軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

184話 花見への誘い

アシハナを花見に誘うことに成功した俺は、次にアメリアに連絡を取っていた。

「今、時間大丈夫か?」

『うん。平気。ちょうど土霊の街で補給中だし』

まだ土霊門に潜ってたのか。攻略を目指してるのかね? だとすると忙しそうだ。

「あー。そっか」

『どうしたの?』

「いや、実は今日お花見をすることになってさ、アメリアも時間があったらどうかと思って。でも、時間がないんだったら――」

『参加する! 参加するから!』

アメリアもアシハナの様にくい気味で参加表明だ。でも、アメリアはもうノームを手に入れたし、別に無理してオルトに会いに来ることもないんじゃなかろうか? そう聞いてみたら、どうやら違うらしい。

『そうじゃないの! 確かにうちの子たちは可愛いよ? でも、オルトちゃんは特別なの!』

「そりゃあ、ユニークだけどな」

『そういう事じゃなくて! 例えば、テレビ番組で一目惚れしたチワワちゃんがいるとして、自分でもチワワを飼ったとしても好きになるきっかけになったチワワちゃんはやっぱり特別でしょ? そんな感じなの!』

「な、なるほど」

まあ、なんとなくは分かる。

「3時間後に、始まりの町にある俺の畑で始めるんだけど、大丈夫か?」

『うん。平気だよ』

「あと料理を少し持ち込んでもらえると助かるんだけど」

『オッケー! どっかで買ってく! ねえ、他に人を誘ってもいいの?』

「ああ、構わないぞ」

『じゃあ、友達と一緒に行くね!』

という事で、アメリアの参加が決まったのだった。その後も、ログイン中のフレンドに連絡をとっていく。

最終的に俺が連絡を取り、花見への参加が決まったフレンドたちが、木工職人のアシハナ、ノーム大好きテイマーのアメリア、早耳猫のサブマスであり頼れる情報屋アリッサ、高校生テイマーのイワン、魔物使い風ボンテージテイマーのウルスラ、騎士プレイに命を懸ける『紫髪の冒険者』ジークフリード、ショタエルフ錬金術師ソーヤ、兄貴系女性ファーマータゴサック、新人プレイヤーコンビのタカユキ&ツヨシ、忍者を目指す夫婦ムラカゲとアヤカゲ、早耳猫の鍛冶師ルイン。

合計で13人だ。多いのか少ないのかは分からないけど、フレンドはかなりの人数が参加を約束してくれた。ダメだったのが、俺と同じユニーク称号『紅玉の探索者』を持つアカリと、アミミンさんとマッツンさんだ。ログインしておらず、連絡が取れなかったので仕方ない。

ただ、勢いで皆に声をかけてしまったが、ちょっと不安もある。

「誘いすぎたか……?」

特殊クエストの報酬に目がくらんで13人も誘ってしまったが、ちょっと多かったかもしれない。13人が1人ずつ知人友人を連れてきたら26人である。俺とスコップたちも合わせると30人になる。桜の樹が植わっている納屋の前には入りきらないだろう。

一応、花見をするためのスペースは広い方が良いだろうと思って、桜の木が植わってる場所に面している雑草畑4ヶ所に今日は何も植えないでおいた。少し広過ぎかと思ったけど、アメリアたちテイマーが連れて来るモンスがくつろげる場所にすればいいと思ってたんだが……。確実にそっちも人間用に使うことになりそうだな。モンスは畑の方で遊んでいてもらおう。

サクラが木工で作った椅子がけっこうある。テーブルもいくつかあるし、これをスペースにそれっぽく並べれば、野外カフェ風に見えなくもないだろう。あと、座椅子の在庫もかなりあったはずだ。

座椅子というのはその字のごとく、背もたれが付いただけの、足の無い椅子である。ダンジョンなどで休憩をする際に、椅子が置けない様なごつごつした場所でも快適に座れるようにサクラに試作を頼んでおいたのだ。

これが中々バランスなどが難しいらしく、かなりの数の試作品が出来上がっていた。勿論、失敗作は処分したよ? だが、色や背もたれの微妙な形にこだわった完成品を作り出す前に練習で作った、白木の試作品であれば相当な数がインベントリに仕舞い込まれているのだ。次に無人販売所で売ろうと思ってたけど、これに座ってもらっちゃおう。

本当はゴザでもあればいいんだけどね。前にアシハナが見せてくれた魔除けのゴザ以外に見たことがなかった。

「あとは食べ物と飲み物だよな」

全員に少しは持ってきてもらうように頼んだが、そもそも誘ったのは俺なのだ。つまり主催者。皆の厚意に甘えるだけではダメだ。

「飲み物は買ってこよう」

先日仕込んだワインが完成しているが、20歳未満もいるからね。ジュースが必要だろう。ハーブティーでいいなら飲み放題でも良い程度に在庫があるが……。最初の乾杯はジュースやワインで行いたい。

インベントリにある色々な料理やお菓子を放出するとしても、それだけじゃ全然足りないよな。

「一旦、広場で買い物をしよう」

その間に、オルト、オレア、クママには畑仕事をお願いする。ファウ、ルフレにはハーブティーと、簡単な料理の増産を頼んでおこう。サクラにはテーブルの増産を頼む。まだ2時間以上あるし、急げば2つ3つは作ってくれると思う。時間が余ったらコップや皿、箸などを作ってもらう様に頼んでおいた。

「じゃあ行って来るな」

「キキュ!」

「お、一緒に行くか?」

「キュ!」

1人で買い出しに行こうと思ったら、仕事が無いリックが一緒に付いてきてくれるようだ。まあ、暇なだけだと思うけどね。

「何を買うかね」

「キュ~」

リックの頭をコリコリと指先で撫でつつ、悩みながら始まりの町を歩く。

すると、俺の視線はある店に釘付けとなっていた。

「おいおい、あれってゴザじゃないか?」

なんと、小広場にあるプレイヤー露店に、どう見てもゴザに見える茶色い物体が並べられていた。外国の市場で絨毯を売っている映像を見たことがあるが、正にあんな感じだ。藁の様な物を編み込んで作ったゴザを、クルクルと丸めてずらりと並べてある。

「すいません。これって魔除けのゴザですか?」

「らっしゃっせー」

思わず声をかけたら、やる気がなさそうな声が返って来た。店番をしているのは、茶髪のギャル男っぽい青年である。ただ、やる気がないというよりは、単にダラケた口調なだけらしい。その証拠に、商品について自分から説明してくれた。

「さーせん。魔除けのゴザじゃないんすよー」

どうやら、魔除けのゴザを探していると勘違いされてしまったようだ。むしろ俺が欲しいのは普通のゴザだ。ただ、他のプレイヤーにも魔除けじゃないのかと言われ続けて自信をなくしていたらしい。

彼は木工や細工などを複数取った、総合生産職らしいが、このゴザは魔除けのゴザを作るための練習として作った物なんだとか。なんでそんな物を売っているのかと思ったら、ゴザを並べたら目立つんじゃないかと考えたそうだ。

しかしそれが裏目に出てしまい、来る客来る客に「魔除けのゴザは? ないの? ちっ」と言われ続けてしまったというわけである。

「なあ、これっていくらなの?」

「え? 魔除けのゴザじゃないっすよ?」

「むしろ普通のを探してたんだよ。一番大きいやつはいくらだ?」

「1つ1000Gです」

安いな。いや、何の効果もないただのゴザだったら高いのか? まあ、2つばかし買っておこう。だってお花見だよ? ゴザは絶対に必要なのだ。これは譲れん。今後、他に使い道があるかは分からんけどね。