軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

ドック

「そうか海賊に思われていたか……」

「すいません……」

調査から帰って来る途中、ドナートとヴィートから海賊狩りだということを聞いたレオは、夜になりガイオに細かいことを聞くことにした。

と言っても、大体ドナートたちに聞いたので特に聞くことはなかったが、ガイオの今後の考えも聞いておこうという思いもあった。

レオがガイオたちのことを海賊なのではないかと考えていたことを聞くと、ガイオは楽しそうに笑みを浮かべた。

もしかしてというくらいとは言っても、疑っていたのは事実なので、レオは申し訳なさそうに謝罪した。

「ハハ……、こんな人相の連中じゃ疑って当然だ。気にすることはない」

レオが疑った理由の1つである人相のことを聞くと、ガイオはドナートを指差して声を出して笑った。

ドナートの目付きの悪さを揶揄するような発言だ。

「……おやっさんが一番海賊っぽいっすよ?」

「…………」

自分も目付きが悪いのは分かっているが、それを言われるにしてもガイオに言われるとちょっと納得できないため、ドナートはガイオにツッコむ。

ガイオ自身もそう言われたら返しようもなく、口ごもることになった。

「人形の強さはどうだった?」

レオに海賊狩りだと知られたからか、ガイオは隠すのをやめたようにヴィートに問いかける。

目の前に本人がいるのに、気にしていないようだ。

「結構やりますね」

「ギリギリ中級冒険者って所です」

ヴィート、ドナートの順でガイオに答える。

それ程強い魔物が出たわけではないので、答えるにもそこまで評価しづらいが、2人は見た感覚をそのままガイオに告げた。

ゴブリンなんかの弱い魔物は初級の冒険者が相手にするような相手。

その魔物が数体出ても難なく倒している所から考えると、中級に入れてもいい程度の実力と言える。

それがロイたちの戦いを見た2人の出した印象だ。

「それだけなら十分だ。数を増やせればだいぶここの安全が確保できる」

ガイオたちとしては、エレナの安全が重要だ。

そのため、家があるこの周辺の安全の確保には神経を使わないといけない。

ドナートたちの評価を聞いて、ガイオとしては人形たちの強さは満足いくレベルだった。

「それに、自分の身を守るために奥の手もまだ用意しているようです」

「ちょっと! ヴィートさん……」

レオからすると、そんなこと言わなくてもいいのにということまでヴィートに報告されてしまった。

2人に言ったように、奥の手は隠しているから奥の手だ。

何かあると思われているだけで、警戒されて効果が薄まるということもあり得る。

少し非難するような反応をするが、レオも報告されることも予想していたのでそんなに強くはしない。

「……ハハッ! 面白い! こんな奴初めてだ!」

「イタタ……、ハハ……」

中級冒険者並みの戦力を持つ人形たちを、魔力が足りる限り動かすことができるというだけでかなり不思議な少年だと思っていたが、まだ何かあるということに興味が湧いてくる。

