軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

855.一掃

「【影走り】」

「【影走り】」

残るアサシンは二体。

その狙いは、戦いの中心になっていたメイとレンだ。

しかしメイが立ち塞がったことで、アサシンは二体ともメイに攻撃を仕掛けにいく。

「ボス格の連携……!?」

この事態に驚く追従プレイヤー達。

「【斬烈】」

一体目のアサシンが、飛ぶ剣撃を放つ。

これをメイが身体の傾けで避けると、即座に二体目のアサシンが短剣で続く。

「【双斬烈】」

左右二連の剣撃は、攻撃範囲を広げる空刃で剣を包むもの。

メイはこれを冷静に見極め回避する。

すると剣撃を飛ばしたアサシンの直後に、間髪入れずに短剣の振り払いが続き、踏み込みからの返しへとつなぐ。

これを下がって避けたところに、【跳躍】から振り下ろす斬撃。

「【アクロバット】!」

バク転でかわすと、着地したばかりのアサシンを追い越す形で、短剣のアサシンが空いた手を伸ばす。

「【極氷砲】」

「【裸足の女神】っ!」

だがスキルが発動する直前、メイは低い跳躍でアサシンの目前に。

「【カンガルーキック】!」

放つ前蹴りがアサシンの胸元を蹴り、スキルをキャンセルさせつつ体勢を崩した。

「【装備変更】【キャットパンチ】!」

装備を【狐耳】に変更し、一気に【狐火】拳打を叩き込む。

さらに横から飛び込んできたアサシンの剣をかわして、三連発。

「【尾撃】っ」

硬直が解けた短剣アサシンの頬を張り、攻撃を強制停止。

「【斬烈】」

ここで剣のアサシンが、近距離から斬撃を飛ばす。

「よい、しょっと!」

メイは迫る水平の剣撃をブリッジで回避し、そのまま足を蹴り上げてバク転。

体勢を立て直す。

すると剣撃はそのまま、短剣のアサシンに直撃。

「「「おおっ!!」」」

この距離で敵の攻撃を利用して戦うメイに、歓声が上がった。

ボス二体を相手にしても、メイはしっかり優位を取る。

「お、おいっ!」

だがこの戦いに目を付けたのは、剣のガーゴイル。

翼を羽ばたかせて滑空し、そのままメイの背後に着地。

そのまま剣を振り払う。

「【装備変更】【アクロバット】!」

しかしメイは、急な滑空から剣を振り払った大型ガーゴイルの攻撃を、側方への伸身宙返りでかわす。

「「「ッ!?」」」

飛来時の翼の音の接近、そして着地の音を聞きつけ、攻撃が縦であろうと横であろうと回避できる角度へ跳躍。

これによってアサシン一体と剣のガーゴイルが、同時に隙を晒した。

「メイっ!」

「りょうかいですっ!」

「【魔剣の御柄】【フリーズブラスト】!」

この隙を逃さず【低空高速飛行】で後方からやってきたレンは、そのまま魔法の剣でアサシンを斬る。

「続きますっ」

レンを追い抜き、続くメイの振り上げ。

すると大きく斬り飛ばされたアサシンと入れ替わるように、跳躍から短剣で斬りかかりにくる二体目のアサシン。

「【解放】!」

ここでさらにメイの前に出たレンが、放つ氷嵐で吹き飛ばす。

レンからメイにつないでまたレンというめずらしい連携に、思わず笑い合う二人。

「四体目ッ!?」

しかしこの隙に迫り来ていた槍のガーゴイルがレンを狙い、一気に距離を詰めてきた。

着地と同時に槍を引き、そのまま突き出してくる。

「マズいぞっ!」

思わずもらす言葉。

しかしその穂先がレンに届く瞬間、槍のガーゴイルの首にかかった一本のロープが、突然強く引かれた。

「【ゴリラアーム】! からの【ラビットジャンプ】!」

