軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

447話 遂に開花

アメリアとのプレシオ狩りを終えてから数時間後。ユニーク個体から恐竜飼育チケット3枚目もゲットできたし、実に有意義な時間だったな。

採掘や採取を終えた俺たちは、古代の池に戻ってきていた。開花まではもう少し時間がありそうだ。

「待ってる間に料理でもするか」

もう白米は残ってないが、調味料はある。古代魚の白身で色々試してみよう。

俺は邪魔にならないように広場の端まで移動すると、そこで調理セットを広げた。一応調理台もあるから、問題ないのだ。

「塩、砂糖はバザールで手に入れてあるし、醤油、味噌は持ち込み分がまだ残ってる」

照り焼きに、味噌煮もいいかな。

「フムー?」

「見てて楽しいか?」

「フム!」

「ペン!」

魚が好物の水中コンビが、左右から調理台を覗き込んでいる。ルフレは問題なさそうだが、ペルカの身長だとギリギリだな。つま先立ちをして、ようやく顎が調理台に乗る感じだ。

「無理するなよ」

「ペーン……」

メッチャ無理してるな。そこまでして見たいもんかね?

「フムー」

「ペン」

「あ、涎垂らすなって!」

単に食い意地が張ってるだけか。

他の子たちは地面に座り込んで何かしている。また棒倒しかと思ったら、違っていた。どうやら○×ゲームをしているらしい。まあ、大人しくしているならいいや。

周囲のプレイヤーたちが、真剣な顔をして○×ゲームをするオルトたちを覗き込んでいる。メチャクチャ数が多いな。まあ、彼らも暇してるんだろう。真面目に感想戦とかしている人までいる。

というか、邪魔にならないように広場の端まで来たんだが、妙に人が多い? でも、俺の周囲はそうでもないんだよな。ここだけ人がおらず、ポッカリと空白地帯ができている。

もしかして、生産中の俺に気を使ってくれている? だとしたら悪い事をした……。大人しく待っておけばよかったな。まあ、やっちまったもんは仕方ない。

パパッと終わらせて、撤収しよう。

そして料理が終わる頃、ちょうどいい時間となっていた。

カウントダウンは残り10分弱。ショクダイオオコンニャクの開花直前である。

「ユートさん。どうも」

「ソーヤ君たちも来てたか」

声をかけてきたのは、ソーヤ君だった。後ろにはスケガワ、タゴサック、ふーか、つがるんもいる。結局この面子でイベントを回っていたようだ。

「まあ、イベントが進むことは確実ですからね。古代の島にこられるプレイヤーは、全員きてるんじゃないですか?」

「そりゃあそうか」

雑談をしながら、カウントダウンを待つ。

彼らは俺と別れた後にボスを全て倒し、無事に称号を手に入れたらしい。ただ、恐竜を討滅する者は手に入れたが、観察する者は入手できなかったようだ。

俺は何となく条件を満たしてしまったが、意外と難しかったらしい。

「タゴサックとつがるんは、何か面白い作物でも手に入れたか?」

「いや、ないな。ラフレシアあたりを育てられないかと思ったんだが、株分がそもそもできなかった」

「俺もだ。ヤシとか持って帰れないかと思ったんだが、無理だった」

どうやら、このイベントフィールドの収穫物は株分ができない仕様であるらしい。トップファーマーである2人が、ありとあらゆる植物に試してみてダメだったというのだから、間違いないだろう。

「へっへっへ、プレシオの素材を使えば、体にぴったりフィットするラバースーツ風インナーが作れそうだぜ」

「……ああ、そう」

興味がないわけじゃないけど、同類に思われたくはない。女性陣がスケガワに向ける視線の厳しさよ。

「スピノの素材もいいぞ~」

「ほどほどにな?」

いや、マジでな。

「白銀さん、図鑑は埋まりそうですか?」

「勿論だ。あとはショクダイオオコンニャクだけだぞ。ふーかはどうだ?」

「私は全然埋まってないですね」

「そうなのか?」

「だって、虫とかキモイじゃないですか?」

「あー、そういうプレイヤーもいるか」

他には、イベトを稼ぐために合理的に動いている前線組なんかも、図鑑ガン無視で戦闘に明け暮れているらしい。

「それでも、結構な数のプレイヤーが図鑑を埋めるために頑張ってるみたいですよ。これだけハッキリと実装されてるってことは、コンプしたら報酬がもらえることは確実ですから」

「それなのに、前線組は図鑑無視してるのか?」

「埋めようと思ったら、島全体を回らないといけないでしょう? それで時間を取られるよりも、古代の島でボスを周回する方がイベトを稼げるって判断なんだと思います」

「なるほどね」

図鑑などは、俺たちみたいなエンジョイ勢や、第二陣への救済措置なのかもしれないな。それこそ、ボスを倒せないプレイヤーでもイベトを稼げるように考えたのだろう。

だとすると、ボスを周回できるほどに強いのなら、ボス狩りをしまくった方が稼ぎがいいのは当然だった。

そんなことを語ったら、なぜかふーかが微妙な顔をしている。

「……」

「どうした?」

「いえ。エンジョイ勢の定義ってなんだろうって、ちょっと考えちゃっただけです」

なんてやってるうちに、前の方にいたプレイヤーたちが騒めき始めた。

「あ、カウントダウンが終わるっぽいぞ」

確かに、残り12秒となっている。ノリの良いプレイヤーたちがカウントダウンをし始めたな。

「10!」

「キュー!」

「ヤー!」

うちの子たちも飛び跳ねながら一緒に数え始めた。カウントダウンが楽しそうに思えたのだろう。

「7!」

「ムー!」

「フムー!」

段々カウントダウンが広まり始めたぞ。周囲のプレイヤーは全員参加しているな。

「4!」

「フマー!」

「ペーン!」

「1!」

そして、カウントダウンがゼロになった直後、ショクダイオオコンニャクに変化が起こり始める。

長い芯のような部分に巻き付く葉のように見えていた部分が、ゆっくりと開き始めたのだ。そして完全に開き切ると、一瞬光り輝いた。

開花したという意味なのだろう。

全体の形はラッパ状である。俺には、巨大な和傘を逆さまにしたような姿に見えた。

綺麗というよりは、異様さと存在感に圧倒されてしまう。なるほど、世界最大の花というのは伊達じゃないらしい。

「おっと、鑑定しちゃわないとな」