軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

247話 ムー×5

「あー、満足満足!」

「もういいのか?」

「うん!」

まあ、三〇分近くもスクショを撮りまくってればな。会うたびにスクショを撮っている気がする。

「ストレージの容量、大丈夫なのか?」

「もち! そのために大容量のハードを増設したんだから!」

おおう。凄まじい執念だった。

「じゃあ、私もまーざろっと!」

元気過ぎるなアメリア。わずかな休憩も挟まず、モンス達の追いかけっこに混ざり始めた。普通なら、子供や動物たちと戯れる美少女の微笑ましい映像になるはずなんだが……。

「まてまて~!」

「ムー!」

「まってよ~!」

「ムムー!」

アメリアの顔がヤバい。ニヤニヤマックスのだらしない顔だ。子供を襲う変態にしか見えなかった。

そんな、他のプレイヤーに見られたら通報されかねない、アメリアとモンス達の戯れを見守ること5分。アメリアの至福の時は唐突に終わりを迎えた。

「あれ?」

いきなりアメリアの姿が搔き消えたのだ。ノームの後ろを走っていたと思ったら、どこかにいってしまっていた。強制ログアウト? でも前兆なんか何もなかったぞ?

「アメリア?」

どこいった? 慌ててアメリアが消えた場所に駆け寄る。

「アメリアー?」

「白銀さーーん!」

呼びかけてみると、何故かトンネル内にでもいるかのような、反響して聞こえる返事が返ってきた。

声の聞こえた足元を見てみると、その理由が判明する。

「あ、なるほど。そういうことか」

「感心してないで助けてよ!」

アメリアは地面に空いた深い穴に落下してしまっていたのだ。草がその姿を隠していたらしく。気付かなかったのだろう。落とし穴みたいなものだな。

地面を掘って作った感じの、深さ三メートル程度の穴である。

「ム!」

「ムー!」

「ムムー!」

「ムッムムー!」

「え? きゃぁぁ!」

主のピンチに動揺したのか、単に助けるつもりだったのか、アメリアのノッカーが穴に飛び込んだ。それがきっかけとなり、他のノームたちも次々に穴にダイブしていく。

下でアメリアが受け止めようとして失敗したのか、ノームたちに圧し掛かられて尻餅をついていた。狭い穴の中で折り重なって、ワッチャワチャだ。これ、リアルだったら大惨事だったろうな。

「おい、大丈夫か?」

「な、なんとか……。もう! みんな急に飛び込んじゃメッだよ!」

「ムー……」

「ムム……」

「はぁー……反省してる顔も可愛い」

「ム?」

まあ、大丈夫そうだな。いつも通りのアメリアだ。

「もう少し我慢してくれ、今ロープを――」

「あ、ちょっと待って!」

俺の言葉を急にアメリアが遮る。その視線は、穴の上にいる俺ではなく、何故か横を向いていた。

「どうした?」

「ここ、何か変! ちょっと隙間がある!」

「隙間?」

「うん!」

どうやらノームたちに押しつぶされて地面に這いつくばったことで、壁と床の間に空いたほんのわずかな隙間に気付いたらしい。

俺も降りて確認したいが、下はアメリアたちだけで満員だ。

「何かありそうか?」

「うーん? ちょっと待って。皆、ここが何なのか、調べて!」

「「「「ムー!」」」」

「あ、ちょ! 私が立ち上がってからにして―!」

アメリアを揉みくちゃにしながら、狭い穴の中を調べ始めるノームズ。すると、ノッカーが何かに気が付いたようだった。

「ムム!」

「えーっと、ここ?」

「ム」

「うーん……。あ、何か変な石がある。これって――」

アメリアが手を伸ばして、壁を触る。よく見ると、そこには名刺サイズの黒い石が埋め込まれていた。アメリアがそこに触れた瞬間、重低音とともに軽い振動が地面を揺らす。

ゴゴゴゴ――。

「おおー、やった! 隠し通路だ!」

「ムー!」

「凄いじゃないかアメリア」

「へっへー!」

「ムッムー!」

ドヤ顔のアメリアとノームたち。でも、この成果は胸を張っても許されるだろう。

「なあ、先に進めるのか?」

「うん。結構長そう」

「ほほう」

これって、もしかしてビンゴなんじゃないか? 探していた地下道の可能性が高いよな?

「白銀さん、どうする?」

「うーん。俺的にはめちゃんこ先が気になるところなんだが、アメリアはどうだ?」

「私も! じゃあ、チーム申請送るね!」

話が早くて助かるぜ。ということで、アメリアたちと一緒に探索することが決定したのだった。

アメリアたちが通路に入っていったのを確認して、俺たちも穴に下りて後を追う。

「中は少しだけ広くなってるのか」

入り口は人一人が通れる程度の広さしかなかったが、中に入るとすぐに通路が広がっている。まあ、西の街で見つけた地下水道と同じくらいはあるだろう。

「よーし、皆行くよ! レッツラ探索!」

「「「「「ムムー」」」」」

アメリアのノームたちと一緒に、オルトも拳を突き上げて叫んでいる。いつの間にか馴染んでいるな。

というか、ノームが5体って、バランスが偏り過ぎてないか?

「なあアメリア」

「なに?」

「このまま行くのか?」

「え? そうだけど」

「ああ、そう」

いや、そんな「何か問題ある?」って顔で見られたら、もう何も言えないんだけど。まあ、アメリアは普段からノームまみれのパーティでダンジョンアタックしてるみたいだし、きっとどうにかなるだろう。

「じゃあ、行くか」

「おー!」

「「「「「ムムー!」」」」」