軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

262話 ボス戦の後の罠

ボスであるポルターガイスツを倒すと、壁の一部が開いて登り坂が出現した。多分モンスターは出ないだろうが、一応慎重に進んでみる。

先頭はアメリアのウサギさんたちである。罠察知能力があるのだ。

可愛いお尻と尻尾をフリフリしながら、ピョンピョン飛び跳ねて一行を先導してくれる。あー、癒されるわ~。

他のプレイヤーがリック達を見てニヤけるのが分かるね。

坂を登りきった先は、再び通路になっていた。振り返ると、通路の床に大きな穴が開いているのが見える。

「えーっと、あれってボス部屋に落とされる穴だよな?」

「そうみたいだねー」

だとすると、あの穴の先に出たってことか。

「あんな必死になって、穴の先に渡ろうとしたのが馬鹿みたいだな」

「そだねー」

実はボス部屋に入るための落とし穴の先が気になって、渡ることが出来ないか必死に検証してみたのだ。だが、飛行でもできない限り無理という結論であった。

ジャンプで届く距離ではないし、ファウが向こうに渡っても命綱を結ぶ場所もない。両手両足を突っ張ろうにも、通路の幅が広すぎた。

「謎が解けたところで先に進むか」

「うん」

その先にあったのは3つ又の分かれ道だ。

「どうする?」

「うーん、見ても分からないし……。とりあえず左に行ってみるか?」

そう話しながら、左に足を踏み出そうとしたその時だった。

ピヨピヨピヨ――。

何やら小鳥の鳴き声のようなものが聞こえてくる。音の発生源は俺の腰の辺り。

「白銀さん、それって?」

「ああ、雑貨屋で買ったんだ。毒ガスなんかが発生してると教えてくれるっていうアラームアイテムだな」

鳴いていたのは雑貨屋で照明道具とともに手に入れた坑道のカナリアであった。俺は腰から外して、左の通路に近づけてみる。

ピョピョピョピョピョピョ――!

すると先程よりも大きな音で、けたたましく鳴き始めたではないか。どうやら左側には毒ガスが発生しているらしい。

俺は試しに残りの2つの通路にカナリアを向けてみた。すると、真ん中の通路でも同じ反応がある。

「正解は右側ってことなんだろうな」

「それ便利だね! 私も買おうかな」

「何度か使うと壊れるみたいだけど、悪くはないと思うぞ」

特に今回は助かったし。俺たちはそのまま正解の通路を辿って先に進んでみた。モンスターなどはやはり出現せず、赤テング茸が採取できたくらいだったな。

すると、その先で再び3つの道が合流していた。どこを通ってもダンジョンの先へは進めたらしい。ただ、毒を浴びるかどうかってことなんだろう。

しかし、俺は残りの通路2つが気になっていた。

「なあ、こっちの通路どうする?」

「え? どうするって?」

「いや、何かアイテムがあったりするかもしれないだろ?」

アメリアはこのまま先に進むつもりだったらしい。だが、ハズレと見せかけておいて実は宝箱がありましたとか、普通にありそうな気がする。

「それはそうだけど……。私、毒消しあまり持ってないよ?」

「俺は少し持ってる。それに、別に全員で行かなくても、リックとかウサぴょんとか、すばしっこい子に見に行ってもらえばいいんじゃないか?」

「うーん……」

どうも、毒を浴びると分かっている場所に、可愛い従魔を送り込むことが嫌であるらしい。それでも結局はウサぴょんを送り出すことに同意してくれたのだった。

「し、白銀さんの勘だしね」

「いや、別に直感スキルみたいなのはないぞ?」

「分かってるけど、白銀さんだから」

「ふーん?」

意味が分からんけど、それでアメリアが納得してくれてるならいいか。でも、俺ってそんなに勘がいいって思われるような事してるっけ?

そして、戻って来たウサぴょんを見て、俺の勘なんてあてにならないということが証明された。

「あれ? ウサぴょんだけ? リックちゃんは?」

リックが戻ってこない。

「ピョン……」

ウサぴょんが悲し気に項垂れる。というか、ウサぴょんのHPが残りわずかなんだけど! どうやらかなり強力な毒が満ちていたらしい。それで分かった。

「リック、死に戻ったみたいだ」

「ええ?」

ウサぴょんでさえ瀕死だからな。リックはひとたまりもなかったのだろう。

ステータスウィンドウを確認すると、やはりリックのステータスは死に戻りとなっている。こんなことならオルトやサクラに行ってもらえばよかった。毒耐性のある守護者のスカーフを装備しているから、大丈夫だと思ってしまったのだ。

俺の勘が本当に良ければ、リックを行かせるなんて真似しなかったのに……。

そんなことを思っていたら、アメリアが素っ頓狂な声を上げた。

「うえぇ?」

「どうした?」

「こ、これ!」

ウサぴょんが採取してきたアイテムを確認していたアメリアが、白いキノコを手に持っている。なんと、赤テング茸の白変種だ。

「へぇ。採取できたのか」

俺もインベントリを確認してみると、なんとリックが死ぬ前に採取したと思われる赤テング茸・白変種の文字があった。

「もしかして、ここは絶対にこれが採取できるのか?」

「だとしたら大発見なんだけど! オバケにあげられるんでしょ? 今、需要が凄い高いはずだもん!」

「なるほど」

「残りの通路も行ってみましょう!」

「そうだな。サクラ、お願いできるか?」

「――!」

サクラならHPも高いし、異常耐性も持っている。きっと生き残るだろう。アメリアは違うウサギさんを送り出すらしい。

ただ、こちらの通路には何もなかったようだ。サクラたちは手ぶらで戻って来た。残念。そう都合よくはいかないか。

そして、サクラたちはやはりかなりのダメージを受けている。どうも毒ガスだけのせいではなく、罠も仕掛けられているらしいな。サクラが身振りで教えてくれた。矢の罠が設置してあるらしい。

「大変だったな。でも助かったよ」

「――♪」

さて、ある程度通路の情報も分かったし、先に進むか。早くリックを迎えに行ってやらないといけないからな。

俺たちは大興奮のアメリアを宥めながら、通路の先へと進むのであった。