軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

166話 支払い

土霊門を出た後、俺たちは北の町に戻って来ていた。

「じゃあ、お金を預けたことないなら、一緒に冒険者ギルドまで行ってみる?」

「お願いして良いですか?」

と言う事で、俺はアリッサさんたちと北の町の冒険者ギルドに向かった。

「久しぶりに来たな~」

「ま、まさかこの時期にそんな発言をするプレイヤーがいるとはね……。さすがユートくんだわ。見習わないと」

なんか妙に感心されてしまった。いや、単にくる必要が無かっただけなんですよ。

アリッサさんたちが冒険者ギルドでお金を下ろすのを待つ間、久しぶりに中も覗いてみる。すると、達成可能なクエストが結構あった。ボスドロップの納入や、レア度3以上の素材の納入などである。

「せっかく来たんだし、こなせるクエは全部達成しちゃおう」

その結果。ギルドランクが3に上がり、1万G程の報酬を得ることができた。やっぱり、たまには顔を出さなきゃダメだね。

ついでに預かりシステムの話を聞いてみた。今ギルドランクが上がったので、お金は30万、アイテムは30種×99個まで預けられるようだ。

まじで便利なシステムだな。というか、ボス戦の時に知ってたら絶対預けてたのに。今考えたらやばかったよな。あそこで死に戻ってたら、結晶を失ったりする危険もあったわけだし。考えたら、冷や汗出て来た。

「どうしよう。水結晶と、翡翠、従魔の心だけでも預けちゃうか?」

ぶっちゃけ、他は生産に使う素材とか、すぐに採掘に行ける鉱石ばかりなんだよね。まあ、貴重品だけ預けよう。お金に関しては必要な分を買い揃えてから考えるとするか。

「お待たせ」

「あ、下ろせました?」

「うん。じゃあこれが報酬ね」

「はいありがとうございます」

アリッサさんから送られて来た報酬を確認する。すると、俺の所持金が50万程増えていた。

「は? ア、アリッサさん! 一桁間違ってますって!」

「え? 嘘? 5万しか送らなかった?」

「いやいや! 50万も送られてきちゃってるんですよ!」

10万くらいは期待していたけど、50万はいくらなんでも高過ぎじゃないか? だが、アリッサさんはキョトンとした顔で首を傾げる。

「間違ってないけど?」

「ええ? いやいや、50万Gですよ?」

「うん。今回の情報にはとてつもない価値があるから当然よ。いえ、むしろ全然足りてないくらいだし」

アリッサさん曰く、精霊門の開き方に始まり、その場所の情報が4つ分。推測が混じっているが、ほぼ確実な上、ウンディーネ、ノームという、テイマーどころかテイムスキル持ちなら誰もが欲しがる精霊系モンスの情報までセットだ。モンスターのドロップ情報と、ダンジョンの素材の情報まであれば、はっきり言って誰もが欲しがる情報らしい。さらに重要なのが、今日がまだ土の日と言う事だろう。つまり、一週間待たずに、ノームが手に入る可能性があるというのが一番大きいのだという。

それ以外にもレシピや、生産、モンスターに関する様々な情報があったらしい。適当に会話してただけなんだけどね。アリッサさんからしたら、売れる情報がかなりあったようだ。

「精霊門関係だけでも2万、いえ3万Gでも飛ぶように売れるでしょうね。数日で元は取れると思うわ。下手したら今日で元が取れるかも」

「え? まじで?」

「ええ。ただ、私が今週は50万しか払えないのよ。制限に引っかかっちゃうから」

「制限?」

「あら、知らない? このゲームは、アイテムやお金の譲渡に制限があるのよ?」

アリッサさんが言うには、一定期間に相手に譲渡できる金品の価値の上限が決められているらしい。

そうだよな。制限が全くなかったら凄いアイテムなどを現金をもらって譲渡するような、いわゆるRMTも横行しちゃうだろうし、当然上限は決められているのだろう。

普通のプレイヤーだと、基礎レベルによってその上限が決められるようだ。商人などになると、少し上限が変化するらしい。

50万は今のアリッサさんの上限ギリギリなんだとか。

「まあ、今週はもうお店には出れないね~」

「なんかすいません」

「いやいや、こちらこそいい情報を売ってもらえて大助かりよ? 検証まで手伝ってもらっちゃって」

アリッサさん曰く、俺が持ち込んだ精霊門関係の情報なら80万は支払わないといけない価値があるらしい。他の情報と合わせたら総額は100万にもなるそうだ。しかし、アリッサさんはもう今週はマネーの譲渡が出来ない。というか、早耳猫の金庫がピンチだという。

