軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

970.大集結

「……なんだか少し、賑やかな感じかも」

メイの【猫耳】が、異音に気づく。

「王都地下に、クエスト確認のプレイヤーたちがやって来てるんじゃない?」

「おそらくルートはいくつかあると思うので、別の流れで来てるのかもしれませんね」

「なるほどー」

「まもりさんにも、何か聞こえますか?」

「わ、わん!」

「コーギーの状態でも、普通に話せるわよ?」

「っ! す、すみませんっ!」

犬の鳴き声をマネる時でも一度噛んだことに、ちょっと笑うレン。

どうせなら変身が解けるまでこのままでと、メイはコーギーまもりを抱きしめたまま歩く。

その状況にツバメは、微笑ましいやら羨ましいやらの視線を向けるのだった。

「王都に到着だああああ――っ!!」

迷子ちゃんを抱え上げたスライムたちが、王都ロマリアに到着した。

「待ってたぞ! 無事に迷子ちゃんを移送できたんだな!」

「この通りぽよ!」

「ご迷惑をおかけしました!」

さっそく集まる掲示板組。

以前、迷子ちゃんが一人迷い込んだ謎のルート。

そこで見た光景は、エルラトやナディカによく似ていた。

その事を思い出した迷子ちゃんを、居場所特定班と運送班が見事な連携で確保。

こうしてロマリアに集合することになった。

「王都地下のマップを作ってたプレイヤーから、地図をもらっておいたぞ」

「よし、これで準備は万端だな」

「ルートはまだ未確認だけど、行ってみる価値はある。総当たりするくらいの覚悟で勝負だ!」

メイたちとはまた違う、以前使ったルートからあらためて進む形。

しかしこの流れに、誰もが確信めいた予感を覚えていた。

「途中までは敵もそう強くない。まずはとにかくルート探しが大事だ!」

ルートの発見は、とにかく人数が重要。

そうなれば、初級者も重要な戦力だ。

一気に高まっていく、王都地下への熱意。

「行け行けー! ワールドクエストは地下にある!」

「とにかく地下を駆けめぐって、気になったところは全部突き進むんだ!」

「今まで迷子ちゃんしかたどり着いてないような場所だ! 探索は道に迷うくらいでちょうどいいぞ!」

「すげえ……! 王国がこんなに騒がしくなるのは、獣の王との戦い以来だな!」

掲示板による情報拡散から始まった、王都集結。

ロマリアの街にはすでに、大量のプレイヤーが集まってきていた。

いくつもある地下への出入り口には、様々な装備をしたパーティが座り込み、スキルやアイテムなどの確認をしている。

マーちゃんを中心にした商人たちも集まり、対応も万全だ。

そんな光景にワクワクしながら、プレイヤーたちは地下に降りていく。

「メイちゃん追従部隊、出動だ!」

「「「おうっ!!」」」

暗い地下を、大量のプレイヤーが突き進む。

「…………ん?」

そんな中、その道に最初に気づいたのはレベル18の剣士だった。

まさにメイたちによる盛り上がりに誘われてやってきた、新規プレイヤーだ。

「おい! これじゃないか!?」

簡素だが手前に目立つ罠があるため、回避しようとすると、その陰にある道に気づけない。

マジシャンが行う視線誘導の方法で隠された、青銅の配管。

そして高レベル向け区域ではないため、『慣れた』プレイヤーは通らない場所。

そこはまだ、地図にも載っていない。

「6地区の12番付近に、未確認ルートの可能性ありだ!」

メイたちが見つけて以来、マップ作りを好むプレイヤーが王都地下も地道にマップ作成していたため、すでに『地区』と『番地』まで振り分けあり。

「6地区の12番付近に、未確認要素あり!」

あっという間に、伝わっていく情報。

最初に集まってきたパーティは、低レベルのプレイヤーたち。

新たな道を前に、今回の重要参考人である迷子ちゃんの到着を待つ。

「この感じ、覚えがあります……!」

