軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

313話 決着はジャンケン

シュエラから装備を受け取った俺は、次の行動を決めかねていた。

本来であればサウスゲートを探検しつつ、地底湖に行くつもりだったのだが……。

「チェーンクエストを放置するのは、なんか気持ち悪いよな」

気分の問題ではあるが、やらなきゃいけないことは先に済ませてしまいたい。とはいえ依頼の期限まではもう少しあるし、地底湖で食材をゲットしてからでも遅くはない気もする。

「うーむ……。決められん!」

ということで、ここは多数決と行こうではないか。

俺はモンスたちを並べると、地底湖かトーラウスの家、行ってみたい方に手を上げるようにお願いした。

「いいかー、自分が行ってみたい方に挙手すんだからな? じゃあ、地底湖に行ってみたい人ー」

「フム!」

「フマ!」

「キュ!」

手を上げたのはルフレ、アイネ、リックだ。おいおい、3人上げちゃったじゃん。

考えてみたら、今の俺はモンスを6枠連れて歩けるから、ちょうど3・3に分かれる可能性があったな。

挙手で決める作戦は最終結果が3対3で失敗か。

「仕方ない。ここはジャンケンで決めるとしよう。地底湖チームVSトーラウスチームで勝ち抜きジャンケン対決だ!」

順番は背の順でいいかな?

「第1回戦! リックVSファウ!」

「キュ!」

「ヤー!」

チビーズの2人が両腕を突きあげながら、やる気満々で前に進み出る。いつもは仲良しな2人が、視線をバチバチとぶつけ合っている。うちの子たち、こういった勝負事には本気だからね。

リックは何故かシャドーボクシングをしながら、不敵な表情である。軽快なステップを刻みながらジャブを放つ姿は、まるでモハメド・アリのようだった。

対するファウは、両手を交差させて組んだ後に中を覗き込むっていう、あの誰が考えたのかよく分からないおまじないを行なっている。

どちらも準備は万端かな?

「いくぞー。ジャーンケーンポーン!」

「キキュ!」

「ヤヤー!」

互いに小っちゃな手をギュッと握り込んで突き出している。グー同士でアイコだ。

「キュー」

「ヤー」

同時に額の汗をぬぐい「やるな」「そっちこそ」みたいにフッと微笑み合うファウとリック。なぜそんなにハードボイルド? ガンマン気分なのだろうか?

「ま、まあいい。次行くぞ。アーイコーでしょ!」

「キッキュー!」

「ヤーッ!」

まるでトルネード投法を繰り出そうとしているかような激しめの構えから、2人が自らの手を渾身の力で繰り出した。

そして、明暗がはっきりと分かれる。リックがチョキ、ファウがパーであった。

「キキュー!」

「ヤヤー!」

リックが勝利のチョキを天に向かって突き上げ、雄叫びを上げる。その横ではファウが両膝を地面につき、握りしめた拳で悔し気に地面を叩いている。

たかだかジャンケンでここまで白熱するとは思わんかった……。

「じゃあ、次はサクラ!」

「――!」

いつもは嫋やかに微笑むサクラも、今回はやる気だ。リックと微笑み合う。この妙なハードボイルドのノリ、ずっと続くのか? ドリモもいないのに。

その後、白熱した戦いは続き、いよいよ最終戦である。残るのは互いの大将、ルフレとヒムカだった。

「ヒームー!」

「フムム~……」

勝者はヒムカ。ウイニングチョキをピースするように突き出し、喜びを爆発させている。対するルフレはがっくりと肩を落とし、敗北のパーで顔を覆っていた。左右からリックとアイネに慰められているな。

「ま、まあ。これで次に向かうのはトーラウスの家って決まったわけだ」

「――♪」

「ヒム!」

「ラランラ~♪」

勝者組がファウを中心にグルグルと回りながら喜びの舞を踊り出す。そこまで嬉しいのかよ?

「――あれって――」

「――白銀さん――」

「――あいかわらず――」

やっべ、いつの間にかプレイヤーたちが遠巻きにこっちを見ているんだけど! 先程の白熱ジャンケン大会が目立ってしまったのだろう。

モンスたちにジャンケンをさせて、それを横で見守るテイマープレイヤー……。何をやってるんだって感じだよな! それを目撃したら、俺だったら確実に呆れるだろう。

つまり俺も呆れられているわけだ。メッチャ恥ずかしい!

「み、みんな! さっさと移動するぞ!」

「ヒム」

「――♪」

勝者組が満面の笑みで俺の手を取って歩き出す。敗者組は――。

「フムー」

「フマ!」

「キッキュー」

俺たちの後ろを普通に楽しそうに歩いている。直前の絶望っぷりはどこ行った! この後も落ち込んだままでいられるよりはずっといいけどさ。

まあ、勝負ごとに熱くなっていただけで、行く場所はどっちでも構わなかったんだろう。

「トーラウスの家は、町の外れか」

この辺はさっき通ったけど、気付かなかったな。まあ、地図に付けられたマーキングを見ると、かなり奥まった場所にあるらしい。裏道っぽい場所の、さらに裏って感じだ。

これはマーキングがなかったら自力では辿りつけないだろうな。イベントポイントって感じがするぜ。

「じゃ、新たなクエスト目指してレッツゴーだ!」