軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

102話 いざ洞窟

洞窟の中はかなり暗かった。考えてみたら、今までダンジョンや洞窟に入ったことが無かったので、こんなに暗いとは想像もしていなかった。

唯一入ったことがあるダンジョンっぽい場所は精霊様の祭壇があった地下道だけど、あそこは灯りがキチンと設置されていたしね。

洞窟に来る前に、マルカにアドバイスを聞いて松明を準備しておいてよかった。戦闘力のないオルトに持たせていたんだが、少し歩くとオルトが松明を俺に押し付けてきた。

「ムム!」

「え? 持てってこと?」

「ム」

俺はオルトに促されるがままに松明を受け取った。すると、オルトが洞窟の壁に向かって走っていく。

何だ? 疑問に思いつつオルトを観察していたら、クワで壁を叩き始めた。どうやら採掘ポイントがあったらしい。

採掘は重要だからな。松明は俺が持つとしよう。これでも魔術は放てるし。

と言うか、モンスターが全く現れない。もう5分くらい歩いているんだが、敵が全然いなかった。

「敵、全然出ないね?」

「罠もないな」

「道も一本道だし」

マルカたちも拍子抜けしている。次第に緊張感も薄れて来たらしく、雑談を交わしたりしていた。マルカに至っては、隣を歩くクママをガン見しながら歩いている。

逆に今日のリックは真面目だ。先頭を進みながら、時おり鼻をクンクンさせて周囲を警戒している。いつもの様にクママたちと追いかけっこを始めたり、誰かの頭に昇ったりもしていない。シーフの青年と協力しながら、パーティを先導していく。

「キュ!」

「これは、キノコか」

「キュキュー」

「やはりモンスの感覚は侮れないな。こんな見つけづらい採取ポイントを見つけるとは」

「キキュ!」

「モンスターや罠は任せろ。採取ポイントは任せる」

「キュ」

凄いな。リックとちゃんと意思疎通が出来ている。そんな2人に先導されながら、俺たちは10分ほど洞窟を進み続けた。結局、罠も分かれ道もなく、採取、採掘ポイントが幾つかあるだけだったな。

「ねえ、光が見えるわよ?」

「もう出口か」

「結局、洞窟は安全な一本道だったか」

何事もなく洞窟を抜けた先は、緑の木々の生い茂る森となっていた。

「いよいよ本番てこと?」

「ここからは気を引き締めないといけないかもな」

俺たちは改めて隊列を組み直し、森の中を進む。すると、すぐに俺たちの前に立ちはだかる影があった。

「出た!」

「ラビット4匹。リトルベア3匹。オリーブトレントが1匹だ!」

「数が多いな!」

「白銀さん、ラビットを任せていいですか?」

「分かった!」

「リトルベアを最初に殲滅する!」

「俺がトレントを抑えておく!」

マルカたちのパーティがリトルベアに向かっていく。シーフだけがオリーブトレント担当だ。ヘイトをとって、引き付けておく役目らしい。

その間に俺たちはラビットと激戦を繰り広げた。半数が黒ラビットだったため多少手こずったが、最後はクママの爪と、サクラの鞭がラビットを撃破した。

マルカたちはまだリトルベアと戦っているな。

「よし、俺たちはオリーブトレントに行くぞ!」

「ムム!」

「クマ!」

「キュ!」

「――♪」

オリーブトレントは、見た目は顔の生えた木だ。顔も森の長老的な愛嬌のあるタイプの顔じゃなくて、ウロが目と口を形作るちょっと気持ち悪いタイプの顔だ。

根を張っているせいでその場から動けないらしいが、長い蔓の様な物を伸ばして攻撃してくる。シーフは動けないトレントの特性を利用して、遠距離から挑発して、その意識を自分に引き付けていた。

それを見て、ふと疑問が湧く。

「オリーブトレントをテイムしたらどうなるんだ?」

テイムで指定できるという事は、テイム可能なモンスターという事だ。だが、動けないモンスターを連れて行けるのか?

リトルベアを倒してこちらにやって来たマルカたちに話を聞いてみたが、分からないとの事だった。

気にはなったが、今はチームを組んでいる最中だからな。テイムしてしまうと素材などは取れないし、さすがに今は試せない。いや、道中の採取物を少し譲ったりしたら試させてくれないかな?

そうお願いしてみたら、あっさりオーケーしてくれた。彼らにとってトレントの素材は大した価値が無いらしい。むしろ、リトルベアの素材などを多めに譲ると言ったら、どーぞどーぞと言う感じだ。

「でも、このトレント全然可愛くないと思うんだけど?」

「え? まあ、そうかもな」

「いいの?」

「いや、可愛さでモンスを選んでるわけじゃないし」

「ええ! そうなの?」

そりゃそうだろ。そもそも、オルトとサクラとクママは、最初から姿が分かってた訳じゃないし。俺もうちの子たちは可愛い子が多いとは思うけど、あくまでも偶然だ。

「でもでもー、なんか嫌ー!」

「嫌って言われても……」

「白銀さんのモンスは可愛いのが良いのに!」

「いや、でもなー」

「ほらほら、わがまま言うなって」

「白銀さんの勝手だろ」

「ほーら、落ち着こうなー」

「ちょ、離しなさいよ!」

マルカが仲間たちに引きずられていった。うーん、別にテイムしても良いよね?

「あのー、気にしないでください。あいつ、可愛い物に目が無いんで、たまにああなるんですよ」

「はあ」

「ささ、今の内にテイムしちゃいましょう」

という事で、残った戦士に手伝ってもらって、テイムを試みる事にした。ある程度HPを削った後、手加減を使って瀕死にする。後はひたすらテイムだ。

「テイム、テイム、テイム――よし、成功だ!」

3回で成功した。やはりユニークモンスターじゃなければ、結構簡単にテイムできるな。

「さて、どんな感じになるのか……」

いくら何でも、移動できないままじゃないと思うんだよな。ノームみたいに、テイムすると性質が変わるタイプのモンスだと見た。

俺の予想通り、テイムされたオリーブトレントが光に包まれ、大きさを変えていく。ドンドン小さくなっていくぞ。そして、光が収まった時、そこに居たのは俺の想像を越えた姿に変化したトレントであった。

「……苗木?」

「これってモンスなの?」

いつの間にか戻って来たマルカも、首を傾げている。だが俺のステータス欄を見ると、テイムモンスターにオリーブトレントと表示されている。

「いや、でも、名前の決定画面が出ないな」

それに苗木を鑑定しても、ステータスは表示されず、オリーブトレントの苗木とだけ書かれていた。しかも、インベントリに仕舞えてしまう。何と言うか、苗木とモンスターの中間? そんな感じだ。

「こんなモンスターもいるのね」

「いや、俺も初めて見た」

「戦闘は無理そう?」

「だな。まあ、イベントが終わったら畑に植えてみるか」

それまではお預けだな。