低レベルパーティが開いた道に、大急ぎでやって来た迷子ちゃん運搬組。

青銅製の配管を見た迷子ちゃんは、大きくうなずく。

「進むぽよっ!」

「今はとにかく、使徒長たちを追うことが全てだ。可能性があるなら進むのみ」

「……俺のメイちゃんレーダーも、反応してきた」

「ならば出会う確率も上がってきますね」

迷子ちゃん運搬組は、迷子ちゃんを囲むようにして青銅の配管内を進む。

「皆さん、これを持っていてください」

「これは……【痺れ針】ではないか」

「どういうことぽよ?」

「はい。動けなければ迷子にもなれませんから……っ!」

「「「っ!?」」」

とんでもないこと言い出す迷子ちゃんに、皆噴き出す。

「な、なあ! この水音、外に流されるタイプの罠じゃないか?」

そんな中、追従の初級者が気づく。

聞こえてきたのは、激しい水流の音。

配管内を水で洗い流す罠は、そのままプレイヤーを外部に排出する可能性が高い。

「横道に逃げるぽよ!」

「横道だ! 横道に駆け込め!」

慌てるプレイヤーたち。

しかし迷子ちゃんは、足を止める。

「どうしたぽよ!? このタイプの罠は、逃げないと即死か外部に流されるぽよ!」

「……青銅の配管内で、水に流された覚えがあるんです」

「本当ぽよ……?」

「はい」

「……い、いくぽよっ! このまま流されて、先に進むぽよ―っ!」

迷子ちゃん運搬組は全員で迷子ちゃんをつかみ、そのまま水流に流される。

残されたプレイヤーも逃げ切れずに飲み込まれ、進む配管の中。

必死に流されるルートを確認しながら進行。

流されついた先は、使われてない地下水路の一角。

古い石積みと、水流だけの空間だ。

「……生きてるぞ! これは何かありそうだな!」

「やっぱり、この水路にも覚えがあります!」

「俺たちは引き返して、ルートを教えてくる!」

「お願いするぽよっ!」

さっそく初級者勢が、ここまでのルートの報告に走る。

迷子ちゃん運搬組は、記憶を頼りに静かな水路を進む。

並んだ魔法珠のランタンの中を進んで行くと、水路の下に潜るような道に続く。

そこからは広い一本道、その大きさは地下鉄のプラットホームほどか。

そして最奥には、両開きの大きな岩扉があった。

「これか……」

マウント氏はその光景に、深くうなずく。

「この作り、やはり遺跡を思い出すな」

樹氷の魔女はそう言って、静かに紋様ブロックの扉に触れた。

扉には、その半分以上を覆う植物の枝と葉。

「【凪一閃】!」

マウント氏の放つ振り払いが、枝を斬る。

「【三連射】【アイシクルエッジ】」

さらに樹氷の魔女が、氷の刃の三連発で続く。

「【砲弾跳躍】ぽよ!」

さらにスライムの突撃まで続いても、扉に動きはなし。

「ほとんど無傷か……このままでは進めそうにないな」

固く閉じられた扉。

どうやらたどり着いただけでは、先に進めない場所のようだ。

「そこで、これが役に立つのではないかと思いまして」

そう言って迷子ちゃんが取りだしたのは、ラプラタでツバメから受け取った【剪定ばさみ】

そっと近づき、枝の一つを斬る。

するとヒモが解けていくように、扉に絡みついていた枝が一斉に引いていく。

そしてそのまま迷子ちゃんは、両開きの扉を押してみる。

すると、鳴り始める重たい音。

紋様の描かれた大きな扉が、ゆっくりと開いていく。

「……ついにきたな」

重厚な扉が、地面を揺らしながら開いていく光景は、圧巻の一言。

「別の遺跡で得たアイテムが、こういう形で活きるんですね」

「これはもう、間違いないぽよ!」

「ここがクエストの入り口か。いよいよ始まるんだな……!」

「私たちはこの場所の情報の伝達に向かいます! トップ含め皆が集合できるように!」

「よろしく頼むぽよ!」

「お願いします!」

見つかった、三つ目の門へのルート。

この場所を目指して、集まってくるプレイヤーたち。

こうして掲示版組は、地下深部に踏み込んだ。