メイは捕えたガーゴイルを振り回しながら跳躍。

跳べば当然、槍のガーゴイルも宙に浮く。

「せーのっ! それええええええ――――っ!!」

そのまま鎖鎌の要領で、槍のガーゴイルを剣のガーゴイルに叩きつける。

絡み合う形で転がっていくガーゴイルは、そのままアサシンたちの方へ。

ボーリングのように転がるアサシンを前に、メイは右手を突き上げる。

「【装備変更】! それでは――――よろしくお願い申し上げますっ!」

神殿区画の足元に、現れる魔法陣。

そこから飛び出してきたのは、巨大な一頭のクジラ。

天空遺跡を舞うクジラという幻想的な召喚魔法に、いよいよ唖然とする追従プレイヤー達。

【幻影】によって二頭になったクジラはそのまま、大型ガーゴイルとアサシンのもとに直撃。

ガーゴイルは巻き起こる波に流されて消え、アサシンも吹き上がる青い炎に焼かれて倒れる。

メイはクジラに頭を下げた後、両手で狐を作って「こんこん」と決めポーズ。

誰もが安堵の息をついた。

しかし次の瞬間、付近の小型ガーゴイルたちが一斉に飛び上がった。

未だ数百を数えるガーゴイルたちは空を飛び、その向きをメイの方へと向ける。

輝く黄色の結晶。

見れば早い段階で転倒から復帰した一体のアサシンは、召喚の発動と同時に駆け出し、ギリギリでクジラの攻撃範囲を抜け出していたようだ。

「【影走り】」

こちらに向けて走り出すアサシン。

それに反応してガーゴイルたちも、一斉に飛び掛かってくる。

アサシンの奥義は単体の攻撃スキルではなく、ガーゴイルたちをまとめてけしかけるという驚異の戦法。

「なんだよこれ……!」

大量のガーゴイルを引きつれ、先行するのはアサシン。

「【超速処刑】」

「「「っ!!」」」

それは目にも止まらぬ速度で迫る、刺突の一撃だ。

そのうえ相手の動きを最後まで見て放つため、安易な早い回避は致命傷となる。しかし。

「【かばう】【地壁の盾】!」

ここで合流してきたまもりが【かばう】を発動。

猛烈な雷光のエフェクトと共に放たれた突きは、盾に阻まれた。

「【投擲】」

ここでさらにツバメが、【雷ブレード】でアサシンを止める。

まもりは大急ぎで走り出し退避。

メイはすでに、右手を高く掲げていた。

「ありがとうまもりちゃん、ツバメちゃん! ――――それではどうぞ、お越しくださーい!」

新たに描かれる魔法陣は空中。

落下してきた巨大な白象の衝撃に、プレイヤー達が一瞬浮き上がる。

その鼻から放たれた大量の水は雨となり、場の天候を変えた。

そしてレンはすでに、準備を終えている。

手にしたのは魔法広範囲化の杖【ヘクセンナハト】

「【コンセントレイト】【フリーズブラスト】!」

放たれる『溜め』の氷嵐は、その範囲を大きく広げる。

降りしきる天気雨に濡れたガーゴイルたちは一斉に凍結し、落下していく。

こうなればもう、後はまとめて叩くだけ。

「いきますっ! 必殺の――――」

メイは掲げた剣を、力強く振り下ろす。

「【ソードバッシュ】だああああああ――――っ!」

駆け抜ける猛烈な衝撃波が、ガーゴイルの群れを消し飛ばし、アサシンを吹き飛ばす。

やがて雨が上がると、そこにはもう倒れ伏すアサシンしか残っていなかった。

「レンちゃんないすーっ!」

自然と集まり、ハイタッチする4人。

メイは帰って行く象に、笑顔で手を振る。

「これが……メイちゃんたちの力か……」

「すさまじいな……」

合計6体のボスを圧倒し、小型のガーゴイルたちまで一掃した4人。

その力量を目の当たりにした追従プレイヤー達は、感嘆の息をつくのだった。