軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

208話 オークション開始

「よし、行くか」

時間は13時直前。オークション開始時刻まであとちょっとだ。

オークションには2つ種類があり、1つがリアルタイムで入札を行う競売タイプのオークション。これはその都度落札者が決定していく。

もう1つが決められた時間の中でプレイヤーが最高入札額を更新していき、終了時に最も高額で入札をしていたプレイヤーが購入資格を得るネットオークションタイプ。

プレイヤー間ではすでに競売とネトオクという名前で呼ばれている。

因みに、オークションでは手持ちの金額以上の入札は出来ない。だが、色々な理由で所持金が減ってしまうこともあるだろう。そのせいで落札金額を下回ってしまった場合、購入資格が消滅してしまうらしい。

しかも、それを何度も繰り返した場合は重いペナルティがあるそうだ。ペナルティの内容が明かされていないのが恐ろしいね。俺も気を付けねば。

ネトオクの方ではいくつか面白いものを見つけたので、すでに入札済みである。まあネトオクの方は17時が最終入札期限なので、その直前の勝負になるだろうが。

「お、時間だな。会場に転移しますっと」

転移するかどうかの問いに、Yesと答える。すると、目の前の景色が一瞬で切り替わり、俺はオークション会場の椅子に腰かけていた。モンス達はいないな。どうやらパーティは解除され、個人での参加扱いになるらしい。

「にしても……人が多い……いや、少ないか?」

この会場だけで5000人はいるはずだ。だが、全体から見たらかなり少ない。同じオークションに数万人のプレイヤーが同時に参加というのは無理がある。

なので、第一会場、第二会場、といった具合に会場ごとにサーバーが用意されて、プレイヤーは自動で振り分けられるらしかった。

今回は出品されてるものが全て同じなのでどのサーバーでもあまり変わらない。だが、今後プレイヤーの出品が増えると、目当ての品が出品されている会場を選んで入場する形になる。目当ての品が複数ある場合は、片方を諦めなくてはいけない場合もあるだろう。会場をはしごするにしても、かなり急ぐ必要が出てくるだろうな。

「まあ、今日は関係ないか」

今一番気になるのは、この会場に狙いが被っているプレイヤーがどれだけいるかってことなのだ。

「うーん、周りに知り合いはいないな……」

そうやって周囲をキョロキョロ見回している内に、オークションが開始された。

「では、ただいまより第一回オークションを開催いたします! 最初の出品はこちら!」

ステータスウィンドウに商品や現在の落札額が表示される。オークショニアが商品を紹介する声が気分を盛り上げてくれるね。

しかもオークショニアはモノクルを嵌めた、ロマンスグレーのおじ様なのだ。運営さん、分かってるじゃないか!

1つの商品に対しての入札時間は、商品紹介終了から20秒。入札者が居ればそこから10秒延長されていくようだ。ただ、入札を被せる場合、現在の入札額の1割以上の額を上乗せしなくてはならないので、あまり細かく刻むことは出来ない仕様になっている。嫌がらせや荒らしを防ぐ目的だろうな。

「では、こちらの品は14200Gで落札されました!」

目当ての物が出品されるのを待ちながら、進むオークションを見守る。思ったよりも高額が付く気がするな。多分、初めてのオークションということで、みんな気が大きくなっているんだろう。これは俺も気合を入れ直さねばならないな。

そして、ついに俺が狙っていた最初の商品が壇上に運ばれてくる。

「では次の品はこちら! その名も風狼の卵です!」

そう、イベント報酬である従魔の卵が出品されていたのだ。土竜の卵も当然出品されるが、そっちはもう持ってるからね。ドラゴンを従魔にしているという優越感が薄まってしまうのは残念だが、それ以上に他の卵を入手する機会が巡って来たのが嬉しいのだ。

「では、10万Gからのスタートです!」

高い。だがリトル・エア・ウルフが手に入るのであれば安いものだ! しかしそう考えていたのは俺だけじゃなかったらしい。

俺が12万で入札した直後、即座に15万で返された。だが、ここで引くことは出来ん! 俺は相手の――1人なのか複数なのかは分からないが、気力を折るために、20万で入札し返してやった。

くく、一気に5万アップだぞ? 次ももっと上がるかもよ? だからここで引いたらどうだ? だが、相手も意地になっているらしい。25万で入札し返してきたのだ。

「ぐ……」

一瞬、悩んでしまった。だが、負ける訳には行かない。俺は30万で入札し返した。これでどうだ!

相手はどうしてもリトル・エア・ウルフが欲しいらしいね。なんと40万で入札しやがった! 10万アップ? これは退く気がないという意思表示だろう。

払える。多分、最終的には勝てる。しかし、俺はここで降りることにした。心が折れたわけじゃないよ? 元々、この風狼の卵には最大で40万くらいと考えていたのだ。

「……」

うん、嘘。完全に心が折れた。俺はオークションという名の戦いで、完全に敗れたのだ。相手の持ち金が分からないというのがここまで恐ろしいとは。無理すれば買えるだろう。だが、その無理によってどれだけの傷を負うかが分からない。それが恐ろしかった。

だが、ゲットできなかったものは仕方ない。次で頑張ろう。そう思ってたんだけど――。

「45万とかバカかよ……」

お次に出品された赤虎の卵は誰かが45万で落札していった。まあ、リトル・バーン・タイガーの動画を見たけどメッチャ可愛かったからね。競合するだろうとは思っていたよ? でも、まさかこれほどとは……。

だが、これでもまだ可愛い方だった。次に出品された土竜の卵。なんと73万で買われて行ったのだ。みんな意外とお金持ちなのね。

「やべー、狙ってたのが何も買えてない」

こっちだって無理すれば入手は出来たけど、さすがにあの値段はな……。それに他にも欲しいものがあるから、序盤でお金を使い過ぎるのが怖くもあった。これがオークションか……!

「つ、次こそ……。次こそは絶対に落札してやる!」