何でレオがこんな島に送られて来たのかと思えてきた。

この能力を知っていれば、きっとディステの領内はかなり利益を生んでいたはずだ。

しかし、自分たちはこの能力の庇護下に入れた。

これから先の事を考えると、年甲斐もなくワクワクした気持ちが膨らんで来た。

そのため、ガイオはレオの肩を叩いて声をあげて笑ってしまった。

ゴツイ手で叩かれたレオの方は、ジンジンする痛みに耐えて苦笑した。

「でしょ?」

「俺たちも笑っちゃいましたよ」

そのことにドナートとヴィートは、自分たちが聞いた時と同じ反応に笑みを浮かべる。

どうやら自分たち同様ガイオもレオのことが気に入ったようだ。

「俺たちがお前をフォローするから、安心してこの島の開拓に使ってくれ!」

「ありがとうございます!」

海賊狩りたちのトップであるガイオに気に入られ、今後の開拓への協力を約束できた。

なんとなく開拓に船員たちを借りるのがためらわれていたのだが、これで気兼ねしないですみそうだ。

安心したレオは、笑顔でガイオと握手を交わしたのだった。

◆◆◆◆◆

「これで一安心だ」

「あぁ……」

洞窟内に収納された船に、ドナートとヴィートはつかえていた物が取れたような思いがしていた。

昨日発見した洞窟を、海岸から足場と呼ぶには少々危険な岩場を渡って色々と調査へ向かった。

海底の高さや岩の位置などを調べた結果、ガイオたちの船を置くのに十分なことが分かった。

そうと分かれば早速と、岸に停泊させていた船を洞窟内へ格納することにした。

「へぇ~……、すごいな……」

帆に魔法で風を送って微調整しつつゆっくりと船がバックしてくるのは初めて見たので、レオとしてはそれだけで面白かった。

「海に落ちるなよ?」

「溺れるからな!」

「うっ……! 落ちませんよ」

この洞窟の調査をしようとしたのだが、すぐにレオに問題が生じた。

レオは泳げなかったのだ。

それもそのはず、ずっとベッドの上で過ごして来たので泳ぐことなんて出来る訳がない。

体に結んだ紐の端をロイに持ってもらい、もしもの時には引いてもらうというようにして、ここの海で泳ぐ練習をしてはいたが、本で泳法を知っていても体が対応できずたいして上達していない。

今年の夏の間に泳げるようになればいいかと思っていたため、レオとしてはまだ泳げないだけだと言いたいところだ。

レオが泳げないとドナートたちに言うと、からかうネタを発見したとちょこちょこイジって来るようになった。

それを受けて、レオは密かに泳ぎの練習をしないといけないなと思っていた。

「あとは海岸から道を作りましょう」

洞窟内を船のドックに改造するのは船員たちがすることになるのだが、そもそも洞窟へ来るまでの道が危険すぎる。

レオたちのように上から下りる階段を作るにしても、魔物の出現に注意しなくてはならない。

そうなると、魔物の心配のない海岸からの道を作ってしまえばいいということになった。

「スキル! みんな持てるサイズの石を運んでくれるかい?」

“コクッ!”

ポケットや魔法の指輪から大量の布人形を取り出したレオは、スキルを発動させる。

すると、人形たちが動き出し、レオの指示に頷きを返して散らばっていた。

「これだけいるとずいぶん楽だな……」

「そうですね」

列になり、リレーのようにして運ばれた石が海岸近くの岩場に積み上がっていく。

それを見ていたヴィートは、改めてレオのスキルの有用性に感心していた。

塵も積もれば山となるということを証明するかのように、人形たちのお陰で石の山が出来上がっていた。

歩くのも危険な岩場に石を撒き、人工的に整地してしまおうという考えだ。

ドックの製造に洞窟へ向かう船員たちのためには、道が完成するまで板を並べた簡易的な道を通ってもらうことにした。

人形たちによる洞窟までの整地作業は、5日という速さで完了した。

人間でも相当数の人間が動かないとここまでの期間で作ることなどできないだろう。

それがレオのスキルと魔力だけで出来てしまったことに、ガイオやドナートとヴィートだけでなく、船員たちもレオのことを気に入ってくれたらしい。

これで船の修理ができると、レオはみんなから感謝をされたのだった。

「そういや、ゴブリンの方はどうするんだ?」

調査に行った3人は、頻繁に出てくるゴブリンの数が気になっていた。

ゴブリンが少しいるくらいならたいして気にする必要もないが、ゴブリンが大量に生息している場所でも出来ていたら、レオたちの住んでいる所も危険にさらされるかもしれない。

早々に対応にあたった方がいいため、ドナートはレオにそのことを問いかけてきた。

「ロイたちにゴブリンは見つけ次第始末するのと同時に、大量に生息している場所がないか探させています。見つけ次第皆さんと相談させてもらいたいと思います」

「分かった!」

ゴブリンたちの生息地が分かれば、攻め込んで潰してしまえばいい。

生息数次第ではみんなに協力を頼もうかとレオは思っている。

暴れられると思っているのか、ドナートは若干楽しそうだ。

それから数日して、ロイがゴブリンの生息地を発見したことを教えに来てくれた。