作品タイトル不明
390話 テーブルマウンテンの謎
「結構採掘場所があるな!」
「ム!」
「モグ!」
「もっともっと掘るぞー!」
「ムー!」
「モグモッ!」
俺の煽りに、オルトとドリモは自らの得物を振り上げて応えてくれる。
テーブルマウンテンの周囲を歩き始めて5分。
俺たちは採取などをしながらも、慎重に歩を進めていた。いや、ついさっきまでは、もう少し大人しく歩いていたんだよ?
でも、こんな物が掘り出せちゃったらさ……。
名称:化石・アンモナイト
レア度:3 品質:★2
効果:なし。観賞用。換金用。
「まさか化石なんてものがゲットできるなんて!」
俺はさっき採掘で手に入れたばかりの、アンモナイトの化石を手に取り眺める。
サイズは5センチくらいかな? 手の平に収まる大きさだ。リアルだと、ここまで綺麗な形のアンモナイトは少ない。
博物館やミネラルショーなどで売っていることがあるけど、大抵は欠けていたり、色がくすんでいたりするのだ。
「ゲームならではってことだろうな」
森の中の採掘場所では手に入れられなかったことを考えると、このテーブルマウンテン周辺でしか採掘できないのだろう。
「換金用ってことは、売れるんだろうが……」
できれば取っておきたい。ただ、イベント終了時にイベントアイテムを持ち越せるかどうかだよな……。まあ、掘ってればまだ手に入るかもしれないし、何個かとっておいて、他は売るのがいいかな?
「よし、気合入れていくぞ!」
そうしてさらに歩くこと5分。
多分、外周の4分の1くらいは歩いたと思うんだが、ようやく風景に変化が訪れる。
最初に気付いたのはサクラとヒムカであった。
「――!」
「ヒムヒム!」
「うん? どうした2人とも?」
採掘に夢中になっていた俺のことを、少し先を歩いていた2人が手招きしているのだ。
「ちょっと待てって、採掘の結果をチェックするから……。うーん、化石はなしか」
やはり採掘率は低いらしく、最初に手に入れた化石を合わせて、3つしか手に入っていない。だが、それでも俺は諦めていない。
名称:化石・アンモナイト
レア度:3 品質:★4
効果:なし。観賞用。換金用。
どうやら同じ化石でも品質で大きさなどが変わるらしく、さっきのアンモナイトに比べて倍近い大きさがある。これは素晴らしいものだ。
名称:化石・肉食恐竜の牙
レア度:3 品質:★3
効果:なし。観賞用。換金用。
そして、こいつだ。大きさ的にはラプトルの牙くらいだろうが、見ているだけでカッコイイ。
それに、もしもっと高品質で大きい牙があったら? それこそティラノのサイズになってもおかしくはない。俄然、採掘にも力が入ってしまうのは仕方ないだろう。
「――!」
「ヒムー!」
「おっと、すまんすまん」
呼ばれてから2分くらい放置してしまった。2人が怒るのも仕方ない。やばいな。この島に来てからテンション上がり過ぎてポンコツだ。
え? 前からだろうって? そうかもしれないが、さらにってことだ。気合を入れ直して、少しは自重せねば。
「それで、なにがあったんだ?」
「――」
「あれは……亀裂? いや、もしかして奥に行けるのか?」
「ヒム!」
サクラたちが発見したのは、幅5メートルほどの亀裂であった。前に立ってみると、登り坂が奥まで続いているのが分かる。途中で曲がっているため先は見えないが、かなり長いことは間違いないだろう。
「これは、山の上に続いてるのか?」
「――!」
「よし、行ってみるか」
「ヒム」
俺たちは隊列を組み、ダンジョンを進むかの如く慎重に坂を上る。
罠などはないし、恐竜も出現しない。むしろ、高品質の採取や採掘ポイントがあり、良い素材がゲットできてしまった。
化石も入手できたぞ。むしろ、品質★1、2の化石がバンバン出た。やはりテーブルマウンテンは化石の宝庫であるらしい。
登り途中でこれなんだから、上まで行ったらどうなるんだ? 超巨大アンモナイトとか、恐竜の骨格標本とかがゲットできてしまうのだろうか?
「これは、絶対に上まで行かないと!」
なんて思ってたんだが、俺の野望はあっさりと打ち砕かれてしまう。
「うわぁ……。あれ、絶対ボスだよな?」
えっちらおっちら坂を上っていった先に、少し広めの広場があった。直径50メートルくらいの円形の広場である。
広場の切り立った壁には無数の小さい滝が流れており、そこから流れ込む水のせいで足元が広範囲に沼地になっていた。
最初に求めていたメガネウラも飛んでいる。葦に似た草が生えていて採取ポイントなども見えるし、ここでしばらく遊んでいきたいほどだ。
だが、そうもいかない。そこには凶悪極まりないモンスターが配置されていたのだ。
遠目から見るとティラノっぽいが、よく見れば全く違うと分かる。ティラノに比べて顔は細長く、鰐に近いように思えた。体はティラノよりも2回りほど大きいだろう。
だが、最も違うのは特徴的な背中だった。恐竜ファンの間では帆などと呼ばれている、半円形のヒレがあるのだ。中には扇状に何十本もの骨が入っており、そこを被膜が覆っている。鳥類の水掻きに似ているが、もっと硬いだろう。
「スピノサウルスか……」
そのフォルムから、密かに人気がある肉食恐竜である。俺も実は大好きなのだ。だが、今は興奮よりも残念な気持ちの方が強かった。
「絶対勝てんだろ。明らかにボスだ」
「フムー……」
「ペペン……」
俺と一緒に入り口から広場を慎重に覗き込む水中コンビが、泣きそうな顔をしている。安心しろ、絶対に挑まんから。
「引き返すぞ」
「フム」
「ペン」
だが、これで確信が持てた。
「こりゃあ、テーブルマウンテンの上には、何かがあるっぽいな」