軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

847.中枢部へ

「いくぞ! 【ボルケーノフレイム】!」

突き上げた杖から吹き上がった十発の炎塊が、一斉に敵目がけて放出される。

これを無言のままかわすアサシンたち。

「【ロングジャンプ】!」

「【大跳躍】!」

「【浮き足】!」

この合間を突き、前衛のプレイヤーたちが駆けつけるが――。

「――――【動け】」

アサシンの一人が、手に持った結晶塊を光らせる。

すると付近の灰色ブロックに刻まれた紋様が輝き出した。

そしてそのまま、二十個ほどが移動を開始。

「お、おいっ!」

容赦ない速度の十字移動は、そこにプレイヤーがいようがいまいが関係ない。

「「「うおおおおおお――――っ!!」」」

ブロックに挟まれ、ぶつかられ、弾かれた者が落ちていく。

予想外の攻撃に、驚くプレイヤーたち。

アサシンたちは、この隙を突いて動き出す。

全員がブロックを見事な形で渡って跳躍。

手にした武器で、今も驚きの中にあるプレイヤーたちに斬りかかる。

「「「わあああああ――っ!!」」」

その勢いに、新たに数人のプレイヤーが落下。

「【風弾】」

「おい! まずいぞっ!」

放たれた緑の魔力光弾が弾け、突風が吹く。

これを必死に防御するが、耐える剣士のもとにブロックを蹴って近づいてきたアサシンは、着地と同時に短剣による攻撃を三連発。

「うおおおおーっ!?」

その勢いに耐え切れず落下していった。

するとアサシンは、そのまま『範囲外』へと早い跳躍で退避する。

その意図をプレイヤーたちが計りかねていると、頭上に変化。

「マジかよ」

百を超える数の天井ブロックが光り出し、そのまま落下してくる。

「「「う、うおおおおおお――――っ!?」」」

元々のブロックと降ってきたブロックが乱雑に重なり、これまでの整然とした感じが一気に事故現場のようになった。

それでもアサシンは止まらない。

ごちゃごちゃしたブロックと、多くの味方が落下したことで連携も取れずにいるプレイヤーたちを、次々に片付けていく。

「くっ! 【アローレイン】!」

起死回生を狙ったプレイヤーの範囲攻撃も、余裕ある状態のアサシンは問題なく回避。

足止めにすらならなかった。

しかし、ここで変化が起こる。

「なんだここ……!?」

「おい! ここから中に入れるぞ!」

外部から入り込んできた三十人ほどのプレイヤーたちが、この状況に気づいた。

アサシンたちを敵と判断し、数で押し切るような形の攻勢をかけにいく。

しかし、そのタイミングは最悪だった。

最奥のアサシンが黄色の結晶塊を輝かせると、そこにたまっている全ての灰色ブロックの表面が輝き出す。

「……おい! これってまさか!」

「退避だ! 退避しろぉぉぉぉーっ!!」

先にこの場にいたプレイヤーは、これまでの『ブロック攻撃』を見てきたがゆえに、その展開を予想。

数秒後、まさに予想通りこの場に溜まっていたたくさんのブロックが順次落下を開始。

「「「うわああああああああ――――っ!!」」」

その場にいたプレイヤーたちを巻き込み、そのまま落下していった。

アサシンたちは落ちゆくブロックを跳び、何事もなかったかのように散会。

そのまま姿を消した。

やがて思い出したかのように壁からブロックが飛び出し、『原状復帰』が行われていく。

「あ、あっという間でした……」

「容赦なかったわね。アサシンは単純な敵かつ『仕掛け』みたいなポジションなのかしら」

「すごい勢いです」

「とりあえず中央部に向かってみようよ。ここまでして進ませたくないのなら、きっと大事な何かがあるんじゃないかな」

「それがいいだろうな」

あっという間の出来事に感嘆しながら、メイたちは遺跡中央部へと続く通路へ向かうことにする。

戦いが終わった直後は、忍び込むのには絶好だ。

「はい、まもりちゃん」

「し……失礼しますっ」

念のため手を取るメイと、恥ずかしがりつつ恐縮するまもり。

ツバメはちょっと羨ましそうに後に続く。

「こっちこっちーっ!」

元気なバニーに引かれる形で、念のため戦闘の舞台になった浮遊ブロック帯を避けて通路へ。

進んでいくと、その先には大きな紋様の刻まれたブロック壁が現れた。

最奥まで進むと、王城で見つけた宝玉が光り出し、足場のブロックがゆっくりと沈み始める。

「わあ……すごい」

「本当ですね……」

メイは思わずツバメの袖を引く。

エレベーターのように降りていった先にあったのは、広大なブロック積みのホール。

空中で制止している、いくつもの灰色ブロック。

そしてホールの真ん中には、輝く巨大な黄色の結晶塊。

空間の6割を埋める氷山型の結晶は、静かに光を灯している。

その体積の半分は岩石大陸の『下部』に当たる部分に埋まっており、床一面に敷かれたブロックの紋様に、その光が流れていく。

光はそのまま壁を伝い、天井の中心部分に集結。

天空遺跡の各所に流れていくのだろう。

「これで天空遺跡の色んな動力を賄っているんだね」

アーリィたちも、美しく不思議なその光景に目を奪われる。

「……あれってー、どーいうことかな」

そんな中、やはり目に付くのは光の流出が途切れている部分だ。

抜けたブロックのせいで、結晶から出る光がそこでせき止められてしまっている。

「この途切れた部分をつなぐと、どこかに影響が生まれる。そんなところでしょうね」

「やらない手はありませんね」

メイは近くの浮遊ブロックに触れてみる。

すると、思ったよりあっさり動かすことができた。

どうやら、押した方向に動くようにできているようだ。

そのまま穴の開いた箇所にブロックを下ろし、途切れた電線をつなぐように光の道を開通。

「「「「っ!」」」」

すると、大きな装置が動き出すような音が聞こえてきた。

「なっ、なんだにゃん?」

「何かが、始まったみたいだね」

「音は外からだよ」

メイの猫耳が動く。

この大きな作動音は、外部から聞こえてきているようだ。

自然と動き出す8人。

入って来た時とは反対側のブロックエレベーターに乗り、結晶の部屋を出る。

するとそこは、メイたちが最初にたどり着いた居住区画の反対側。

神殿区画へと続く、長いブロックの道が広がっていた。そして。

「……アサシン」

レンがつぶやく。

出口側から、横並びで歩いてくるアサシンたち。

両者の足が、自然と程よい位置で止まる。

「――――そこまでだ」

「――――世界のため、侵入者を排除する」

アサシンたちは短くそう言って、動き出した。