軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

725.復興作業が始まります!

「これでずいぶん動けるようになったのぉ」

うれしそうに笑う老人。

「こうしてみると、少しだが確かにフローリスの面影を感じるぞ!」

【劇毒】を生む三色の毒だまりが消え、かなりの場所が移動可能となったフローリス。

まだまだ【毒】や【猛毒】を引き起こす毒液などが各所に残っているが、それでも【劇毒】地帯が広がっていた時とは全然違う。

これにはまもりも、こくこくとなずく。

「よし、ここからは街の修復に取り掛かるのぉ」

「「はいっ」」

声が重なり、ほほ笑むメイと恥ずかしそうにするまもり。

「これで、池を見に行けるな」

「何者かに狙われた『毒をまく装置』みたいなのが、池にあるんだったっけ」

「その通りじゃ。そもそもあれの発見が、この酷い環境を生み出したのじゃ」

老人の後に続く形で、池へと向かう。

池にしては大きめのその場所には、浅黒い水がたまっていた。

「何もないじゃと……」

しかし、『フローリスに毒をまいた何か』は見当たらない。

池には溜まった毒液があふれているだけで、目につくものは何もない状態だ。

「溶けてしまったとでもいうのか……?」

「溶ける……入浴剤みたいなことでしょうか」

池に落とした白い塊が、毒の泡を出しながら溶けていく感じを想像するツバメ。

「だがこれで街の復活に力を入れられるな。毒の池は少しずつ浄化していこう」

「【劇毒】が【猛毒】になるだけで、ずいぶん楽になるものね」

「【毒消し草】をもしゃもしゃしながらでいいんだねっ」

「まずはフローリスにやってきた者たちとの戦いで壊れた、建物のガレキを片付けてしまおうかの。何をするにも邪魔になってしまうじゃろうし」

「りょうかいですっ」

メイは敬礼ポーズで尻尾をぴんと伸ばす。

それを見て癒される、ツバメとまもり。

「毒液がそこかしこに溜まってるし、一応気をつけながら作業してしましょうか」

「はいっ」

四人と老人は、ガレキ撤去に向けて動き出す。

さっそくメイは、見つけた建物のガレキのもとへ。

その大きさと分かりやすいヒビの入り方は、攻撃で割って運べということなのだろう。

しかしメイは、直接つかんでスキルを発動。

「【ゴリラアーム】! よいしょっ! うわわわーっ!」

ヒビから毒液がこぼれ出して、大慌てで持ち直す。

グラスになみなみ注がれたワインのような状況のガレキを、そーっと運んで指定の位置へ持って行く。

「……攻撃で割って運ぼうとしたら、毒液が飛び散る仕掛けなのね」

そのいやらしい作りに、苦笑いのレン。

一方ツバメは、半壊の建物の下へと向かう。

するとガゴン! と嫌な音が鳴り、建物の天井が一段下がった。

「【加速】!」

直前にメイが『仕掛け』に気づいて、回避したことが大きかった。

巻き込まれれば即死もありうる恐ろしい『崩落』の仕掛けも、その可能性をあらかじめ予感していれば問題なし。

崩れ落ちてきた建物から脱出すると、ツバメは崩れ切ったのを確認してから、あらためて崩れたガレキを運び出す。

「次はこれを運んじゃおうっ」

一つ目の瓦礫を指定の場所に運び終えたメイは、メイン通りの真ん中に落ちていた大きなガレキをどかしにかかる。

今度はあらかじめ毒液を確認して、こぼれることがないと確認。

「……うん?」

しかしメイが大きな塊を持ち上げた瞬間、おかしな音を聞きつける。

ガレキを後ろに置いた瞬間見えたのは、地面に刻まれた大きなヒビ割れ。

「うわわわわっ! 下がって! 蒸気が噴き出すかもっ!」

メイの【聴覚向上】が、異変に一早く気づいて注意喚起。

「【加速】【リブースト】!」

メイは続く状態異常攻撃を早い後方へのステップでかわし、ツバメは超高速移動で範囲外へ。

「まもり、お願い!」

「はははいっ! 【天雲の盾】!」

蒸気による爆発。

レンがまもりの背後に隠れた直後、これまでにない大きな蒸気の爆発が巻き起こった。

これをうまく切り抜けた四人だが、それだけに終わらない。

爆発によって、付近に溜まっていた毒液が容赦なく飛び散る。

麻痺からの毒液乱舞。さらに。

「植物型のモンスターが来るよっ!」

植物モンスターの襲来。

まるでこの爆発をかぎつけたかのように、一斉に集まってくる毒性植物の塊が三つ。

突然の爆発で陣形を崩し、【痺れ】や【猛毒】でうろたえているプレイヤーを片付けるというのが、本来の狙いなのだろう。

繰り出されるのは左右4本ずつ、計8本の伸びる枝。

誘導弾のような軌道で、こちらを突きに来る。

「【バンビステップ】!」

「【加速】!」

「【地壁の盾】!」

本来であれば危機の中にあるプレイヤーを叩くための攻撃は、前衛三人には届かない。

三体同時の攻撃は全て対応された。

さらに恐ろしいのは、敏捷組はこの攻撃を『前に進みながら』避けていることだ。

メイとツバメは植物塊の前に踏み込み、そのまま武器を振る。

「【フルスイング】!」

「【瞬剣殺】!」

消し飛ぶ二体の植物塊。

「【連続魔法】フレア――」

残る一体を片付けるため、レンは杖を構えるが――。

「ああ忙しい忙しいっ」

そこにやって来たのは老人。

手に抱えたガレキのせいでこちらの状況が見えていなかったのか、魔法攻撃の範囲内に普通に入り込んでしまう。

「ッ!」

慌てて制止。

するとそれに気づいた植物塊は、すぐさま鋭利な枝で老人を狙う。

8本の枝にエフェクトが乗っているのは、それが『連撃のスキル』だからだろう。

「まもりっ!」

「ははははいっ! 【かばう】ッ!!」

得たばかりのスキルを使用し、見せる大きな一歩。

【かばうⅢ】は一歩だけだが、長短自在の速い移動が可能。

的確な高速低空跳躍で老人と枝の間に飛び込むと、そのまま盾を構える。

「【クイックガード】【地壁の盾】! 盾! 盾! 盾っ!!」

急な事態にまもりの表情は完全に慌てていたが、それにもかかわらず全弾を完璧に防御。

「高速【フレアアロー】!」

その隙にレンが炎で焼き、動きを止めたところでまもりが一歩踏み出した。

「【魔神の大剣】っ!」

振り払う禍々しい大剣が放つ、暗光が弾けるようなエフェクトは『クリティカル』の演出。

20%の確率をしっかり引いたまもりの一撃は、植物塊を斬り飛ばし粒子に変えた。

「……すっ、すみません私みたいなのが出しゃばって――――」

「まもりちゃんないすーっ!」

「ほわわわわっ!?」

余計なことしたのではないかと慌てて下がったまもりは、メイに飛びつかれてそのまま倒れ込む。

「やるじゃない! 【かばう】はまもりにとって最高のスキルね!」

「お見事です! これほどまでに防御が的確とは……っ!」

痺れ蒸気も飛び散る毒液もしっかり盾で防御したまもりは、枝による攻撃も完全に遮断してみせた。

「敵の狙いは毒と麻痺によってプレイヤーを窮地に追い込むこと。さらにカギになるNPCの防衛まで求められるって、さすが高難度クエストだわ」

「はい。ですが防御に関しては心配することはありませんね」

これにはレンとツバメも、思わず笑い合うのだった。