軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

991.鍵の真実

「【誘導弾】【ファイアボルト】!」

レンの撃った炎弾が曲がり、アサシンが慌てて回避する。

これによってバランスを崩せば、あとは前衛が叩くだけ。

「【烈風斬り】!」

「【刺殺爆剣】!」

レンの崩しに、すぐさま応えた二人がアサシンを打倒。

「【紅蓮豪腕】」

しかし残ったアサシンの魔導士型が放つ魔法は、後衛の必殺技と呼べるもの。

前衛組の間に、緊張が走る。

「【投石】っ!」

メイは迫る危機に、即座に対応。

魔法を放つ直前に、目にも止まらぬ速さで飛んできた石が直撃して強制停止。

「助かった! 【爆破手裏剣】!」

最後は忍者の一撃で打倒。

追従組は見事、50人に及ぶアサシンたちを片付けた。

「ありがとう使徒長! メイちゃん!」

「使徒長じゃないっての」

「いえいえ、こちらこそありがとうございますっ!」

そう言いながら手を振るメイと、杖を掲げて礼とするレン。

ツバメとまもりも、ぺこりと頭を下げる。

追従組はしっかりとアサシンたちを抑え、メイたちの戦いに余計な邪魔は入らなかった。

見事な仕事ぶりといえるだろう。

「でもツバメちゃん、すごかったねー」

「か、カッコ良かったです……っ」

駆け寄ってきたメイは、そのままツバメに飛びつく。

まもりも、これには興奮ぎみだ。

さらに上位格のアサシンたちを片付けたアーリィも、その凄まじい攻勢に思わず感嘆。

分身全員爆発の余韻は、いまだ色濃く残っている。

「消費、激しそうね」

「想像以上でした」

【分身Ⅲ】だけでもやや高い消費に加えて、数に応じて負荷のかかる【狐火虚像】

レンはツバメの肩を、ポンポンと叩いて笑う。

残されたのは倒れたアサシンたちと、崩れた多くの建物。

そんな中、管理者が一人フラフラと立ち上がる。

「……あれは」

するとこの広い空間、ゼティアの門の手前に転移方陣が現れた。

「レンちゃん!」

「ご到着みたいね」

空中に現れた陣から降りてくるのは、濃灰色の制服に赤のラインが目立つ仮面の者たち。

そこには、拘束着のまま連れてこられた『鍵』の青年の姿も見える。

「帝国残党……っ!」

その姿を見つけた管理者は、すぐさま動き出す。

「このまま、ゼティアに向かわせるわけにはいかぬ……!!」

短距離の転移で建物の上部に上がり、そのまま疾走を開始。

ゼティアの門を目指して駆け出し、あっという間に姿を消してしまった。

「ついに管理者と旧帝国が、最後の門に集まるのですね……」

「私たちも進みましょうか」

「りょうかいですっ!」

「は、はひっ」

強まる緊張感の中、神妙な表情でうなずくアーリィたち。

メイを中心に、再び歩き出す。

管理者やアサシンたちとの戦いで崩れた建物を乗り越え進むと、紋様入りの立方体ブロックが並ぶ区画に入った。

浮かんだブロック、置かれたブロック。

その配置はまちまちだが、同じ作りのものが等間隔にあるため、妙な統一感がある。

立方体ブロックが枝葉につかまれているような状況は、どこか神秘的だ。

さらに進むと少しずつブロックが減り、紋様の描かれた石床の空間になった。

そしてゼティアの門まであと少しというところで、管理者の姿を発見。

「止まれ。貴様たちに、ゼティアの門を開かせはしない!」

旧帝国の者たちに宣言して、構える管理者、

しかしゆっくりと振り返った黒仮面たちは、慌てる素振りもない。

「くだらんな。我らの武力はすでに、旧文明を超えている」

「その驕りが、旧文明の者たちと同じだと言っているのだ!」

「そもそも、世界維持機構のやり方では世界を守ることなどできない」

「何を根拠にそんなことを……ッ!」

管理者が問うと、黒仮面は『鍵』の青年の拘束を解く。

男にも女にも見える、白い髪の青年は静かに顔をあげた。

「教えてやれ。ゼティアを永遠に閉じたままにしておくつもりの間抜けどもに……真実を」

「真実……?」

意外な言葉に、戸惑う管理者。

『鍵』の青年は、無表情のまま応える。

「ゼティアはすでに――――開かれている」

「……なに?」

聞こえた言葉に、管理者は困惑する。

「どういうこと……?」

これにはレンも、思わず首を傾げた。

「かつてこの世界と異世界をつなげた際に、道はつながってしまったんだ。今からそれを消すことはできない」

「だが、現状のように封をしておけるのであれば、それは閉じられているのと同じことではないか」

「それだって隙間がないわけではないんだ。今はまだ穴が小さく、異世界の化物は道を通ることができない。でもいつか必ず、封は破られる」

「ならば、その時また封をすればいいだけだ」

「それには時間がかかるんだよ。異世界の魔物たちが侵入した後に施す封。それにどれだけの意味があるというんだい?」

「それなら一体、どうすれば……」

「決まっている」

ショックにヒザを突き、言葉を失う管理者。

対して、強気で一歩踏み出したのは黒仮面。

「異世界の化物すら圧倒する兵器を生み出せばいいのだ。そしてそれはもう、我らの手の中にある」

「それだと……たとえこの世界をめちゃくちゃにしてでも、兵器を使って異世界の怪物と戦うのが正しいってことか……?」

「いつか破られる封を守って延命するか、汚染兵器で戦うか……どっちも酷い選択だな」

まさかの展開に、追従組もさすがに驚愕する。

広がる戸惑いの中、黒仮面の一人が『鍵』の青年を再び拘束。

「迷う必要などない。異世界の化物を兵器で討つ。貴様たちは我らに支配されればいいのだ」

「馬鹿を言うな! 大槍に刺され、氷山に封じられた北極の怪物。旧文明を崩壊したあの個体ですら、異世界ではトップクラスに入らないほどの立場なのだぞ!」

「我らには、恐れるに足らぬ」

必死の叫びをあげる管理者。

しかし黒仮面たちは、そう言って余裕の笑みを見せたのだった。