軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

249話 探検用具

ダンジョンから全速力で撤退すると、アメリアの強制ログアウトギリギリの時間であった。

あと1分もないようだ。

「あ、後の探索は任せたわ!」

「俺だけで進めちゃっていいのか?」

「あとでマップくれるんなら!」

「了解」

「あと、情報売るなら売ってもいいけど、ちょっとは分け前ちょうだいね! じゃあね! ばいばいオルトちゃん!」

次の瞬間、アメリアの姿が虚空に搔き消えた。ログイン限界時間がきて、強制ログアウトさせられたのだ。

「最後にオルトの名前を叫ぶのがアメリアっぽいな」

「ム?」

「とりあえず俺たちで先に進んでみるか」

「ム!」

ここの情報を売ったとしても、お金は折半でいいだろう。アメリアがいなければ発見できなかったわけだしな。むしろ、しっかり攻略してマップ情報をゲットしないと、俺の貢献が低すぎる気がする。

「よし、攻略だ!」

「ムムー!」

「まあ、その前に雑貨屋に行くけど」

「ム?」

俺たちは広場のすぐそばにある雑貨屋に移動して、ダンジョン攻略に必要そうなものを見繕うことにした。

まずは明かりだ。俺には暗視のネックレスがあるけど、うちの子が全員夜目スキルを持っているわけじゃない。やはり光源となるものが必要だ。

「ヤー……」

「ファウたちに松明は持てないか」

「キュー……」

しかし、最初は松明を買うつもりだったのだが、他にも照明用のアイテムが複数存在していた。

「ランプに、白光球? あと、これはコケ籠っていうのか?」

ランプは松明の上位互換だ。継続時間が長く、覆いがあるので風や水などにも強い。松明と同じでパーティメンバーの片手がふさがってしまうのが難点だろう。

ただ、松明の場合は専用の頭装備があれば、頭に装着もできるそうなのでその点だけはランプの方が劣るかな。腰にぶら下げられないのかと思ったら、衝撃に弱くて腰に下げて戦闘をするとすぐに壊れてしまうらしい。

白光球はその名の通り、白い光の球をパーティの上に浮かべるアイテムだ。攻撃を食らうと消えてしまうそうだが、持続時間が長いし、手がふさがらないのがいい。

コケ籠も面白いな。細い竹ひごのようなもので編んだソフトボールサイズの籠の中に、ヒカリゴケが入っているのだ。アクセサリー枠に装備すると、腰や胸元に装着できるらしい。

「コケ籠はサクラでも作れそうだな。まあ、とりあえず今日のところは松明と白光球にしておくか。一番明るそうだし」

白光球の値段は3000Gだった。使い捨てにしては高いが、それだけ使えるということだろう。手持は足りているし、いくつか買っておくか。

最近、ようやく冒険者ギルドにお金やレアアイテムを預けることを覚えたが、ある程度の所持金は持つようにしているのだ。

「ほかに必要そうな物は……なんだこれ、鳥の人形?」

明かり関係のアイテムの横に、何故か小鳥の置物が置いてあった。黄色い鳥の姿をしている。インコにしては嘴が少し小さいな。

「ああ、カナリアか? ブラジル代表をカナリア軍団とか言うもんな」

値札を見てみると、やはりカナリア人形という名前がついている。でも、どうしてカナリア?

ホームオブジェクトなのかとも思ったが、それにしては種類がカナリアしかない。だが、効果の部分を確認してようやく理解できた。

「なるほど、坑道のカナリアか!」

鉱山とか炭鉱の中に、鉱夫たちがカナリアを連れていったという話に由来するアイテムらしかった。リアルのカナリアと同じで、ダンジョン内で毒ガスなどが充満しているエリアに近づくと鳴いて教えてくれるそうだ。

「念のためにこれも1つ買っておくか」

アイテムを購入したら、今度はパーティの入れ替えだ。大急ぎで畑に戻って、陣容を整える。

狭い洞窟だったので、まともに戦える前衛は2人までだろう。壁役はオルト、ドリモ。後衛に魔術攻撃の出来るサクラ。狭さの気にならないファウ、リック。回復役のルフレだな。

レベル上げのためにヒムカも連れて行きたいんだけど、今回はお留守番ということで。

とりあえず銅鉱石や錫鉱石を大量に渡しておいたので、これで色々作っていてもらうつもりだ。

「じゃあ、留守を頼むな」

「ヒム!」

「クマ!」

「ポコ!」

「トリ!」

うちも賑やかになったな。お見送りをしてくれる子が4人もいるのだ。しかも全員が敬礼してくれている。また一枚スクショゲットだぜ。

「よし、俺たちも頑張るぞ」

「ムム!」

パーティメンバーを入れ替えて広場に戻る際、俺は周辺に注意を払いながらコソコソと戻っていた。

俺だけの問題だったら別に堂々としてればいいんだが、今回のダンジョンにはアメリアも関係している。情報を売っても良いとは言われたが、その前にばれることは避けたい。できるだけ秘密裏に攻略を進めねばならなかった。

身を屈め、時には壁から首だけを出して周囲を探り、ちょっとしたスパイ気分で原っぱまで帰ってきた。後で考えたら、コソコソしてる方が目立ってたかもな。

いやだって、秘密の行動って考えてたら、妙にテンションが上がってしまったのだ。

「……反省は後にして、さっさとダンジョンに入ろう」

うちの子たちに次いで、穴に飛び降りる。実は俺が一番どん臭いからな。下でオルトやサクラがハラハラして見ているのが分かる。そんな、いつでも受け止められるように身構えんでも、この程度の高さなら問題ないって。

「よいしょ――おおおおお!」

「ムム!」

「――!」

「た、助かった」

「ム!」

「――!」

着地の時に足を滑らせた俺を、うちの子たちが一斉に支えてくれる。

髪を引っ張っているファウはともかく、足にしがみついているリックよ。さすがにお前が俺を支えるのは無理があるだろう。その心意気は嬉しいが。

「ムー」

「そ、そんな目で見るなよ。調子に乗って悪かったって」

「ムムー」

オルトにため息つかれた! そんな呆れた目で見んでも……。

「さ、さあ! ど、洞窟探検に出発だ!」