軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

222話 南の町

「なんとか倒したか……。ドリモ、よくやったぞ!」

「モグモ!」

オルトを召喚した10分後。俺たちはクワトンボを撃破できていた。というか、タンク役さえいれば非常に楽な戦いであった。

どうやら突進を受け止められるとクワトンボは一定時間硬直するらしく、その隙に大技を叩き込み放題だったのだ。

そして、ドリモの追い風+強撃のコンボが、見事にクワトンボのHPを削り切っていた。まあ、その前に2回ファンブルしたのは見なかったことにしておこう。竜血覚醒を使っておいてファンブルした時には鼻血出そうになったけどね!

今後は、竜血覚醒時には強撃は使わせないようにしないとな。おかげで今日の分を無駄にしてしまった。

せっかく撮影していた映像を残すかどうか悩んだが、貴重なドラゴンモードの映像だ。ファンブルしてコケる映像だったとしても。

とりあえず保存しておこう。

「まあ、これで南の町に入れるぞ! とりあえず転移ポイントを登録しちゃおう」

「ムム!」

南の町は鍛冶系のクエストがあるらしいが、俺にはあまり関係ない。正直、見て回りたい場所もない。なにせ、作り自体は北の町とそう変わらないのだ。

でも、せっかく来たんだし、ちょっと見て回るかね? ということで、俺は行き先をうちの子たちに任せることにした。

「皆、どっち行きたい?」

「ララ~ラ~♪」

ファウは特に希望もないのか、俺の肩の上でリュートをかき鳴らしている。

「モグ……」

ドリモも腕を組んで、何も言わずに佇んでいるな。勝手にアテレコすると「ふっ。どこでも好きなところを選びな」って感じだ。

「――♪」

サクラも特に行きたい場所はないんだろう。両手を胸の前で組んで、ニコニコと微笑んでいる。残るはクママとルフレ、オルトのちびっ子トリオだ。いや、クママの体はもううちで一番大きいが、精神的な意味でって事ね。

「クマ?」

「ムム?」

「フム~?」

輪になって話し合っている。クママとオルトは町の中心の方へ向かおうと主張しているようだ。だが、ルフレが何やら町の中心とは違う方角を指差して主張し始めた。

「フムム! フムー!」

「クマ?」

「フム」

「ムー?」

「フムム」

ルフレが再度、ビシッと西側を指差した。どうもあっちが気になるらしい。一体何があるんだろうか?

そんなやり取りを見ていたら、ソーヤ君からフレンドコールがかかって来た。

「もしもし」

『あ、ユートさん。どうでした?』

「アバウトだな。でも、無事に南の町に到着できたよ」

『よかった。じゃあ、リキューさんとのコンタクトも上手くいったんですね?』

まあ、悪くはないんじゃないか? 少なくとも、フレンドにはなったわけだし。

『会話、成立しました?』

え? そこから?

「いや、さすがに会話は出来たぞ。くくくっていう含み笑いにちょっと引いたけど。悪い奴じゃなかったし」

『え? 最初からくくくでした?』

「は?」

『いえ。リキューさんは極度の人見知りなんで、初対面の人だとまともに会話できないことがあるんですよ。ずっと「ふっふっふっふ」って変な含み笑いをするだけで』

「さすがにそのレベルじゃなかったな」

『そうですか。すごいですね。慣れてくると、ふっふっふじゃなくて、くくくっていう笑いに変わるんですよー』

なんだその生態。どこの野生生物の話だ? だがソーヤ君は真面目だ。本当に、笑い声で心を開いているかどうかが分かるらしい。

ソーヤ君に詳しい話を聞くと、リキューの慣れ度には段階があるらしい。一番慣れていないパーフェクト人見知り状態だと「ふっふっふ」という含み笑い+眼鏡をかけてずっと俯いたまま。

次の段階だと含み笑いが「くくく」に代わり、最終的に眼鏡も外れたら完全に心を開いてくれた証拠なのだという。

「俺、最初から最終段階だったぞ?」

『多分、モンスを見てテンション上がったんじゃないですかね?』

なるほど。じゃあ、あの時にルフレを連れて行ってなかったら、ずっと「ふっふっふ」地獄だったわけか? いやー、よかったルフレと一緒で! もし人見知り状態だったら、5分と待たずに逃げ帰ってたよ。

『上手く南の町に行けたんならよかったです』

「ソーヤ君がリキューを紹介してくれたおかげだよ」

『いえいえ、こちらこそお世話になりっぱなしですからね』

ソーヤ君との通話が終了した頃、ルフレたちの話し合いも終了したらしい。どうやらルフレの意見が通ったようだな。

「フムム」

ルフレが俺たちを先導して歩き始めた。

「こっちに何があるんだ?」

「フム~!」

ルフレが何やらジェスチャーをしているが、全くわからない。何のポーズだ? 腕を左右に広げてウェーブするように動かしている。謎のダンスにしか見えん。

「フムム~」

「あー、分かった。分かったから、もういいぞー?」

「フム」

到着したらわかるだろう。

15分後。

俺たちは南の町の端を流れる小川の畔にやってきていた。なるほど、水場に来たかったわけね。あの変な踊りは川を表現していたらしい。すでに夜なのだが、街灯がきっちり設置され、川辺でも非常に明るい。

「フムー!」

「ムー!」

「クマー!」

ルフレを先頭に、うちの子たちが浅瀬で遊び始めた。ルフレたちは水を掛け合い、サクラとファウは並んで石の上に腰かけて、足で水をパチャパチャやっている。ドリモはあまり水が好きではないのか、俺の横で休んでいた。

夜の河原で水遊びとか、なかなか風情があるじゃないか。

「ムッムー!」

「おわ!」

「フムー!」

「クックマー!」

「やったな! この!」

「フムムー!」

「とりゃとりゃ!」

「クマー!」

その後、俺は再び松明に向けて出発するまで、従魔たちと心ゆくまで川遊びを楽しんだのだった。水の掛け合いって、なんであんなに楽しいのかね? いやー、久々に童心に帰ってしまったぜ。

クママが川に飛び込んだ時に起きた波で、ファウが川に流されそうになった時には肝が冷えたけどね。ファウのジト目とか、初めて見たかもしれん。クママの土下座は何度か見たことあるんだけど。