軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

430話 またまた古代の島へ

戻ってきたけど……。確かに時計は進んでないな。イベント外に出た瞬間からの再開であるようだ。

「よし! さっそく転移して、ユニーク恐竜を探しに行きますか! いや、その前にパーティメンバーを入れ替えるか?」

「キキュ!」

「お?」

転移陣に向かって歩き出そうとした俺だったが、後ろからローブを引っ張られている。

「キュ!」

「どうした?」

「キュー」

俺を呼び止めたリックが指差すのは、村の外だ。その方角にあるものと言えば――。

「あ、もしかして岩山のことを忘れんなって教えてくれてるのか?」

「キュ」

そういえば、図鑑も埋める必要があるんだった。

「ありがとなリック」

「キュ!」

古代の島に行ったらかなり時間がかかるだろう。ユニーク恐竜だけではなく、伝説の怪魚を釣り上げないといけない。

そう考えると、先に岩山に行っておく必要がありそうだった。

「じゃ、古代の島の前に、岩山で図鑑埋めだ」

「キキュー!」

そうして岩山に向かうと、確かにいくつかの新種を発見することができた。話に聞いていた黄金の山羊や、タンブルウィードという転がる草。奇想天外という名の枯れかけに見える植物に、タランチュラ、ヨロイトカゲなどの珍しい動物がわんさかだ。

まじで教えてもらって助かったな。

「図鑑、かなり埋まったが……」

動物、昆虫は全て埋まった。ただ、植物、水産は残り1つが埋まっていない。植物の空欄は、ショクダイオオコンニャク。水産は、イベントモサの湖にいる怪魚だろう。

それでコンプリートだ。

「よーし! 俄然やる気が出てきたぜ」

「――!」

「ヤヤー!」

俺がテンションが上がり過ぎて両手を天に向かって突き上げると、サクラとファウが真似をした。うむ、可愛いが、このポーズを俺がやったのかと思うと恥ずかしいな。

「……一度、拠点に戻ろう」

それから30分後。

俺たちは古代の島の奥地ではなく、海岸の転移陣へと跳んできていた。奥地には恐竜がいないからである。

「相手はユニーク個体。厳しい戦いになるだろうが、頼むぞオルト。ドリモ」

「ムム!」

「モグ!」

約束通り、オルトたちも一緒である。オルト、ドリモ、アイネ、ヒムカ、ルフレ、サクラという、人型メインの構成である。

留守番組に、回復役のルフレ、オールラウンダーのサクラを加えたらこうなってしまっただけだが。

ここは本島と違って厳しい戦場だ。俺も多少は考えているのだよ。

「あっ! ユートさん!」

「うん? ソーヤ君?」

古代の森の入り口で声をかけてきたのは、見知った相手だった。ソーヤ君だ。しかも後ろにはエロ鍛冶師のスケガワに、男勝りファーマーのタゴサック。フライパンで戦うコックさんのふーかに、大男系林檎大好きファーマーのつがるんがいた。

「生配信見ましたよ」

「おー、そうか。だから古代の島に?」

「はい。アンモライトを得ようと思いまして」

「そっかー、ボスの突破方法は分かってるのか?」

問題はそこだ。アンモライトはボス突破前でもゲットできるかもしれないが、確率は低いはずだ。確実に欲しいのであれば、奥地に行かなくてはならない。

「そこは勿論です。検証班と早耳猫が合同で調べてくれまして」

時間が限られているイベントという特性上、遅れは攻略の失敗に繋がる。そこで、今回は検証班、早耳猫を中心に多くのプレイヤーが協力し、ブラキオの突破方法を調べ上げたそうだ。

「ブラキオなのか? 他にもボスはいたと思うけど……」

「そっちも多少の情報は出回ってますけど、やっぱブラキオですね。なんせ、ユートさんの動画っていう、大きなヒントがありますから」

どうやら、イベントティラノを誘導し、イベントブラキオとかち合わせる方法が確立されたらしい。

他にも、経験値の謎なんかも解明されたようだ。どうも、戦闘中の被ダメージ与ダメージを基に、貢献度のような物が算出され、それに応じて経験値が変化する仕様であるようだ。

第二陣のパーティが、強いパーティに寄生しても、実入りが良くないように設計されているんだろう。

なるほどね。だから、うちのパーティもレベルの上りが少し変だったのか。オルトたちが4つもレベルが上がるほどの経験値で、ペルカが6しか上がらないのはおかしいと思っていたのだ。

多分、大活躍に見えても、与えたダメージなどがそれほど多くないせいで、貢献度は低く見積もられてしまったのだろう。盾役でも回復役でもないし、補助スキルもないペルカは、貢献度を稼ぎにくいのかもしれない。

ソーヤ君たちはこれから、検証班の知人とチームを組んで、ブラキオを突破するつもりであるそうだ。

「そうか。頑張ってね」

「はい!」

激励しつつ、俺は少し気になっていたことを尋ねてみた。

「ソーヤ君。その手に持ってる本って、もしかして……」

「気づきましたか? 実は、ついに魔本が完成したんです!」

「まじか! それはおめでとう!」

魔本を開いて右手に持つソーヤ君は、メチャクチャ様になっている。

「おおー!」

「実は、ユートさんのおかげなんですよ」

「え? なんで?」

何もしてないけど……。そう思っていたら、魔本を作るには、前提として魔本スキルが必要であるらしいが、その解放条件の一つに、栞を所持しているというものがあったらしい。

「ユートさんにもらった栞のおかげです、あれがなければ、僕は気付かなかったと思います」

いやー、本好きのソーヤ君ならいずれ気付いてたと思うけど……。まあ、お礼を言われるのは気分がいいから、とりあえずヘラヘラ笑っておくけどね。

「魔本の性能って、どんなかんじ?」

「一応、杖に近いですね。杖ほどの性能はないですが。その代わり、いくつかの魔術を登録しておいて、それを詠唱無しで撃ち出すことができます」

「それって、メチャクチャ強くない?」

「いえ、そこまでではないですよ」

まず、連打はできない。クールタイムがあるそうだ。魔術のランクで時間は変化するらしい。

それに、威力も低い。使用者を基準として、だいたい5割程度の性能だ。

「それに、使えば使うほど、魔本の耐久値が劣化するので、あまり大盤振る舞いもできませんね」

とは言え、ソーヤ君は嬉しそうだ。やはり、念願の魔本だからだろう。

「実は、恐竜の皮に期待してるんです。ボス級の恐竜の皮なら、かなり強化が見込めそうですから」

魔本を作るのに必要な素材はかなり多く、魔石、皮、紙、インク、栞。最低でもそれらが必要であるそうだ。

皮は表紙に使用され、そのランクによって、耐久値や、知力、精神への補正が変化するらしい。

「皮か……。これとか使えない?」

「え? これは……。もしかして恐竜の?」

「うん。激レアドロップは自分で使いたいけど、この恐竜の上皮はあまってるし」

ソロでボス討伐をしたことで、独り占めしてしまったからな。上皮はまだ何枚もあるのだ。

「って、すぐには使えないか」

「確かに今は使えないですけど、譲ってもらえるならぜひ欲しいんですけど!」

「じゃあ、あげる」

「いえ、あげるって……。それじゃあ、僕からはこれをどうぞ」

「お? これは?」

「最近開発された、蘇生薬です」

「ええ? いやいや、そんな貴重なもの、貰えんて!」

「いえ、レシピがあるので、僕は自分で作れますから」

余っていた皮をあげただけでメッチャ貴重なアイテム貰ってしまった……。まあ、この後は激戦が予想されるし、有り難くいただいていくとしよう。