軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

693.三つ巴

「メイちゃんが……落ちた」

「マジかよ、メイちゃん脱落!?」

メイたちが見せた『しっかり守る』『部族の射撃ポイントを魔法などで攻撃する』という方法で、つり橋を攻略。

密林を進む参加者たちは、驚きの声をあげる。

「待ちなさい刹那! 高速【連続魔法】【フレアアロー】!」

「へえ、ずいぶんと熱くなるんだねナイトメア。このレース、ちょっと本気で勝ってみたくなってきたよ【飛び影】!」

一方つり橋でライバルたちを撃ち落とした刹那は、得意の高速移動で炎の矢を回避。

「【加速】【リブースト】!」

「【獄炎】!」

「ッ!!」

さらに自らを一周する炎の噴きあがりで、ツバメの特攻をけん制。

「ふふっ。気まぐれで出たレースで『野生児パーティ』に勝つ。アルティシアの良いリベンジになりそうだよ!」

刹那は強い目で笑って、密林の中へと駆けていく。

「負けられないわね! 【低空高速飛行】!」

「いきましょう! 【疾風迅雷】!」

後を追うレンとツバメ。

続く森の中は当然、どこを進むかでどんな障害物が待ち受けているかも違ってくる。

「グオオオオオオ――――ッ!!」

「「ッ!?」」

飛び出してきた、大型のホワイトタイガー。

しかしツバメは慌てない。

「【紫電】」

「【フレアストライク】!」

硬直を奪うと、レンが魔法で吹き飛ばす。

そしてこの隙を、刹那は逃さない。

「【ブレイズキャノン】」

「ッ!!」

「レンさんっ!」

即座にツバメがレンに飛び掛かり、刹那の攻撃を回避する。

「さあキミたちはここで足止めだ、アイアン・メイデ――――!?」

影の動きに異変を感じた直後、地面を穿つ岩塊。

「なるほど、部族の投石機はここからフル稼働ってわけだね【飛び影】!」

不用意に戦えば、空からくる岩塊の餌食になりかねない。

『勝ち』を優先することにした刹那は、ここで戦うことよりゴールを目指すことを選ぶ。

「ありがとうツバメ! 追いましょう【低空高速飛行】!」

「はい! 【加速】【リブースト】!」

すぐさま起き上がり、二人は刹那の後を追う。

「うおおおおおお――――っ!?」

バラけて密林を駆け抜けていく参加者たち。

聞こえてくる悲鳴は、突然現れた猛獣によるものだ。

「ぎゃああああっ!!」

そこに投石機による無尽蔵攻撃の悲鳴が混じる。

「【誘導弾】【フリーズボルト】!」

「おっと、そうはいかないよ【飛び影】【連続魔】【ブレイズバレット】!」

木々を避けるようにして飛来する氷弾を加速でかわし、炎弾で反撃を仕掛ける刹那。

「【跳躍】【連続投擲】!」

ツバメも刹那の攻撃をかわしつつ、【雷ブレード】でチャンスを狙う。

これを刹那は、立ちはだかる樹を盾にして防御。

「部族の攻撃が、激しくなってきたわ」

投石に混じり出す炎弾。

どうやら、ここを駆け抜けるのがレース最後の難関になりそうだ。

「レンさんっ!」

そんな中、刹那の視線を追っていたツバメが気づく。

密林の先に、青く輝く光があることに。

「【加速】【リブースト】!」

ツバメは一気に加速して、青い輝きのもとへ向かう。

見えたのは、ゴールへ飛ぶためのモノリス。

「あれを起動して飛べば、ゴールというわけですね」

「よそ見していていいのかい?」

「ッ!?」

モノリス前10メートル地点。

足首ほどの深さの川によって木々が開けたその場所に着地すると、すぐさま刹那が飛び込んできた。

「ボクが接近の得意な魔導士だったこと、忘れていたのかな? 【レビティア】!」

「ッ!?」

足元に描かれる魔法陣。

『打ち上げ』魔法を発動し、ツバメを強制的に空中へ。

「【ブレイズキャノン】!」

隙だらけになったツバメに向けて、豪快な炎砲弾を放つ。

「もちろん、忘れてなどいません! 【エアリアル】【連続投擲】!」

「ッ!!」

まさかの反撃に慌てて横っ飛び、急いで顔を上げるとそこに迫る炎の矢。

レンの【フレアアロー】が、刹那の頬をかすめていった。

「……やるね」

そう言いながら、その目を鋭くする刹那。

姿勢を直し、右手の魔法バングルの感覚を確かめる。

自然と始まるにらみ合い。

「あら、これは闇の者たちの密会ですか? それとも仲間割れでしょうか?」

ここで華麗な着地を見せたのは、九条院白夜。

「まあ、どちらでも構いませんわね。これも良い機会、闇を継ぐ者たちにはここで討たせてもらいますわ!」

「白夜……」

ゴールへと向かうために起動しなくてはならないモノリスは、どう考えても『ここで順位争い』をさせるための仕掛け。

ややこしくなる展開は、さらに状況を変えていく。

「お、おい! なんだあれ……!」

「使徒長と光の使徒。それに……悪魔召喚士!?」

「見ろ、あのモノリス。今なら強豪プレイヤーを出し抜くことすら可能だぞ!」

上手くやればこのジャングルを、トップで抜けられる。

森を抜けてきたプレイヤーたちも、この数奇な状況に目を光らせる。

「あっはっはっは! 参加してよかったよ、こんなぞくぞくする状況でナイトメアたちと戦えるなんてさぁ!」

「わああああああ――――っ!」

刹那の放った一撃で、谷間を落下していくメイ。

レンを助けるために使った【ゴリラアーム】の硬直が切れた頃、見えたのは流れの速い川。

どうやら着水した後は、流されて失格という形になるようだ。

「【ドルフィンスイム】!」

しかしメイは、ここで見事な泳ぎを発動して岸壁へ。

「【モンキークライム】!」

そのまま近くの草地へ登る。

「失格にはならなかったけど、コースから外れちゃってる。どうしようかな……」

ケツァールで飛んで戻ろうとすれば、間違いなく部族の光矢の餌食だろう。

身体の大きなケツァールは、いい的になってしまいそうだ。

「……あれ?」

困るメイは、不意に思いつく。

「でもここだったら……誰にも見られてないよね?」

メイはキョロキョロと辺りを見回して、人気がないことを確認。

幸い方角は【帰巣本能】で分かる。

またあの岩落としの崖まで戻って上がれば、本来のコースに戻れるのは間違いない。

ただし、『生き残れるように作ってないコース外』を走り、また崖登りからゴールを目指すというのは距離で考えれば絶望的だ。

さすがにもう『競争からは脱落、完走できるかどうか』に挑むくらいが関の山だろう。だが。

「…………いきますっ!」

走り出したメイは、ここで一気にギアを上げる。

「よ……よ……【四足歩行】だああああ――っ!」