軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

133話 レスラーラビット

アリッサさんから情報を買った俺は、そのままルインの店に向かっていた。

以前に依頼していた伐採オノが出来上がったと連絡がきたのだ。

「こんちわー」

「おう、久しぶりだな」

「オノが出来たって」

「これだ」

朝露の伐採オノ

レア度:3 品質:★7 耐久:250

効果:伐採用

重量:1

「いいじゃないですか! かっこいいし!」

見た目は普通の手斧なんだが、刃が光を反射すると薄水色に光るのだ。

「お前さんから渡された水鉱石と緑桃の木、ロックアント系素材を使用して、重量を押さえながらも耐久値を高めにできた」

「うんうん」

「特殊な効果はないが、長く使えるはずだ」

「ありがとうございます。気に入りました。それで、お代はいか程で?」

「それだと3000Gだ」

「安くないですか?」

「いや、素材持ち込みならそんなもんだ」

これから羽音の森を目指すのだし、きっと色々な木材をゲットできるだろう。楽しみだぜ。

ルインさんから斧を受け取って畑に戻った俺は、今度は調合に取りかかった。マップデータがあっても、それだけじゃ攻略は出来ないからね。きちんと準備しないといけないのだ。

今さらだが、エリアについて少しおさらいしておこう。このゲームは始まりの町を第0エリアとして、そこから離れるごとに数字が加算されていく。

始まりの町に面している北の平原、南の森、東の平原、西の森の4フィールドが第1エリア。

そして、北の平原の先にある『牙の森』、南の森の先にある『角の樹海』、東の平原の先にある『羽音の森』、西の森の先にある『爪の樹海』。始まりの町から2エリア分離れたこの4つのフィールドを第2エリア。さらにそれら第2エリアの先にある、北の町、南の町、東の町、西の町のある4つのフィールドを第3エリアと言う。

それ以降は、偶数エリアが町なしフィールド、奇数エリアが町有りになっているらしい。これはあくまでも掲示板情報だけどね。第3エリアからはそれぞれ2種類のフィールドに行けるらしいが、俺にはまだまだ先の話だろう。

俺は以前に北の平原のフィールドボスであるサヴェージドッグを倒している。なので、牙の森にはボス戦をせずに入れるのだ。あとは牙の森を突破すれば、第3エリアの北の町にたどり着けるはずだったんだが……。

「なるほどね。だからアリッサさんは東の町をオススメして来たのか」

アリッサさんに貰った醸造に関する様々な情報の中に、東の町に凄腕の醸造家がおり、その依頼をこなすとスキルと、特殊醸造樽がゲットできると書かれていた。

なので、まずは東の平原のボスを撃破するところから始めないといけないのだ。

「ファウも加わってフルパーティ揃ったし、イベントでレベルも上がった」

ゴーストに対する攻撃方法は、俺の水魔術にサクラの樹魔術、ファウの火魔召喚と揃っている。非常用の回復アイテムさえあれば、先の第2エリアも突破できるはずだ。

「よし、これでポーション類の調合は全部終わったな。あとは……出発前に食事を済ませておこう」

作った薬をインベントリに仕舞い、今度は調理用の道具を取り出す。作るのはオルト、クママ用のジュース、リック用のクッキーだが、今回は少しアレンジを加えてみた。

オルトのジュースはハチミツ梨ジュース、クママのはハチミツ柿ジュース。リックのクッキーは胡桃、どんぐり、ソイ豆を加えたハチミツナッツクッキーである。

「これを食べたらいよいよ出発するからなー」

「ムム!」

「キュキュ!」

「クマッ!」

「ヤー!」

よしよし、みんな美味しそうに料理を貪り食っているな。

食事を済ませ、始まりの町を出発してから2時間後。ここまでは順調だ。あとはボスを倒せば第2エリアである。

東の平原はあっさりと突破することができた。そもそも第1エリアの敵であれば、まったく苦戦することなく倒せるからな。

昔のRPGで言えば、Aボタン連打でノーダメージで倒せるくらいのレベル差があるのだ。

「ボスの情報もバッチリだし、大丈夫だろ」

東の平原のフィールドボスは、レスラーラビットというウサギである。その名の通り、プロレスラーの様に大きな体を誇るウサギだ。

「キシャシャウ!」

「ウサギって言うか……熊っぽいな」

2本足で立ち上がり、両手を上げてこちらを威嚇するその姿は、まるで白熊の様だった。耳が長くなかったら、本当に熊と見分けがつかないかもしれない。

「キシャーウ!」

「みんな! 頼むぞ!」

「ム!」

オルトの号令? でうちの子たちが一斉に散開した。そして、作戦通りの攻撃を加えて行く。

レスラーラビットは速くて腕力も高いんだが、特殊な効果のある攻撃は2つしかないらしい。防御力も低いそうなので、パターンさえ分かっていればノーダメージでの突破も難しくなかった。

気を付けなくてはいけないのが、HPが半減してから使い始めるストンピングだ。

高くジャンプして、踏み潰そうとしてくる攻撃である。この攻撃の嫌らしいところが、ギリギリで避けても地面を揺らし、その振動でこっちの動きを阻害してくるのだ。

なので後ろに跳んで避けることで、攻撃も回避しつつ、振動によるスタンも回避するのがベストであるらしい。

うちのパーティで一番ヤバそうなのが俺なんだけどね。

それでも何とかストンピングを1発食らうだけでレスラーラビットをHP残り1割まで追い込むことができた。いやー、さすがボス。ストンピングでHPの半分持っていかれた。

「でも、あとちょっとで――まじか!」

ボスの中でも最弱に位置するレスラーラビットであるが、気を付けないといけない攻撃が2つある。1つが先程俺も食らったストンピング。

もう1つが、追い込まれてから使用するウサギ天国と呼ばれる攻撃だ。

この技は全てのレスラーラビットが使う訳ではなく、30回に1度程度の割合で、使用してくる個体が出現するらしい。外見では見分けがつかないので、戦闘してみるまで分からないと情報には書かれていたんだが……。まさかその個体に当ってしまうとは!

「みんな! 防御しろ!」

ウサギ天国。その名の通り、無数のウサギを召喚して、パーティ全体に一斉攻撃する技である。所詮はラビットなのでダメージはさほどではないし、攻撃後には消滅してしまうのだが、とにかく防ぐのが難しい技だった。

「「「ウサウサウサウサ!」」」

どこからともなく湧き出た40匹近い兎たちが、縦横無尽に飛び回ってこちらに蹴りを入れて行く。

「ぐ!」

何とか耐えきったな……。でもストンピングのダメージも入れて、残りHPが3割ほどに減ってしまった。

皆はどうだ? 状態を確認すると、ファウが居ない。

「やべ! ファウが死に戻った!」

レベルがまだ4だったからな~。羽音の森に行ってからレベリングしようと思ってたのに。まさか30分の1の確率でしか出現しない特殊個体に遭遇するなんて思わないじゃないか!

「このウサ公が!」

「クママ~!」

「キュー!」

「――!」

その後、怒った俺たちの集中攻撃を食らったレスラーラビットは残ったHPを削りきられ、光の粒となって消えたのだった。

「始まりの町に戻らないと」

ウサギ天国で皆ダメージも結構食らってしまったし、ファウも迎えに行かなくてはならないからな。

「羽音の森の攻略は明日からだな~」