軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

819.事の顛末

「もう……やっぱりこうなっちゃったよ」

淡い金の長い髪に、羽飾り付きの金冠。

軽鎧に剣を携えた少女アーリィは、くぼみを駆け上がって息をつく。

「たーっ!」

同じくくぼみから飛び出してきたバニーの自由さを見ると、どうやらアーリィは振り回されるリーダーのような役目を担っているようだ。

「騒がしくてごめんなさい。実は皆さんにお話があって来たんだけど……魔物を先に片付けようとしたらこんな形に」

残った二人も面倒見良く穴から引き上げたアーリィは、仕切り直す。

「初めましてだね。私たちは四人パーティで活動しているの。最近の活動だと、攻略組って言えば分かってもらえるかな」

アーリィはそう言ってほほ笑む。

「星屑の本編と呼べるようなクエストを狙ってるパーティよね。聞いたことはあるわ」

「四人だけで本編を追っているのですか?」

ツバメの疑問に、アーリィは首を振る。

「実は攻略組といっても、一つのパーティを指しているわけじゃないの。今回は4つのパーティが集まって一緒に攻略をしていた感じなんだ」

「そうなのですか」

「でも今回、攻略組の遠征は失敗に終わっちゃったんだ。それで帰ってくることになった感じだね」

「敗因は何だったの?」

「単純に敵の強さとか、クエストの難しさかな」

「死に戻れば、その地へ向かうためのダンジョン前からやり直しとなるからな。その時点で失格も同然という状況だった」

そう続けたのは、淡い水色の羽織を着た少女。朔月夜琉。

切りそろえたロングの白髪と華奢さが儚さを感じさせるが、手にした黒鞘の太刀は不釣り合いなほどに大きい。

「それで、話っていうのは?」

「私たちは攻略から死に戻りで帰ってきたんだけど、問題はここからなんだ」

「問題……?」

「攻略組は4パーティで合計22人。壊滅した地点から戻ってきたのは、私たちともう1パーティの9人だけ」

「他2パーティは生き延びたってことね」

「そうだと思うんだけど……残り13人は現地から帰ってこないし、それ以降見かけてもいないの。そして……連絡も取れない」

「ええっ!?」

まさかの話に、メイが驚きの声を上げる。

「行方不明ということですか?」

ツバメの問いに、アーリィはうなずく。

「もともと親しい人と同行してたってわけではなかったんだけど、3ヵ月近くも一緒だったのが突然音信不通の行方不明って、ちょっと異常だよね?」

「しかも連絡すら取れぬのだ。そしてあの戦闘状況からの逆転劇はさすがにないと思う。よって逃げて生き延びた可能性が高そうだが……メッセージすら返ってこない」

行方不明という事態に、まもりは盾を握って息を飲む。

急に忙しくなってログインできていないといったパターンも、13人が同時にというのはさすがにありえない。

「だから何が起きてるのかを知りたいんだけど……攻略組は半分以上が行方不明だから戦力も半分以下。私たちが全滅した場所まで戻るのは結構大変なんだ。そこでどうしようか悩んでいたら……」

「バニーが、メイさんたちに声をかけてみようと言い出したのにゃん」

「…………」

黒髪、黒レース、悪魔の角。

後衛の灰猫という少女が、突然『にゃん』とか言い出したことに、ちょっと驚くレン。

それに気づいたアーリィが、すぐにフォローに入る。

「ええと、ごめんね。灰猫はちょっとトーンが低いでしょう? それでよく『つまらなそう』とか『怒ってる』って勘違いされることが多くて……だから語尾に『にゃん』を付けて『そんなことないよ』を表現してるみたいなんだけど……」

「あ、ああ、そういうことなのね」

確かに、語尾に『にゃん』を付けているヤツは絶対に怒ってない。

とはいえ、さすがに棒読みが過ぎるが。

「がんばって語尾『にゃん』する人なんて、初めて見たでしょー?」

そう言って笑うバニー。

「もーちょっと自然に言う練習が必要にゃん?」

「くっ」

バニーの完璧な語尾『にゃん』に、灰猫はちょっと悔しそうにする。

レンは「こんなキャラたちを抱えているから、体よく攻略組を追い出されたのでは?」……とは言えずに飲み込んだ。

「クエストの途中で死に戻っちゃったのは仕方ないけど、消えた2つのパーティが気になるし、情報を全部開示したら助けてもらえないかなと思ったんだ。私たちは撤退したクエストだし、真実を知ることができればそれで十分ってところなんだけど……どうかな?」

そう言いながら「お願い」と、可愛くウィンクするアーリィ。

思わず「かわいいー」と口走るメイ。

可愛さに少しだけ大人っぽい綺麗さを含むこの少女、『戦乙女』と呼ばれるのもよく分かる。

「皆はどう?」

「『星屑』の行方不明者探し、ドキドキしちゃうね……!」

「はい、私も連絡のつかない13人というのは気にかかります」

「わ、私も興味あります……っ」

「良さそうね。私は本編部分にも興味あるし、それならお手伝いしましょうか」

「よかった! ありがとう!」

そう言って、うれしそうに笑うアーリィ。

メイの両手を取って握手をすると、並ぶ二人の可愛さにツバメが足をフラつかせる。

まもりも「いい物を見ました」と、嬉しそうに微笑んだ。

「でも、どうして私たちに……?」

その経緯が気になったレンがたずねる。

「バニーがメイちゃんたちの記事を読んだみたいで、それがきっかけかな」

「バニーちゃんたちが攻略にこもってる間に、とんでもない大型プレイヤーが出てきたーって聞いちゃったからね! しかも野生、野生、野生的!」

「もう野生だけになってるー!」

「どの動画にも、驚かされたにゃん」

「ああ、実際驚いたぞ。まさか崩壊のフローリスを復活させたり、かの帝国のクエストを見つけ出す者がいたとはな」

夜琉もそう言って、その凛々しい目を向ける。

「行方不明者は気になるし、見れば見るほどメイちゃんたちにも会ってみたくなって、私たちが追ってたクエストの情報を全部開示してでも話をしに行ってみようってことになったんだよ。あらためて、よろしくね」

「こちらこそ、よろしくお願いいたしますっ」

こうしてメイたちは、攻略組として活動していた四人組と、行動を共にすることにしたのだった。