軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

763.報酬のお時間です!

完成した教会の銅版画に、一喜一憂するメイたち。

やがてビルダ老人が、話を再開する。

「さて、フローリスの英雄たちよ。君たちにはお礼が必要じゃな。この街の倉庫にもいくつか冒険に使えそうなものが眠っておっての」

「俺たちには使い道がないものばかりだからな、ぜひ持って行ってくれ!」

「持って行ってくださいっ」

そう言ってエンリケと少女が持ってきたのは、古びた宝箱。

銅製の箱には綺麗な花の彫金が施され、他で見るものとは少し趣が違っている。

「それじゃあ、開けてみましょうか」

並んだ四つの宝箱を前に、ワクワクが止まらない四人。

メイの尻尾は勢いよくブンブンしている。

「それじゃまずは私から」

【燃焼のルーン】:対象に刻むと、任意のタイミングでの着火が可能。対象を10秒ほど焼き続ける。

「ルーン? なんだかこれまでとは違うスキルが出てきたわね」

今のスタイルとは少し違うルートの戦法が出てきて、レンはわずかに驚く。

ルーンは対象に接近して一度文字を刻み、その後あらためて発動する形になるため、ひと手間かかるという癖がある。

「でも、同じ魔導士という職業の中で新しい試みを始めるっていうのは楽しそうね」

新たな戦術の追加に、レンは早くもワクワクする。

「確かに面白そうです。では、私も続きます」

【村雨】:一度抜けば水を滴らせ続ける妖刀。水系スキルの効果が増加する。攻撃130

「短剣ではなく、刀ですか?」

ツバメは意外な展開に驚く。

二刀流で使うなら『短刀』でなくてはならないため、刀だと必然的に一刀流になる。

それはツバメにとって、新しい挑戦と言えるだろう。

「でもこの攻撃力に、特殊効果ありなのは大きいわね。有名どころの武器だし、使い方を見つけられれば面白くなるんじゃないかしら」

「ここから一刀流のスキルや戦法を見つけるのも、面白そうですね」

「カッコいいーっ!」

基本的には『侍』のメイン武器である刀。

また『侍』はオーソドックスな両手持ちスキルと、『居合』のスキルを混ぜて使用したりもする。

その辺りの戦い方は、面白そうだ。

「次はわたしがいきますっ!」

尻尾ブンブンが止まらないメイ、目を輝かせながら宝箱を開く。

【緑の手】:地面に触れて発動することで、所持している『種』の植物空間を作り、様々な効果を発することができる。

「どういうことかな?」

「多分だけど、『杉の種』を持った状態で発動すると杉の木がいっぱい立って」

「ふむふむ」

「大量のスギ花粉で、敵人型NPCたちを花粉症地獄にする……」

「ええっ!?」

「お、恐ろし過ぎませんか……?」

「ごくり……」

「でもこれがファンタジー世界の植物だと、色んな事ができるんじゃないかしら。植物学者の手持ちから何か買えば使えそうじゃない?」

「おおーっ! それは楽しみかも!」

なぜかコーヒー畑で豆を厳選しているメガネ姿の自分を想像して、テンションを上げるメイ。

「そ、それでは最後、私も失礼します……っ」

これで残るはまもりだけ。

期待しながら、目の前の宝箱を開く。

【マジックイーター】:放たれた魔法を盾で一発だけ喰らい『貯めて』おくことができる。その後任意のタイミングで放つことが可能。

「いいじゃない! これまでも十分以上にすごかったまもりが、さらに面白くなるかも! それに……!」

「おそらく私も、同じことを考えています」

「まずは何より、『持ち運び』が可能かどうかの検証をしないとね!」

『放たれた魔法』としか書かれていないところに、感じる可能性。

レンとツバメは、自然と目を合わせてうなずき合う。

「よ、良いものになりそうです。ありがとうございます……っ」

やはり報酬タイムは、RPGの華。

常に一歩引いているまもりも、ワクワクに目を輝かせる。

そのまま四人で、思わず盛り上がってしまう。

すると再び、ビルダ老人たちがやって来た。

「フローリスはいつでも君たちを歓迎しておる。あらためて……ありがとう英雄たち」

「ありがとう! 俺たちの英雄っ!」

「ありがとうございましたっ」

うれしそうなNPC少女に、まもりも笑みを浮かべる。

こうして崩壊の街フローリスの復興という、これまで誰もなしえていない偉業を達成したメイたち。

あらためて銅版画を見ながら新スキルの話をしていると、不意にビルダ老人が何かを思い出したかのようにつぶやく。

「そう言えば……あの兵士たちが落としていった金属ボタン。覚えがあってな」

取り出したのは、フローリスに乗り込んできた兵士たちの胸元に付いていた制服のボタン。

そもそも彼らが『兵器』を奪いにやって来たことで、フローリスの崩壊は始まった。

それを聞いて、まもりも興味深そうに耳を傾ける。

「これは……帝国の紋じゃ」

「ていこく?」

報酬の受け取り後、その場にとどまるか移動しようとするとビルダ老人から出てくるその言葉。

初めて聞く情報に、メイは首と尻尾を傾けたのだった。