漢の男がノームを蹴り飛ばす姿は犯罪的ですらあったけどね!

それは本人も理解しているらしい。

「今のシーンのスクショが流出したら、俺炎上間違いなしだな」

「俺、動画は消すよ」

「私も消す」

「そうしてやれ」

ノーム・グランドファイター戦の動画がとても少ないということで、今回は全員で視点動画を撮影していた。

特に、ずっと後衛にいた俺とイカルの撮影した動画は全体を捉えていることが多く、いいできなんだけど……。

保存してたらどこかで誰かに見られるかもしれないし、つがるんのためにも消しておいた方がいいだろう。

「ムームムー……ムムー!」

「うわっ! 土魔術か!」

ボスノームの奥の手なのだろう。広範囲に土を降らせる攻撃を行ってきた。

グランド・レインという魔術だろう。土魔術・上級で覚える術である。

土の雨そのものにダメージがあるうえに、土が纏わりついて動きを阻害してくる効果があるはずだ。

まともに食らえば、かなり危険だろう。まともに食らえば、だが。

「みんな! 俺の周囲に集まれ! アクア・バリケード!」

これぞ、水魔術・上級で取得した、俺の新魔術であった。水の巨大な傘を生み出し、攻撃を受け止める術だ。前方にかざせば盾ともなる。

先日、水魔術が50レベルでカンストしたことで、上級を取得したのだ。ただ、消費も重く、なかなか使う機会がなかった。

もう1つ覚えた攻撃魔術のアクア・スラッシュは、結構使っているんだけどね。ただ、こっちはこっちで射程が短いという弱点もあるので、今も普通の水魔術を使うことが多い。

もう少し使い慣れるか、新しい水魔術・上級をゲットしたら、変わるだろう。

「白銀さん、助かったぞ!」

「よーし、止めを刺すぜ!」

「モグモー!」

「デビビー!」

「ペペーン!」

タゴサック、つがるんと一緒に、うちのモンスたちもボスノーム目がけて駆けて行く。ドリモ、リリス、ペルカの3人だ。

経験値取得のためにメンバーを入れ替えたのだが、ここからでも活躍しようとやる気満々であるらしい。

オルト、ヒムカ、アイネは、俺やイカルの護衛だ。

「モグモー!」

「ムムー……!」

最後は、ドラゴンモードドリモの突進がとどめとなり、ノームのHPを削りきった。

角でかち上げられたノームが、ハリケーン○キサーをくらったみたいだったな。吹き飛ばし耐性を持つ敵をあんな高く吹き飛ばすとは、恐るべしドラゴンモード。

「ふう、勝った。やったなユート」

「タゴサックもお疲れ様」

「勝利!」

「ブイ!」

「お前らは、タンクしかしてなかっただろうが」

つがるんのツッコミ通り、アカリとチャームはマジで攻撃をしてなかった。ただ、事前にそのことは分かっていたそうなので、俺からは何も言うまい。

一番苦労したタゴサックとつがるんが苦笑いで済ませているし。そもそも、道中では大活躍だったのだ。

俺よりは役に立っている。それは間違いない。

「やりましたね……」

ノームファンのイカルは微妙な表情だ。勝利したことは嬉しいのだろうが、ノームを倒したことは悲しいのだろう。

「ム?」

「エスク、慰めてくれるの?」

「ムー!」

彼女の事はエスクに任せておけば大丈夫だろう。しかし、小っちゃいノームが小っちゃいイカルの頭を撫でている姿は、ホッコリするね。

「俺たちはドロップの確認といきますか」

「土結晶は確実に落ちるって話だ。俺もつがるんも落ちてる。ユートはどうだ?」

「俺も土結晶はあるな。あとは、クワの素に、鉱石類と肥料だってさ」

銀鉱石や金鉱石の使い方は分かる。金鉱石は初めて見たけど、鉱石なのだ。

土霊の肥料は、今まで手に入れた中で一番レア度の高い肥料だ。タゴサックたちの目的も、これを入手することだったらしい。帰ったら畑に撒いてみよう。

だが、クワの素ってなんだ? クワを作るためのアイテム?

「クワの素? 聞いたことがないな。つがるんはどうだ?」

「俺も聞いたことがない。多分、新発見だぞ!」

なんと、早耳猫で買った情報にも、クワの素のことは掲載されていないらしい。マジか!

「うーん、選択すると、使用するかどうか選べるな。選択先はオルトか」

どうやら、オルトのクワを強化できるっぽい。

「こ、これが白銀現象か」

「さすがユート……」