軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

419話 白い霧

「敵が少し強くなったな!」

「ムー!」

「この辺から、島の北部エリアってことか。みんな、気を抜くなよ?」

南の漁村で買い物や転移陣の登録を済ませた俺達は、北の漁村を目指していた。

夜はモンスターが強くなるが、この辺りに出現するモンスターであれば俺達でも対処可能だ。ポーションなどの補充も済ませたし、全滅はしないだろう。

少し強行軍ではあるが、今日中に北の漁村に到着したかったのである。

普通に進めば、問題なく北の漁村に到着できていたはずなんだけどね……。

それは、北の漁村まであと半分程度というところであった。

「スケルトンがメッチャ湧くんだけど、なんでだ?」

「モグモ!」

「クックマー!」

急に霧が立ち込めたかと思うと、大量のスケルトンに囲まれてしまっていたのだ。

名称は、スケルトン・パイレーツとなっている。海賊の名前の通り、頭には赤いバンダナを巻き、手にはカットラスを握っていた。

あまり強くはないんだが、とにかく数が多い。というか、無限湧きか? 倒しても倒しても出現するんだけど。

「みんな、強行突破する!」

「フマ!」

「フム!」

「ペルカ! ペンギン・ハイウェイで蹴散らせ!」

「ペペーン!」

俺の指示に従い、ペルカが一気に飛び出した。夜の闇の中で使うと、メッチャ輝いて見えるんだな。

青い光を纏うペルカキャノンが、スケルトンたちを弾き飛ばしながら道を開いてくれる。攻撃力自体はそこまで高くないのでスケルトンを倒すことはできないものの、吹き飛ばしの効果は絶大なのだ。

俺たちはペルカがこじ開けてくれた退路を駆け抜け、なんとか包囲を脱出していた。だが、まだ白い霧に包まれたままである。

濃い霧の向こうからは、骨の鳴る軽い音が響いていた。こっちに近づいてきている。明らかに俺達を追ってきていた。

「カタカタカタ!」

「うぉー! 走れ走れ!」

「ムムー!」

追ってくるスケルトンから走って逃げること数分。

「やっと、逃げ切った、か?」

「フマー」

やべー、息苦しい! だが、ようやくスケルトンどもを振り切ったぞ。どうやら霧の外までは追ってこないらしかった。

スケルトンたちは急に足を止めると、霧の中へと引き返していったのだ。

「ふぅぅぅ……。危なかったぜ。にしても、こんな情報なかったけどな……」

出現モンスターの中に死霊系がいるという情報もなかったし、霧が発生するという情報もなかった。

明らかに何らかのイベントだろう。

その後、俺達はこの周辺を探索しながら歩き回ってみた。そして、霧がある一定の場所を覆っていることを突き止めたのである。

「なるほど、西の海岸の方か」

このイベント島は、大雑把に言うと頂点を南に向けた五角形をしている。まあ、湾や岬などもあるし、あくまでも近いのが五角形というだけだが。

バザールがあるのは中央からやや東寄り。さっきまでいた南の漁村は、五角形で言えば南西の辺の中央くらいに位置する。北の漁村は、北西の頂点のあたりだろう。

そして霧が発生している場所は、南と北の漁村のちょうど間あたりであった。霧の発生源は、最西端の頂点あたりが怪しい。

アリッサさんからもらった情報によると、西には目立った場所が何もないという。砂浜などもなく、岩場と平原が広がっているだけであるそうだ。

「スケルトンも弱いし、とりあえず霧の中心を目指してみるか」

「フム!」

「ペペン!」

一度町に戻った方がいい気がするけど、この霧の発生条件もよく分かっていないからね。ここで逃して、また同じことが起きるかもわからないのだ。

「よし! いくぞ! クママ、ドリモ! 頼むぞ! 戦いながら進むことになるからな!」

「クマッ!」

「モグッ!」

俺の言葉に、クママとドリモが力瘤ポーズで応えてくれる。その後、ボディビルダーのようなポーズで任せとけアピールだ。なんて言ったっけ?

クママのがサイドチェストで、ドリモのがダブルバイセップスだったか? 頼もしくて可愛い。略してタノカワだ。

そして、俺達はタノカワコンビを先頭に、再度白い霧の中へと突入した。

「カタカタカタ!」

「カタタッ!」

群がってくるスケルトンたちをちぎっては投げ、ちぎっては投げ、霧の中を割って進む。これで経験値がウッハウハだったらモチベーションも上がるんだが、このスケルトンたちは全く美味しい相手ではなかった。

これだけ倒しているのに誰のレベルも上がらないし、1体につき1イベトしかもらえない。しかも、ドロップもなしなのだ。

だが、不毛な戦いにもようやく終止符が打たれる。20分ほど戦い続けた俺たちは、ついに霧を抜けることに成功していたのだ。

耳には、ザザーンという波の音が微かに聞こえている。海岸線近くまで辿り着いたらしい。

それだけではない。

「あそこ、村か……?」

「フマ?」

「ムー」

俺達の視線の先には、月明かりに照らされる小さな村があった。灯が一切焚かれていないようで、月が出ていなければ気付けなかっただろう。

あれもまた新発見の場所だ。

「アイネ、空から様子を探ってもらえるか?」

「フマ!」

情報にない村なわけだし、ここは慎重に行くとしよう。