軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

342話 古木の広場にて

雑談を終えた俺たちは、周囲の探索を再開することにした。

すぐにゴリラに出くわすが、こいつが本当に見掛け倒しである。リックが1対1で楽勝だったのだ。

俺1人でも勝てるかもしれん。第二陣用に調整されているんだろうな。

「この辺、木が他と違うぞ」

「うむ」

ゴリラがいるエリアは、どうやら生えている木の種類が違うらしい。今までが針葉樹林だったのに対して、このエリアだけは広葉樹が並んでいる。

ただ、それに何の意味があるのか分からなかった。何せ、伐採ポイントもない。それどころか採取ポイントもないし、ゴリラのドロップはコモドドラゴンと同じだ。

「どうする? 時間的にはそろそろ廃砦に向かったほうがいいと思うが。だが、ここに何かがあることは確かだろう」

「今、廃砦と真逆にいるから、そろそろ行動しておいた方がいいかもよ?」

何でそこで俺を見る? いや、一応、俺が2人をチームに誘った訳だから、リーダー役は俺か? モンスも入れたら最大派閥だしね! 多数決になったら絶対に勝てるのだ。

モンスは多数決には含まないって? いやいや、オルトとサクラは見た目ほぼ人だし、権利はあるでしょ?

「そうだな……。でも、このエリアは回っておきたい」

「じゃ、そうしますかー」

「うむ。異論はない」

多数決は必要ありませんでした。

「じゃ、パパッと見て回るか」

そうして再び先に進んだ俺たちは、一際大きな巨木を発見していた。

背の高さが他の木と変わらないせいで遠くからは見付けられなかったが、近づいてみるとその幹の太さに圧倒される。

それこそ、他の木の5倍はあるだろう。しかも、根の中に大きな石を抱き込んでいるようで、自然の神秘のような物も感じさせた。まあ、ゲームだから本物の自然じゃないんだけどね。

迫力もかなりある。古木や老木という形容詞が相応しい、強烈な風格と存在感を漂わせていた。

さらに、その古木の前には、直径10メートルほどの泉が存在している。日の光を反射してキラキラと輝く清浄な泉と、雄大な古木が並ぶ光景は、いつまでも見入っていたくなるほどに美しかった。

これ程の場所が、イベントに無関係とは考えられない。そう考えて俺たちは周囲を回ってみることにした。

俺は最初に、泉の周りを調べることにする。だが、周囲を歩いても、特に何も見つからない。中を覗き込んでみるが、採取できそうな物もなかった。

ルフレはすでに泉に飛び込んで、探索中だ。

「ルフレ、どうだ?」

「フム~?」

上がってきたルフレに聞いてみるが、どうやら何もないらしい。首をフルフルと横に振る。魚の姿も見えないし、本当にただの景色に過ぎないのか?

ルインやオルトは、木の根に巻き込まれた大岩を調べている。根っこをかき分け、採掘ポイントなどがないかを探しているようだ。しかし、目立った成果はないらしい。

サッキュンも同様で、木に登ったりしているんだが、何も発見できていないみたいだ。枝の上に腰かけて足をブラブラさせながら、「なにもないー」と嘆いている。

俺も木の周りを歩いてみるんだが、やはりなにも――いや、あそこに何かあるな。

俺は木の根を乗り越えて、その場所に辿り着く。

「おお、これは!」

巨木の根元に伐採ポイントが表示されていた。これは、ただの伐採ポイントじゃないだろう。絶対に重要なアイテムがあるはずだ。

「2人とも来てくれ! 伐採ポイントだ!」

俺は喜び勇んで、根や岩を調べていた2人を呼び寄せたんだが――。

「どこに伐採ポイントがあるというんだ?」

「何も見えないけど?」

「え? いやいや、ここにハッキリと伐採ポイントがあるだろ?」

「どこだ?」

「どこ?」

まじで2人にはこの伐採ポイントが見えていないらしい。俺は取りあえず嘘ではないと証明するために、ここで伐採をしてみることにした。

「おいしょー」

斧を取り出し、ポイントにカーンと打ち込む。

ほら、きちんと伐採できたじゃないか。

「えーっと、入手できたのは――」

名称:鳥殺しの香木

レア度:1 品質:★10

効果:燃やすことで、鳥にダメージを与える煙を発生させる。イベント終了時に、消滅する。

俺がそのアイテムを確認した直後だった。

広場が白い光に包まれた。よく見ると、周辺を光の壁が覆っている。

「見覚えがあるな」

「ボスフィールドだ!」

俺の呟きに、ルインが律儀に応えてくれた。やっぱそうだよな。タイミング的に、俺の伐採がトリガーになったことは間違いない。

「ゴガアアアアアアア!」

そして、広場の中央に出現したのは、黒い毛皮が禍々しい巨大ゴリラだった。この森を徘徊してたゴリラとはサイズが違う。高さは5メートル以上あるだろう。しかも、顔は鬼の血でも混ざっているのかと思うほど、凶悪である。

下あごから上に突き出た牙。血走った目。よく見たら角まである。名前は、オーガコングとなっていた。本当に鬼が混じってた!

「すまん! 俺が勝手に伐採したばかりに!」

「いやー、今のは仕方ないっしょ」

「だな。ユートが自分でやらなければ、儂が伐採してみろと言うところだったぞ」

「それよりも、あいつがどれだけ強いかが問題かな」

「見掛け倒しって線もあるが……」

「ゴガアアアアア!」

「まあ、とりあえず儂が前に出よう。一発攻撃を受けてみれば、どの程度の強さか当たりも付くだろうよ」

少し怖いが、それしかないだろう。また最初から白虎などを召喚して、見掛け倒しだった場合は勿体ないのだ。

「いくぞ!」

「お、おお!」

「やってやるぜー!」