軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

148話 発酵と料理

畑に戻ってきた俺は、醸造樽を前にルフレと何をどうするか相談していた。

「これで色々と作れるはずなんだが……。まず一番作りたいのは醤油だな」

「フム」

「次に味噌だ」

あとは魚醤とか? 魚はあるし。

醤油と味噌の作り方を調べてみると、途中まではほとんど同じだ。茹でたソイ豆を潰して、塩水と共に醸造樽に入れる。この後、さらに水を入れれば醤油に、少量の水と食用草を入れれば味噌になるのだ。超アバウトな作り方だな。

多分、リアルの様に米や麦を加えたら品質も上がるのかもしれないが、現在はまだ発見されてないしね。この簡易的な作り方をするしかない。

だが俺にはルフレがついている。俺よりもスキルレベルが高いはずだからな。ルフレにやってもらえば、高品質の物も出来るかも知れなかった。

「ソイ豆はそれなりにある。これを浄化水で茹でればいいか?」

「フム!」

いいらしい。その後、茹であがったソイ豆をルフレの指示に従って少し粒が残るくらいに砕き、醸造樽に入れていく。俺用に買った樽には浄化水、塩を加えて蓋を閉めた。後は毎日1回魔力を込める地味な作業だね。4日後には醤油が出来上がっているはずだ。

因みに、通常の醸造樽は5リットルくらいの大きさだ。小型の物で1リットルである。なので、ソイ豆も結構な量が必要だった。1樽につき10食分は必要だろう。その分、出来る量は多いはずだけどね。

「簡単すぎて不安になるが、これでいいんだな?」

「フム」

「じゃあ、次は味噌だな」

こっちはルフレに任せてみる。俺よりも手際よく豆と食用草を粉々にし、樽に水と共に入れる。食用草は粉末にしなくてよいのかと思ったが、どうやら少し粗いくらいの大きさが良いらしい。

なるほどね~。何でもかんでも粉々にすればいいって訳じゃないのか。勉強になるぜ。

「次は酢だ」

米酢は無理でも、果実から作るフルーツビネガーなら行けると思うんだよね。

「フルーツを使ってビネガーを作る方法は分かるか?」

「フム!」

おお。オルトでお馴染みの、胸をドンと叩く任せとけポーズだ。手持の果実を全て並べてみる。ルフレは手に入れたばかりの紅葡萄を5つ程手に取った。お酒を造る様にともらったが、この葡萄でビネガーになるらしい。

ルフレは紅葡萄を樽に入れるとおもむろに地面に置く。そして、足に纏っていた靴を装備解除すると、なんと素足で葡萄を潰し始めた。師匠のところでは手で潰せって言われたけど……。まあルフレは体重も軽いし、地球でもワイン作りの時は足で踏んでたらしい。足の方が良いってことか? まあ、俺はやるつもり無いけど。いくらゲームの中で不潔じゃないとは言ってもねぇ? 自分の素足で潰したワインなんて飲みたくない。

葡萄をあらかた潰し終えたら、そこに浄化水を入れる。この後はさっきのクエストで習った酒の造り方と全く一緒だった。あとは5日放置すれば葡萄酒になるはずだ。いや、酒類用醸造樽を使っているので3日で作れるか。

このやり方で酢も作れるってことは、同じ製造工程でも、醸造期間で違う物が出来る可能性があるってことだね。本当に勉強になる。

だが、ルフレは俺の疑問などそっちのけで、そのまま蓋をすると、指2本を立てた右手を俺に突き出した。

「なんだ? ピースサイン?」

「フム」

「違う? 私の指を見なさい?」

「フム~!」

「それも違うか……。あ、もしかして2日間かかる?」

「フム!」

正解か。にしても、2日でできるのか? 酒でさえ3日かかるのに。確か酢にするには、もっと長い時間放置しなくてはいけないはずだ。

「なんでそんなに早いんだ? お酒よりも酢の方が早くできるのか?」

「フム」

「違う? やっぱ酢の方が時間かかるよな。じゃあ、ルフレのスキルのおかげ?」

「フム」

「正解ね。発酵は、醸造の時間を短縮してくれるってことか?」

「フム~」

大きく頷くルフレ。発酵は思っていたよりも使えるらしい。下手したら醸造時間が半減するってことだもんな。これは色々と楽しくなってきた!

