軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

367話 三度目のうみゃー

3人娘を見送った俺は、そのまま早耳猫に向かっていた。

本当はもっと早く行くつもりだったんだけど、みんなで遊んじゃったからね。

お供は、アリッサさんに紹介するペルカ。あとは付いてきたがったリックとファウ、アイネのちびっ子たちである。

「こんちわー」

「いらっしゃ――――」

え? なんだ? アリッサさんが固まっちゃったんだけど。先頭で早耳猫に入った俺の顔を見た瞬間だ。

「ア、アリッサさん?」

「はっ! ご、ごめんなさい。ちょっとフリーズしちゃって」

「えーっと、大丈夫ですか?」

「大丈夫よっ! 今回は準備は万端なんだからっ! ルインから聞いてるわ! 植物学っていう、スキルの情報よね?」

何故か、追い詰められているというか、焦っているような表情でアリッサさんがまくしたてた。

「ああ! あとはお米料理のレシピとか、イベントの報告かしらっ!」

確かに今言った情報も売りたいんだけど、メインはそれじゃないんだよな。

俺が口を開こうとした直前、アリッサさんの視線が下に向いた。

「は――?」

「ペン?」

ペルカと目を合わせたまま、アリッサさんが再び動きを止めてしまう。

そして、そのままの状態でプルプルと震えだしたかと思うと、いきなり雄たけびをあげるのだった。

「うみゃー! ぺーんーぎーん!」

ど、どうしたんだ? そう言えば、前も似たような事があったな。

「だ、大丈夫ですか?」

「……ごめんなさい。ちょっと叫びたくなっちゃって」

「そ、そうですか……。その、お大事に?」

「あははは……。こちらこそごめんね」

そんなにペンギン好きだったのか? もしかしたらリアルでストレスが溜まっているのかもしれないな。あまり触れないで、さっさと商談に入ってしまおう。

「あー。まずはこいつの情報を売りたいんですけど」

「ペン!」

「ふぅぅぅぅぅぅ……。よし! いいわよ! そうね! まずはお名前から教えてもらおうかしら!」

何やら深呼吸をした後、妙に気合の入った様子のアリッサさんに、俺はペルカの紹介から始めた。

「こいつの名前はペルカ。種族はハイウェイ・ペンギンです」

「ペペン!」

俺の腕に抱かれたペルカが、右のヒレをパタパタ振って挨拶する。

「ステータスはこんな感じで。水中戦も強そうなんですよ」

「この、変な名前のスキルは?」

「それはですね――」

アリッサさんの疑問に1つ1つ答えていく。ペンギンハイウェイ以外にも、漁火などは結構珍しいスキルだったようだ。

「これは……色々な意味でヤバいわね」

「可愛いでしょ?」

「ええ。しかも水中特化で疑似飛行能力持ちで、生産もこなす……? ペンギン探索隊が絶対に立ち上がるわね」

それは確かにあり得るかも。俺だって、自分以外のプレイヤーがペンギンを連れていたら、絶対に欲しくなるだろうし。

ペンギン好きだったら、何が何でも欲しいというプレイヤーもいるだろう。

「しかも、未分化でゲット……。これは中々荒れそうよ」

「もしかして、俺にも何かあります?」

プレイヤー間の嫉妬は恐ろしい。称号を入手した頃の騒ぎを思い出して、俺は少しだけ怖くなった。

だが、アリッサさんが苦笑しながら首を振る。

「ユートくんに直接的な被害は出ないと思うわよ? 第二陣にも見守り隊の噂が浸透してきてるし」

「はい?」

「あー、心配しなくても大丈夫ってこと。荒れるって言ったのは、掲示板の方よ。ペンギンを手に入れられないプレイヤーたちの運営への怨嗟の書き込みで。少し掲示板が荒れそうってこと」

「ああ、そっちですか」

「まあ、即座に手に入れることが不可能なモンスだしね。テイマーの間にガルーダの卵が流行りそうだけど」

どうしてもペンギンが欲しいのなら、ガルーダの卵、アンドラスの魔眼、ウィンドファルコンの風核を所持したまま、孵化時に未分化の力イベントが発生することを待つしかないだろう。

「可愛い新種。しかも入手方法も分かってる。これはまた、色々と取り扱いが大変そうな情報ね……」

「どうです? 高く買ってくれますか?」

「ええ、もちろん……」

「で、お次がお待ちかね、植物学の情報ですよ」

「あ、あははは。そ、そうね。とても楽しみにしてたわ。思わずルインの首を締めちゃったくらい」

「え?」

「ううん。なんでもないの。それで? 入手方法とか、能力なんかを教えてもらえるかしら?」

俺は植物学に関する情報を、順を追って説明する。

チェーンクエストに続きがあったこと。そのクエストの報酬のような形で植物学を取得できること。さらには、このスキルの使い心地など。

語れそうな情報は全部語った。

「まさか、まだ隠れた素材があったなんて……。しかも、イベントで特殊アイテム発見? となると第4サーバーのアレは、鉱物学とか、その辺を持ってるプレイヤーがいたってことかしら?」

「鉱物学? もしかして、所持しているプレイヤーがいるんですか?」

「分からないわ。ただ、アンドラス戦で、妙なアイテムを使ったプレイヤーがいたんだけど、そのアイテムの入手先が不明だったのよ。でも、今の話で当たりが付いたわ」

やはり、~学の取得者は俺だけじゃなかったんだな。でも、そのプレイヤーはまだ情報を大っぴらにしていないらしい。

その後、レイドボスイベントに関する情報や、米料理のレシピなどを見せ、俺は早耳猫を後にした。

「まさか500万にもなるとは思ってなかったぜ」

だって、植物学も、ペルカも、情報があればすぐにゲットできるってものではない。時間も根気も必要だろう。いくら珍しくても、高値は付かないだろうと思ってたんだが……。

やはりペルカの情報が結構高かったようだ。植物学よりも高値を付けてくれたからね。

「まあ、また分割払いをお願いされたけど」