軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

124話 フェスト?

ピーヒョロ~♪

ドンドンドドン!

村の中に祭囃子が響いている。

グラシャラボラスを撃破し、村が救われたことを祝って祭りが開かれているのだ。村の人はフェストなんて言っていたんだが、どう見ても純和風の縁日である。洋風の村と、明らかに西洋人風の格好をした村人たちなんだけどね。

たくさんの屋台と、広場の中央に組まれた櫓。その櫓の上では和楽器によって祭囃子が演奏され、村人たちが盆踊りを踊っている。

いつの間に準備したんだよって言う早さだった。村の大工さんを中心に、櫓が一瞬で組み立てられたらしい。

昼間なのでいまいち雰囲気は出ないが、それでもプレイヤーもNPCも楽しそうだ。

俺はそんな縁日の中をうちの子たちと歩いていた。周りからかなり見られているが、もう気にならなくなってきたね。まあ、俺に向けられた視線じゃないと言うのも大きいけど。

「へぇ、結構色々な屋台があるなー。みんな、欲しい物あるか? おこづかいは一人500Gまでだからなー」

「ムッムー」

「キキュー!」

「クマー」

「――♪」

俺の言葉にうちの子たちが一斉に返事をする。祭りは初めてでも、周囲の楽し気な雰囲気は伝わっているようだな。皆ウキウキとした表情をしている。

最初に露店に対して反応を示したのは、俺の肩に乗っているリックであった。

「キュー!」

「お、何か欲しいものがあったか?」

「キュキュッ!」

リックが俺の髪を引っ張って指し示しているのは、ある屋台だ。近寄って見ると、見知った顔がいた。

「いらっしゃいませー」

「あれ、クヌートさん?」

「おや、お久しぶりですね」

屋台の売り子は豆農家のクヌートさんだった。売り物はそのまま焼き豆である。リックが反応したのもうなずけるな。始まりの町で買ってやった焼き豆もガツガツ食べてたし。

「キュッキュッ!」

「あーはいはい、ちょっと落ち着け。買ってやるから」

「じゃあ、200Gです」

始まりの町よりも高いな! だが、リックに買ってやると言った手前、やめる訳にもいかない。クヌートさんにお金を支払い、焼き豆の入った紙袋を受け取った。一応、始まりの町よりも品質が高い。それで高いのかもな。

「ほら、リック」

「キュー! ポリポリポリポリ!」

早速リックが俺が手に持つ袋に頭を突っ込んで、ポリポリと食べ始めた。袋から出ているお尻と尻尾が愛らしい。

「まあ、好きなだけ食え」

「ポリポリキュー」

そんなリックに触発されたのか、今度はオルトが俺のローブを引っ張って何やらアピールしている。

「ムームー!」

「オルトは何が欲しいんだ?」

「ム!」

オルトがビシッと指差したのは、これまた見覚えのある人物がやっている屋台だった。

「ええ? 村長さん?」

「おお、ユート殿ですか。一杯いかがです?」

「これはジュースですか?」

「はい。ハチミツジュースです」

村長さんは養蜂業も営んでいるらしく、そこで取れたハチミツで作ったジュースらしい。ハチミツジンジャージュースと、ハチミツレモンジュースがあったので、俺とオルトがハチミツジンジャー。リックとクママがハチミツレモンにしておいた。

どちらも満腹度を30%回復させる効果しかないが、味は抜群だ。是非作り方を聞きたかったが、秘伝だと言って教えてはくれなかった。うーん、カイエンお爺さんと違って、個人的に仲良くなってないからだろうな。残念だ。

「サクラは食べれないもんな~。なにかサクラでも買える物があればいいんだけど」

「――♪」

俺の言葉にフルフルと首を振るサクラ。そのまま俺と手を繋いでニコリと微笑んだ。空いてる手でクママの頭を撫でている。

多分、こうして一緒にお祭りを歩くだけで楽しいと言っているのだろう。でも、他のやつらは楽しんでいるわけだし、サクラだけ何もなしじゃ不公平だと思うのだ。

そうやって歩いていると、今度はクママが立ち止まった。

「クマッ!」

「果物屋さん?」

「いらっしゃい!」

「ども。なるほど、果物をスティックにして売ってるのか」

「クマクマ!」

「じゃあ、この緑桃で」

「ムー!」

「オルトもか? じゃあ。こっちの紫柿も」

「はいよ!」

クママとオルトが果物スティックをかじりながらスキップしている。これでオルトとクママとリックはお小遣いを使い果たしたな。

あとはサクラなんだが――。

「お、あったあった」

俺が発見したのは射的の屋台だった。祭りには付き物だし、この縁日風の祭りにだったらあると思ったんだ。まあ、銃ではなく、弓だけどね。

「これならサクラにもできるだろ?」

「――♪」

「俺もやってみようかな?」

1回100Gで5本の矢をもらうことができ、それで的を射るのだ。その点数の合計によって、貰える景品が違うらしい。

なんと、イベントポイントが景品にあった。1点、1ポイントである。まあ、全て真ん中に当てても、100ポイントしかもらえないが。

「えーとこうやって――よっ!」

「ムー」

「クマー」

「おい、ため息つくな! 仕方ないだろ」

「――!」

「キュー!」

サクラは上手いな。中心とはいかなくても、結構近くに当てている。的を外しまくる俺とは大違いだ。

その後、サクラは5回射的に挑戦し、全てをポイントに変換していた。69ポイントだ。まあまあかな? 俺? 俺は3回で7ポイントですけど、何か?

別に、楽しめたからいいのだ。サクラも笑っているからね。

そのまま皆で歩いていると、櫓の前に出た。いつの間にか広場の中央まで来ていたらしい。

NPCたちがまばらに踊っているな。プレイヤーはあまりいない。まあ、昼間からこの中に交じって踊るのはちょっと勇気がいるかも? 1人だけプレイヤーだと、メチャクチャ目立ちそうだし。

俺もここはスルーしようかと思ったら、オルトがタターッと駆け出して行ってしまった。それにクママとリックも続く。

「ムッムー」

「クークマー」

「キューキュー」

盆踊りなんてやったことが無いうちの子たちの踊りは酷い物だ。なんか、邪神に捧げる怪しげな儀式レベルである。

「はあ、仕方ない。ほら、盆踊りはこうやるんだ」

「ム?」

「こうやって、ここでパンパンと手を叩く」

「クマ!」

「で、こうやって――そうそう。上手いぞ」

「キュー」

「サクラは何でもできるな。オルト、そうじゃない」

「ム?」

俺たちはその後、縁日が終わるまで盆踊りを楽しんだのだった。