「なあ、魚醤も作れるか?」

「フム!」

ルフレがまずはビギニウグイを5匹取り上げた。

「そのままでいいのか?」

「フム」

「そこに水と塩ね。え? それだけでいいの? 魚をさばいたりは?」

醸造は準備段階が本当に簡単だな。心配になるがルフレは満足げである。あとは毎日魔力を込めればいいはずだ。

醤油、味噌、酢、魚醤と来て、残った樽はあと1つ。何を作ろうか?

「なあ、何か面白い物作れないか?」

「フム?」

「そうそう。この辺の素材で」

「フム~……フム!」

「またソイ豆を使うのか?」

味噌も醤油も作ったけど……。俺が疑問に思っていたら、ルフレは豆を茹で始めた。やっぱり調味料か?

だがルフレは茹であがった豆を潰さず、そのまま豆を醸造樽にぶち込んだ。そして、水を少しだけ入れ、蓋をしてしまう。何が出来上がるんだ? 豆で作る発酵品……。

「あ! もしかして納豆?」

「フムー」

ルフレが嬉しそうにコクコクと頷く。納豆か。それは嬉しい。俺は朝食は白米派だからね。ごはんのお供は何でも好きだ。ただ、どうしても気になることが1つ。

「樽に臭いとか付かんよな?」

まあ、作ってみたら分かる事か。樽はとりあえず納屋に置いておこう。

「あとやらなきゃいけないのは……。魚料理だな」

さっき作ったアクアパッツァは美味しかった。魚料理を色々と作ってみたい。その後、俺はルフレと一緒に様々な料理を作っていった。色々な料理を1品ずつ、作りまくってみたのだ。

アユの塩焼き、魔魚のカルパッチョ、魔魚の味噌煮、魔魚の刺身、ウナギのかば焼き、エビフライ、川魚の塩焼き、エビの塩焼き、魚の味噌鍋、小魚の甘露煮。他にも色々だ。いやー、楽しかった。そして造りすぎてしまった。

数日は魚料理を食べることになりそうだね。だが、ただ適当に料理を作ったわけではない。目的があるのだ。

「ルフレ。この中で一番好きなのはどれだ?」

俺は今作った魚料理と、一応料理する前の生魚を並べて、ルフレの前に置いてみた。これらの料理は、ルフレの好物を探るために作り上げたのだ。アクアパッツァを美味しそうに食べてたから、好物は魚料理だと思うんだよね。

「もしくは、さっき食べたアクアパッツァが好きか?」

「フム~」

料理を前に軽く考え込むルフレ。出来れば魚系。塩焼き辺りを選んでくれたら有り難い。逆にエビフライやアクアパッツァの様に、素材をたくさん使ったり、手間がかかる料理は選んでほしくない。

そう思ってたんだけどね……。

「フム!」

「それかー」

ルフレが指差したのは、ウナギのかば焼きであった。これはウナギが高いのは勿論、醤油に葡萄酒、茸出汁と、中々手間もかかる。

「その次に好きなのは?」

「フム」

「エビフライね。その次は」

「フム」

「魔魚の切り身で作った味噌煮か」

どうやらメインとなる魚介素材の価値が高く、手間がかかっている方が好みであるらしい。これはルフレの食費は結構高くつきそうだ。

「フム?」

「いや、何でもない。ほら、食べていいぞ」

「フム~♪」

なんとか魚を手軽に入手する方法はないものかね? まあ、東の町でやりたいことはほぼやったし、あとは食材を色々と料理して、明日は始まりの町に戻れるかな。