軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

428話 緊急メンテナンス

「本当にこんなに色々語ってくれてよかったの?」

「まあ、言っちゃったもんは仕方ないからな。それに、情報が多い方が閲覧者も増えるだろうし、悪魔の情報も広まると思うから」

クルミたちの生配信に映って、悪魔やアンモライトについて語ったんだが、そこで他にも色々と喋ってしまった。

いや、意識しての生配信なんて初めてだし、クルミは聞き上手だしで、非常にテンションが上がってしまったのだ。イベントスピノが海の魚好きという情報を語ろうとしたら、なぜだか伝説の魚の情報まで詳しく語っちゃったし。

気付いた時には、各村のミニゲームお爺さんや悪魔についてだけではなく、アンモライトの取得場所。あとは何故か、ラッコのゲット方法や、釣りの必勝方法などについても語ってしまっていた。

ラッコの話を聞いたフィルマが駆け出そうとして、リキューに羽交い絞めにされていたが。海の生き物好きのフィルマにしたら、聞き逃せなかったのだろう。

まあ、悪魔の情報を広めるのが一番重要だから、それ以外の情報で視聴数が増えてくれると思えば構わないんだけどね。

その後、俺は三人娘と別れ、北の漁村まで戻ってきた。ここから古代の島へと転移するのだ。

本来だとアリッサさんに情報を売りにいくつもりだったけど、生配信で全部ゲロッちまったからね。売れるような情報はほとんどないのだ。

だったら、このままユニーク恐竜を探しに行く方がいいだろう。

「はやく古代の島にいかないと! 今すぐ!」

なんて思っていたら、聞き覚えのあるアナウンスが聞こえた。

ピッポーン。

『運営からの緊急のお知らせです』

「なんだ?」

メールを開いてみると、数分後に緊急メンテナンスを行うという告知であった。

どうも、開催中のイベントで何らかの不具合が見つかったようで、その修正を行うらしい。その不具合が今のところ誰かに不利益を与えた事実はないが、無視できないので緊急メンテナンスを行うという。

イベント再開時には、メンテナンス開始時に居た場所から再開となり、戦闘などは敵が僅かに硬直する状態で再開。ボス戦は今から発生せず。

現在ボス戦の場合は、それが終了してからイベント外に転送されるそうだ。

また、お詫びとして、全員に1000イベト。飼育ケース・小、香水瓶・小をプレゼント。さらに、イベント外からのアイテム持ち込みをさらに3個認めるというものだった。

「メンテ終了は、ゲーム時間で2時間後……。うーむ、すぐに行動したかったのに、残念だ」

ただ、イベントそのものの時間が進むことはないようだし、俺にはそこまで問題ないかな?

カツカツのタイムテーブルでゲームをしている人には悲劇だが。そこは仕方がない。ネットゲームには緊急メンテがつきものだからね。

俺だって、以前やっていた他のゲームで似たようなことがあったのだ。

「それよりも、イベント外からアイテム持ち込み? つまり、あれが持って来れるってことじゃんか!」

実は、第二陣記念のアイテムが、まだ未使用で残っていた。その中には、ユニークモンスターを引き寄せるお香があったのだ。

勿体なくて使っていなかったのだが、使用期限が迫っていた。このままだと、そこらで適当なモンスターを引き寄せることに使うはめになっていただろう。

イベントからの強制退去によりホームに戻った俺は、早速アイテムをチェックする。

「新たに持っていけるのは3個だったよな? だったら――」

「あいー!」

「ウニャー!」

「ワワン!」

縁側に座ってインベントリを開いた直後、俺の背中に何かがドスンとぶつかってきた。ふりむくと、満面の笑みを浮かべたマモリが俺に抱き付いていた。その両サイドには、ミケ猫のダンゴと、マメ柴のナッツもいる。

「遊んでほしいのか?」

「あ~い~」

「ウニャン!」

「ワンワン!」

イベント中は時間が加速するので、俺にとっては5日ぶりだ。だが、マスコットたちにとったら、別れたのは今朝のはずなんだけどな……。

「バケー!」

「カパパー!」

「お、お前らも?」

「モフフ!」

「テフ~」

「待て待て! ちょっとやらなきゃいけないことがあるから! それが終わったらな?」

「スネ!」

「ポン!」

やばい、ホームに待機中のモンスと妖怪が勢ぞろいだ。やってこないのは、どこかで酒盛り中のハナミアラシだけである。

「えーっと……」

じー。

「あったあった。お香。あとは……」

じー。

メッチャやりづらい。いつの間にか周囲をマスコットたちに囲まれ、全方位から「はやく終わらないかな~」的な視線を向けられている。

凄まじいプレッシャーだ。胃が痛い。

「……こ、これとこれにしておこうか」

耐え切れなくなって、パパッと選んでしまった。それは、ユニーク個体を引き寄せるお香と一緒にゲットした、スキルチケットである。これも使い所を逸して、未だにインベントリに残っていた。

リストの中から好きなスキルを一つ取得できるというアイテムなのだ。

イベントの中に持っていって、そこでじっくり選べばいいだろう。もうひとつは、レアアイテムドロップチケット。戦闘前に使っておけば、確実にレアアイテムが入手できるというアイテムだった。

「とりあえず、これでいこう」

「あい!」

「こら! まだ閉じてないから! 飛び掛かってくるなって!」

「ウニャン」

「ワフン」

「あー、埋もれるっ!」

「スネー!」

「ポコポン!」

結局、イベントに戻るまでうちの子たちと遊んでしまった。だるまさんが転んだは意外と面白かったけど、空を飛べる子が有利過ぎじゃない?

ああ、飼育ケースはまだ持ち出しできなかったから、ホームへの設置は試せなかった。残念である。