軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

475話 イベント4日後

イベント終了から4日。

レイドボスと連戦した最終日ほどではないが、忙しなく日々が過ぎて行った。

アイネの養蚕で採れた糸を布に加工してみたり、サクラの木工やヒムカの陶芸で新しい作品を作ったり、ホームの暗室で蛍光リンドウなどが栽培できたりと、色々と発見や進展があったのだ。

最も変化が大きかったのが、神聖樹だろう。悪魔であるリリスが分離したことで病気が癒えたらしく、今では葉っぱも艶々で元気一杯である。

そのおかげで、神聖樹の枝や、神聖樹の若葉という素材が手に入るようになっていた。

枝は普通に上質な木材ってだけなんだが、若葉が凄まじい。

なんと、蘇生薬の材料になったのだ。

早耳猫で購入したレシピによると、必要なものは一定品質以上の水、一定品質以上の薬草、一定品質以上の毒草。そして、神聖属性の強い植物が必要であった。

この神聖属性の植物枠に、神聖樹の若葉がばっちり適合したらしい。俺の錬金レベルではまだ低品質だが、間違いなく蘇生薬を作ることができていた。

いやー、実験はやっぱり面白いよね。ただ、新しいホームで実験ばかりして、まったり過ごしただけじゃないぞ?

例えばギルド。俺は今まで、冒険者ギルド、農業ギルド、獣魔ギルドの3つにしか所属していなかった。

あと1つ枠が残っているんだが、それをどうするかずっと悩んでいたのだ。

俺自身の技能から考えれば、料理ギルドか錬金ギルドが合っているんだろうが、どのギルドを選ぶにしても決定打に欠けていた。

どこに所属しても悪くないけど、どれもいまいちって感じだったのだ。そこで俺が選択したのが、職人ギルドであった。

ここは、その名の通り全ての生産職を網羅する、幅の広いギルドだ。

例えば料理スキルで考えると、料理ギルドならより高位の調理器具や調理場を安く、低レベルのうちに手に入れられる。また、食材などもより多く安く買えるだろう。

ただ、職人ギルドなら、料理だけではなく、調合、錬金、鍛冶、木工、養蚕、養蜂など、ありとあらゆる生産技能に対応してくれる。

うちの場合はモンス達の生産にも影響してくるので、思い切って職人ギルドを選んでみた。

納品をしまくったので、すでにレベルは6まで上昇している。おかげで施設をグレードアップすることができ、生産がより捗って仕方ないのだ。

あとは、従魔の心でも、色々と進展があった。

この4日間で、俺は新たに2つの従魔の心をゲットしている。1つはルフレの心。これは、事前に聞いていた通り、泉で水遊びをしていたらゲットできた。

やはり、一定サイズの水場を用意し、そこで遊ぶというのが条件なんだろう。

もう1つが、オリーブトレントであるオレアの従魔の心だった。タイミング的に、神聖樹の復活がトリガーなんじゃないかと思う。

畑に植える樹木のレベルとか、珍しさが鍵なのかね?

ともかく、これで俺の持っている召喚の宝珠は7つ。モンスを積極的に入れ替えることができるだろう。

次に狙うのは、ヒムカとアイネの心だな。

聞きかじった情報によると、精霊から従魔の心を貰う条件は、好感度以外に2つあるという。

1つが、その精霊の初期スキルに入っている生産スキルに関する条件。

ノームであれば、一定以上のレア度の作物を育てる。ウンディーネであれば、一定以上のレア度の素材を使った料理を一定数生産してもらうというのが条件であるらしい。

もう1つの条件が、ホームの施設である。

ノームなら畑の広さ。ウンディーネなら一定以上の大きさの水辺。それらが必要になってくる。

そう考えると、ヒムカなら一定ランク以上の鉱石に、火系統のホームオブジェクト。アイネなら、特殊素材を使った養蚕に、風系統のオブジェクトが条件だろうか?

そして、俺たちは今、ヒムカ用の鉱石を採取しにやってきていた。場所は、東の第8エリアである、静電気山だ。

ここのボスからは静電石と、毒電石という鉱石がドロップする。これなら、サラマンダーの従魔の心の条件を満たすらしいのだ。

それに、ここのモンスターがあまり強くないということも重要だ。

静電気のギミックが厄介なぶん、モンスターの難易度はあまり高くないタイプのフィールドらしい。

そう、あまり強くないはずだったんだが――。

「クックマーー!」

「ああ! クママー! くっそ、みんな集中攻撃だ! やつを倒せ!」

「――!」

「デビーー!」

現在のパーティは、オルト、クママ、サクラ、ファウ、リリス、ペルカである。フィールドギミックである、静電気の影響が低そうなメンバーで組んだパーティだ。

事前に仕入れた攻略情報も仕事をしてくれたので、ここまでは順調だったんだが……。

突如出現した強力なモンスターを前にして、俺たちはピンチを迎えていた。

「まさか、ここでエンカウントしちまうとは!」

こいつは、このフィールドで最も手ごわい敵、トルマリンゴーレムのユニーク個体である。

さすがにユニークなだけあって、その強さは通常個体よりも1段も2段も上だ。特に、溜めこんだ電撃を周囲にばら撒く範囲攻撃が凶悪だった。

威力もさることながら、高確率で麻痺させられるのだ。しかも、その電撃によってフィールドギミックが作動する。

今回作動したのが、電撃で一瞬のスタンを与えてくるトラップと、閃光で目をくらませるトラップだった。

そのせいで、麻痺をしたクママを庇うことができなかったのである。

麻痺し、仲間の援護もない。そんな状態のところを、ゴーレムの高い物理攻撃力で殴られれば、タンク職でもかなり痛い。

つまり、先程のクママのようなことになる訳である。

それでも、俺たちは何とか攻撃を集中させて、トルマリンゴーレムを破壊していた。

精神の低いゴーレムに対しては、リリスの幻術が大活躍だ。格上でも、バンバン混乱状態にすることができる。

「リリス、よくやってくれた!」

「デビー!」

「クマー……」

「クママ! 無事だったか?」

「クマ!」

ここのボスは、クママが頼りだからな。

レベルが40に達したクママは、2つのスキルを覚えていた。1つが毒無効。まあ。これは名前の通りの効果だ。毒を無効化するスキルである。

もう1つが、食溜め。これは、満腹度を消費してHPを回復できるスキルで、なんと200%まで満腹ゲージを溜めることが可能であるらしい。

この2つがあれば、毒ゴーレムが出現するこのフィールドボス戦において、優秀なタンク役となるはずだった。

それが、辿り着く前に死に戻りなんて笑い話にもならんのだ。

ボスはかなり強いと聞いているが、攻略方法はバッチリだ。なんとかなるだろう。