「だからメイプルたちに一緒に来てもらってるんだけどね」

「ふふふ。私とルインさんが残りの50万をお渡ししますね」

「うむ」

だからメイプルとルインが付いてきていたのか。でも大丈夫なんだろうか? 金庫がピンチだって言ってたよな? 尋ねてみるとそれでも大丈夫だと言ってはいるが、その顔はどこか苦しげだ。本当に厳しいんだろう。

「あの、残りの支払いちょっと待っても良いですよ? 俺の情報は、高く売れるんですよね? だから、明日の夜とかまでなら」

「え? いいんですか?」

「こら、メイプル!」

嬉しそうな声を上げるメイプルを、アリッサさんがたしなめる。

「だって、ここで100万払っちゃったら、本当にすっからかんじゃないですか~?」

「皆のポケットマネーをかき集めればどうにかなるわよ。最悪、私の秘蔵の品を売りに出すから」

「いやいや、だったら待ってもらいましょうよ。私、畑を買って金欠だから、全然出せませんよ?」

「でも……」

「ここはご厚意に甘えましょうよ~? ね?」

「……本来、支払いを待ってもらうなんて情報屋としては失格なんだけど……」

そう言いつつ、アリッサさんが申し訳なさそうに提案して来た。まず、メイプルの渡す25万分はこの場で受け取って欲しいという。

そして、残りの支払いは明後日。最低でも25万G支払う。最低でもというのは、今日俺が提供した様々な情報を売った1割を俺に支払うという提案だからだ。上手くいけば、25万以上になるという。正直、俺には信じられんけど、ほぼ確実らしい。

そして、万が一俺への支払いが25万に達しなかった場合でも、最低保証額の25万Gは支払ってくれるという。

それで構わないかな? むしろ、25万を超える可能性もあるそうだし、ラッキーなんじゃないか?

でも、本当にそんなに売れるのだろうか。早耳猫は元々は儲け度外視で商売をしている。赤字にならない程度に情報を売って、元が取れたらその情報は掲示板に載せてしまうのだ。今回は俺への報酬分、1割程度値上げして情報を売ると言う事らしい。正直、高いからと言って買わない人も出て来そうな気もするが……。

まあ、そこはアリッサさんたちの方がプロなんだし、俺が気にしてもしょうがないか。

「分かりました。それでお願いします」

「ほんと? いやー、助かるわ」

「いえ、こっちこそ高く買ってもらってありがとうございました」

「あと、属性結晶手に入れたら、ぜひうちに持ってきて! 高く買うから! ルインが」

普通の売買には制限がないから、そっちは問題ないんだろう。うーむ。今回の報酬でお金には困ってないし、水結晶は装備にも使えそうなんだよね。売るとしたら他の結晶だろう。

「余ったら持ってきます」

「待ってるわ。ともかく、今日は良い情報をありがとうね! またよろしく!」

「はい、こっちこそまたお願いします」

「ふっふっふ。どうやって売ろうかしら? 門ごとの情報とは別にセットだと少し安くして、あとは――」

あのやる気に満ち溢れたアリッサさんを見ていたら期待できそうだよな。ぜひ頑張って売ってもらおう。

思いがけなく大金持ちになってしまった。やべー、これで何を買おうかな?

「よし、まずはホームオブジェクトをゲットしよう!」

最初に水霊の街かな。で、その後に土霊の街に行って、そのままダンジョン探索だ。というよりも、土結晶を狙う。

「そうと決まれば、早速皆のところに戻ろう。そんでもって、畑仕事を済ませたら出発だ!」

まあ、その前に一旦ログアウトしないといけないけどね。明日――というか今日再ログインしてからは忙しくなりそうだぜ!