軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

978.新・王トカゲ

ターゲットになったプレイヤーに反応して、召喚されるシステムから現れたのは、まさかの王トカゲ。

どうやら初めての大型イベントで向かったジャングルのキング・ゴールデンリザードとは、また違った強個体のようだ。

速い移動から振り下ろした剛腕が、床を叩く。

「【ラビットジャンプ】!」

メイがこれをかわすと、即座に後衛組が魔法を放つ。

「【アイシクルエッジ】!」

「【ウィンドストライク】!」

「【ロックバレット】!」

しかし王トカゲがこれに、鱗の色を変えて対応。

魔法耐性を高めることで、ダメージを5%以下に抑える。

反撃は、吐き出す毒液弾。

「【かばう】!」

数十センチの毒液の砲弾を、上手に盾で弾いて落とす。

「あれに防御で対応できるって、盾子ちゃんやっぱすげえな……!」

大きく毒飛沫が跳んだにもかかわらず、誰も毒を受けることはなし。

「【バンビステップ】!」

掲示板組が驚きに揺れる中、走り出したメイは、毒砲弾連射の隙間を抜けていく。

そしてカウンター気味に飛び掛かりを仕掛けようとする王トカゲに対し、大きく息を吸った。

「がおおおおおお――――っ!!」

「【フリーズストライク】!」

「【アイシクルエッジ」

「【フロストシェル】!」

まもりの防御力とメイの回避力に驚きながらも、隙を見逃すことはない。

【雄たけび】に合わせて、レンと共に魔法攻撃を放つ。

掲示板組にも、メイが叫べば攻撃という意識はできているようだ。

続く氷魔法の連携が、しっかりとダメージを奪った。

わずかに体勢を崩した王トカゲは、即座に尾を振るって反撃に入る。

「「「っ!!」」」

地面を擦る形での回転は、砂煙を大きく巻き上げる。

奪われる視界に、しかし慌てる者はなし。

「いーちゃん! お願いしますっ!」

肩に飛び乗ったいーちゃんの吹かす突風が、砂煙を吹き飛ばす。

すぐに攻撃に向かおうと動き出すメイたちだが、すでに王トカゲは攻撃体勢。

【尻尾斬り】は、その長く鋭い尾を使った回転斬撃。

円形の攻撃軌道は範囲が広く、また凄まじく切れ味が鋭い。

三回転の高速斬撃は、容赦なく付近の木々をまとめて切り刻んだ。

「「「うおおおおおお――――っ!?」」」

皆必死の防御でどうにか防ぐが、大きく弾かれる。

前衛の敏捷組は、防御してなお2割を超えるダメージを受けた。

「トカゲの尻尾に斬られるって、冗談効いてるわね……! 本来であれば、砂煙の中であの斬撃を放って大惨事ってところかしら!?」

レンの予想は正解だ。

いーちゃんの暴風がなければ、視界を遮られた状況下で高火力の斬撃を受けることになっていた。

「【バンビステップ】!」

またも早い動き出しはメイ。

ツバメですら三回転目は【跳躍】による大きな動きで避けた斬撃を、前方への【アクロバット】だけで回避していた。

「【フルスイング】!」

駆け込み、すぐさま攻撃を叩き込む。

ダメージは3割強。

さらに踏み込んでくるメイに対し、王トカゲは鱗の耐性を変えて対抗。

続く【フルスイング】は、8%ほどのダメージに抑える。

「【三連射】【アイシクルエッジ】!」

「【連続魔法】【フリーズボルト】!」

ここで攻撃に入ったのは、樹氷の魔女とレン。

物理耐性時の魔法攻撃は、予想通りしっかり通る。

レンと同じタイミングで綺麗な魔法攻撃をした自分に、うっかり気持ち良くなる樹氷の魔女。

「【ウィンドストライク】!」

「【ファイアジャベリン】!」

するとワンテンポ遅れて、後衛部隊も魔法で続く。

わずかに体勢を崩していた王トカゲには、回避は厳しい状況。

だがしっかり引き付けてからの耐性変更で、魔法防御をしっかりと上昇させる。

「くっ、遅かったか!」

悔しそうにする後衛魔法部隊。

「【加速】【リブースト】」

そんな中、ツバメはすでに回り込むような形で王トカゲの懐に入り込んでいた。

「「「うまい……!」」」

思わずもれる言葉。

遅れて魔法を放った掲示板組の魔法攻撃を、鱗の変化で受けた王トカゲ。

早いタイミングでの連続耐性変化も、三度目はさすがに間に合わない。

「これなら、防御属性の変化も間に合わないわっ!」

「――――【斬鉄剣】」

「「「決まった!」」」

見事な一撃に、斬られた身体が大きく飛ぶ。

跳ね上がったのはしかし、その長い尻尾のみ。

「【トカゲの尻尾切り】だー!」

「しっかり高火力攻撃に対して使ってきたわね……! このトカゲ、本当に戦い方が上手。でもこれでしばらく緊急回避はできないはず! この流れは悪くないわっ!」

まさに一進一退の攻防。

激しい戦いに思わず、掲示板組も熱くなる。

王トカゲは、自らの尾を斬り飛ばしたツバメを狙う。

低空の跳躍による飛び掛かりを、ツバメがバックステップでかわした。

続く腕の叩きつけを横への移動で避けると、再び低い跳躍での圧し掛かり。

「【加速】【リブースト】【スライディング】!」

これをギリギリで潜り抜けたツバメは、すぐさま【反転】

「ッ!?」

しかし王トカゲも半回転して、一直線に特攻を仕掛けてきた。

「【飛び跳ね】っ!」

そこに飛び込んできたのは、スライム。

「【素材変化・鋼】【可変・大槍】!」

地面から突き上がる槍のような形になり、王トカゲの足を強制停止。

「【投擲】!」

ツバメが即座に【雷ブレード】で硬直を奪えば、そこに駆け込んでくるのは迷子ちゃん。

「【スリップ・フット】からの――――【ジェット・ナックル】!」

叩き込む拳が王トカゲを捉え、噴き出す蒸気と共に大きく後退させる。

「【飛び跳ね】【砲弾跳躍】!」

すると続けざまにスライムが特攻して追撃。

さらに敵の巨体を、大きく後退させた。

「ツバメさんっ! 跳べるぽよっ! 【弾力変化】っ!」

「はいっ! 【跳躍】!」

ツバメは弾力を大きく上げたスライムを踏み台に、高く遠く跳躍。

「いきますっ! 【回天】!」

そのまま空中で縦に一回転。

手にした【村雨】で、王トカゲの頭部に一撃を叩き込んだ。さらに。

「むぎゅっぽよ!」

「わはははは! 俺も続くぞーっ! 【地獄極楽落とし】ィィィィ!」

続けてスライムを踏み台に跳んだ半裸金仮面が、手にしたハルバードを豪快に叩きつける。

吹き上がる神々しい金のエフェクト、だがまだ止まらない。

「むぎゅぎゅっぽよ!」

「【セラフィムスラスト】!」

最後は上司にバレないよう、仕事を休んで参加している一人の男。

斬りつけた剣が、白光のエフェクトを巻き上げる。

派手なエフェクトの前に、並んだ三人。

アサシン、半裸、聖騎士。

バラバラ過ぎるその姿に、思わず誰もが手を叩いて笑ってしまうのだった。