軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

279話 親に改造してもらったマシンで勝ち誇って本当に嬉しいのか!

エリンギたちがテフテフにメンコ勝負を挑む間も、俺はメンコの練習を続けた。だんだんとひっくりかえせる確率も上がってきた気がするぞ。

「ヒムー!」

「くそっ! 上手いな!」

「ヒムム!」

「なるほど、その角度か」

モンスと対戦したりもするんだが、ヒムカがメチャクチャ上手いのだ。人型だし、器用も高いからな。

モンスが挑戦できたら、ヒムカに任せるんだけどな。それは無理なので、精々ヒムカと練習を重ねて上達せねば。

モンスの中だと、クママはあまり上手ではない。そのクママよりもメンコの扱いが苦手そうなドリモは、なんとヒムカの次に上手だ。これは器用さよりも、冷静さや観察力が上回っているからだろう。

リックはそもそもメンコ自体が出来ないから論外。

意外なのがファウだった。テフテフと同じ、メンコを抱えてからの急降下爆撃で、意外に強くメンコを叩きつけることができるらしい。しかも角度などの調整も上手く、力任せなだけのクママよりも成績が良かった。

「クマママー!」

「モグ……」

「ク、クマッ?」

「モグモ」

「クーマー……」

クママは今も、ドリモに圧倒的な差で敗北したところだ。ああ、因みに練習用のメンコをもう1セット購入してしまった。モンスたちの遊びにちょうど良さそうだったからな。実際、楽しんでメンコをしている。

そうやって皆で挑戦しながら30分程経過したころ、エリンギが何やら違う露店を覗いていた。

「どうした?」

「これ見てください」

「うーん? え? なんだこれ? メンコ?」

「はい。どうやら普通よりも強力なメンコを売っているようです」

うわー、本当に昔のテキ屋みたいなノリなのか。そこではステテコに腹巻、サングラスという怪しい風体の男が、高額な値段でメンコを販売していた。1000Gから、高い物では10000Gもする。しかし、明らかに大きかったり、分厚かったりしていた。もしかしてメンコで勝利するには、このメンコを使わないといけないのか?

「そういうことカ!」

「じゃあ、早速購入しましょう! 次こそは勝利します!」

「私も買っておきますかね」

エリンギたちはこのメンコを買うらしい。俺はどうしようかな……。というか、練習用メンコが完全に無駄になったってこと? いやテフテフは普通のメンコを使っているのだ。同じ条件で勝負したい気もする。そもそも、さっき惜しかったんだ。もう少し練習すれば行ける気がするんだよな。

俺が悩んでいる内に、エリンギが高額メンコを使って再戦を挑みにいってしまった。後から見守っていたら圧勝である。

「やったナ!」

「次は私の番です!」

最後はテフテフは涙目だったな。それを見て、なんか昔のことを思い出した。

俺が子供の頃にミ〇四駆が流行っていたんだが、当時俺はおこづかいも少なく、ようやく買った安売りの不人気マシンを自力で微改造するのが精いっぱいだった。車体を彫刻刀で削って軽くしたり、シャーシの一部に錐で穴をあけてみたりと、今思えば本当に速くなるのか疑いたくなる工作レベルの改造だ。

しかしクラスメイトの中には親に高額な改造パーツを買ってもらい、改造の作業まで手伝ってもらっている金持ちもいた。

圧倒的な速さで俺たちのマシンをぶっちぎるクラスメイト。高いモーターを搭載したマシンに勝てるわけがない。親に改造してもらうのはズルい。そう訴えてみても、結局速いのは相手のマシンである。負け犬の遠吠えでしかなかった。

涙目のテフテフを見て、ふとその時のことを思い出したのだ。

「白銀さんはこっちのメンコを買わないのですか?」

「うーん。もうちょっとだけ自力でやってみるよ」

まあ、20連敗くらいしたら考えよう。

そう思いつつ自力での勝利を目指した俺は、9回戦目にしてようやく勝ちを拾っていた。1点差でも、勝ちは勝ちだ。賞品が下級ポーションだろうが気にしない。

「勝利!」

「テフテフ~」

「お、なんだ?」

「テフ~」

なぜかテフテフに握手を求められた。あれかな? 昨日の敵は今日の友的な? まあ、いい勝負だったな。

「テフ!」

「ん? これくれるのか?」

「テフー」

すると、テフテフが何か小さいものを手渡してきた。テフテフの形をした人形だ。懐かしの、消しゴム風人形である。ホームオブジェクトのインテリア扱いになっていた。

「なんですそれ?」

「人形カ?」

エリンギたちも興味深げに俺の手元を覗き込んでいる。そう言えば俺しかゲットできなかったな。どういうことだ?

「回数ですかね?」

「ああ、それは可能性があるかもしれませんね。白銀さんは私達の倍以上は挑戦していますし」

「もしくは練習用のメンコを購入したから?」

「うーん、分からないですね……」

その後、色々と検証した結果、露店で買った特殊メンコを使わずに勝利したブランシュが、テフテフから人形をゲットしたのであった。

「うわー、つまりズルはだめってことですか」

「それハ……。無理ダろウ!」

冬将軍が頭を抱えている。俺たちの中で一番メンコが下手だからなー。エリンギはもう少し頑張れば行けそうな気もするが、冬将軍は絶望的だろう。

「冬将軍、どうする? もう少し粘るか?」

「ぐぬヌ……。いヤ、もういイ。また明日にでも頑張るヨ」

「そうですねー。今日は取りあえず露店の様子なども確認したいですし、私も諦めます」

「そうか。分かった」

「次行くゾ!」

5分後。

「よっしゃ!」

「バケ~」

テフテフとのメンコ対決に勝利した俺は、次のゲームに挑戦していた。

2つ目のレトロゲームは、オバケとのビー玉落としだ。これは地面にダーツのような的が描かれており、そこに1メートル程の高さからビー玉を落として最終的に得点の高かった方が勝ちという遊びである。自分のビー玉で相手のビー玉を弾いたりもできるので、最後まで気が抜けない遊びだった。

これは全部のモンスができるので、メンコよりもいいんじゃないか? 購入した練習用ビー玉で遊んでいるんだが、メンコの時は見学だったリックも参加できている。クママに持ち上げてもらう形だけどね。

「キキュ!」

「クマ?」

「キュ!」

「クックマ」

クママに細かく指示を出してミリ単位で位置を修正して、ビー玉を落としている。これが結構上手いんだ。そのちっちゃな手でビー玉に回転をかけながら落としているらしい。体が小さいからこそのテクニックだよね。

ただ、この遊びは運にかなり左右されるようで、俺は4戦目であっさりとオバケに勝利できていた。オバケの消しゴム風人形も無事ゲットだ。

因みにエリンギ以外は結局自力で勝利できず、高額改造ビー玉を購入してオバケに圧勝していた。インテリア狙いはまた今度にするという。

「今日は偵察に来ただけだし、俺もそっちの方法に切り替えた方がいいか?」

「いや、逆に白銀さんには自力での勝利を狙ってほしいですね。検証のためにも、1人はその方がいいと思いますし」

「そうか?」

「はい。全員が勝利するまでだと時間がかかり過ぎますし。そもそも、全ての露店を回れるのは白銀さんだけですので、ここは適任かと」

「わかった。俺はこのままズルをせずに、他の露店も制覇するよ」

「お願いします」

とはいえ、明日は風霊門開放日だから、0時に到着できるように向かうつもりだ。そのことを考えれば、ここで遊べるのはあと3時間くらいである。

「時間内に間に合うといいが……」