軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

407話 巨大なモノたち

「次は何が釣れるかな~?」

「モグ!」

「クマー!」

リックを触手から救出した後、俺たちは再び岸から釣り糸を垂れる。

様々な獲物を前に、テンションは少し高めだ。すると、再び俺の竿にヒットがあった。

「今度は何だ? またアンモか――? いや、なんだこれ!」

クンクンと軽い引きがあったと思ったら、すぐに引く力が増し始めた。少し気を抜いたら、竿が持っていかれるだろう。

「ぐおおぉ! これは大物だ! まじで引く力が凄いんだけど……」

さっきまでの興奮が少し冷めて、ちょっと怖くなってきた。古代の生物がいるってことは、恐竜なんかが潜んでいてもおかしくはないのだ。

もしかして、ヤバい生き物を釣ってしまったか?

「ぐぬぅ……。みんな、助けて! 引きずり込まれる!」

「モグモー!」

「クマクマー!」

「ペペーン!」

「キキュー!」

ズリズリと水の中に引っ張り込まれそうになっていた俺を、モンスたちが慌てて助けてくれる。

俺の腰にクママがしがみ付き、その後ろにドリモ。さらにその後ろにペルカ。最後がペルカの尾っぽを掴むリックだ。

「フーマー♪」

「ラランラ~♪」

アイネとファウは、それぞれがバフを掛けてくれている。そのお陰か、相手が竿を引く力が急に弱まったかのように思えた。

「よーし! これならいける!」

「クマ!」

「どりゃあああああ!」

「クマママー!」

「モグモー!」

全員で一丸となって、竿を引き続ける。

「おおおおぉ! こ、これはぁ……!」

「モ、モグ……」

そうして、俺たちは巨大な魚を釣り上げることに成功していた。引き上げたその魚は、2メートルを超えている。

超有名な、あの魚だ。古代好きじゃなくても、大抵の人が知っているだろう。それくらい有名なのに、生きた実物を見た人間はほとんどいないという古代魚。黒い鱗に白い斑点が美しい、巨大な魚である。

なるほど、こいつならペルカに噛みついて溺れさせることもできそうだった。

「シ、シシシ、シーラカンスさんやぁ!」

そう、俺の目の前でビチビチと跳ねているド迫力な魚は、見紛うことなく古代魚界のスーパースター、シーラカンスだ。

深海魚が池で釣れた! さすがゲーム!

「え、えぇぇ? どうするんだよこれ。赤マーカーが出てないってことは、敵じゃなくて普通に魚扱いってことだろ?」

つまり、シーラカンスを飼育可能? だが、こんな巨大な魚を入れるケースなんかない。今はメガネウラを入れている一番大きなサイズでさえ、頭部くらいしか入らないだろう。

どうすればいいのか分からずおろおろしていたら、システムメッセージが流れた。

『1分以内に保管を行わなかったので、シーラカンスをアイテム化します』

「え?」

直後、シーラカンスの体がドットになって消滅した。モンスターなどが倒された時によく似ている。

そして、インベントリには古代魚の白身というアイテムが10個入っていた。どうやら時間切れでアイテムになってしまったらしい。

いや、これはよくあることだ。特に魚系は呼吸の関係なのか、地上に上げると1分くらいで死んでしまう。

分かっていたことなんだが……。さすがに今回はショックが大きすぎる。

「は、ははは……。シーラカンスさんが食材に……」

シーラカンスって白身魚だったんだな。そんなことを考えながら、しばらく呆然としてしまったぜ。

にしてもだ。わざわざ、シーラカンスを保管しなかったからアイテム化しますっていうアナウンスが流れたよな? 飼育不可能な生物だと、そんなアナウンスは流れない。

ということは、保管する方法がある。つまり、シーラカンスを飼育できるほどの巨大ケースがあるんだろうか?

「考えてみたら、バザールと遊楽の浜と、この島以外はほとんど行ってないんだよな」

もっと本島を周っていれば、巨大飼育ケースがあったのかもしれない。それに、本島の西にはラッコがいるというし、そっちに行ってみる必要がありそうだな。

「となれば、そろそろ移動を開始しますか」

古代の島の浜辺にあった転移陣を起動して、そこからバザールの特殊ホームに戻る。あとはバザールの西側を探索する流れだろう。

「と、その前にあの島にだけは行っておかないと」

池の中央にある小島だ。小島と言っても、直径10メートルくらいはあるだろう。木が何本も生え、鬱蒼とした繁みで覆われている。

「怖いけど、いくしかない。ペルカ、頼む」

「ペペン!」

俺はペルカに引っ張ってもらいながら、そそくさと小島へと上陸した。

シダ植物をかき分けて、何かないか探してみる。すると、小島の中央付近で巨大な植物の蕾のような物を発見していた。俺の背よりも大きな葉っぱが幾重にも重なって、巨大な蕾を形成している。見た目は、俺よりも大きな白菜って感じ?

「ショクダイオオコンニャクか。なるほど、メッチャでかいな!」

別名、スマトラオオコンニャク。俺も名前を聞いたことがあるくらいだが、確か世界で一番大きな花を咲かせると言われている植物だ。ただ、何年かに1度しか咲かないらしい。

「ふむ……。鑑定したのに図鑑に登録されないな」

これだけ特徴的なんだから、図鑑に関係ないとは思えないんだが。道中で発見したラフレシアやウツボカズラなどは、問題なく登録されている。

俺はこれと同じ現象に心当たりがあった。

「アサガオと同じだ」

あれも、鑑定ではちゃんとアサガオと表示されたのに、何故か図鑑には登録できなかった。今もアサガオは図鑑に載っていない。

「もしかして、花が咲いてなきゃダメか?」

アサガオも、蔓と葉を鑑定しただけだった。花を咲かせる植物は、花を見なければいけないのかもしれない。

「でも、オオコンニャクの花が咲くのは数年に1度って話だが……。いや、ゲームの中なんだし、そこは運営の都合でどうとでもなるよな」

普通に考えれば、このイベント中のどこかで花を咲かせるんだろう。となると、図鑑を埋めるにはこの花を絶対に見逃せないってことか。

「こりゃあ、忙しくなってきたぞ」

本島を巡る間に、ここも頻繁に確認しないといけないのだ。