軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

569.聖教都市に昇る光

戦いの終わり。

メイたちの戦いを見にきたプレイヤーが、広がる光景に心を奪われていた頃。

「白夜さん!」

やって来たのは光の使徒の三人。

「無事、勝利を収めたのですね!」

「すごい戦いだったね!」

「本当に、アルティシアを丸々賭けた戦いだったんだな……」

星野エトワールは歓喜と共に白夜に駆け寄り、実はメイの戦いを冒頭から観戦していた雪崎ヒカリは感動の声を上げた。

花森ミヤビは、世界樹と半壊の中央街を見て感嘆している。

「無事に、アルティシアを守ることができましたわね」

三人の使徒仲間に笑い掛けながら、白夜はあらためて激しいルシファー戦の跡を見回す。

「さすがとしか言いようがありませんわね。いっそのこと光の使徒へ来てはいかがです? メイさんたちとのチームはいつも、次元の違う楽しさになりますわ」

そう言って白夜は、メイの腕をつかむ。

「ふん、そういうことであれば闇の使徒の方が適任だ」

そんな白夜を払ってどかしたのはリズ。

「光の者たちの、傲慢なる正義への抑止者としてこれほどの逸材はいない」

「あら、この度の問題はその闇の使徒さんたちから起きたのですけど」

「……ふん、今回は手間をかけたと言っておこう」

「素直でよろしいですわ」

仮面の中でちょっと悔しそうにするリズと、得意げに笑う白夜。

「だが、早々に脱落する光の使徒よりも強固だということは確かだ」

「くっ」

仮面の中で笑うリズに、唇を噛む白夜。

エトワールたちも「くっ」と悔しそうにする。

「――レクイエムに同意します。メイ、ツバメと三人で廃教会地下を駆け抜けた時のコンビネーションは圧巻だった。他の前衛ではあのようにはならない。やはりこの窮地、ナイトメアたちに助力を求めたのは正解だった」

「ふむ。いつからナイトメアたちの動向を注視していたのかは分からぬが、雨涙の最大の功績と言えるだろう。我らにナイトメアたちが加われば、闇の使徒は過去最高の布陣を構えることができるようになる」

「いいえ。メイさんのような華のある方は、光の下にいてこそ輝くのですわ。ほらっ!」

白夜がレイピアを取りポーズを取ると、メイも自然とそれに合わせる。

「この世にわたくしたちがいる限り、世界に悪が栄えることはございません!」

「ございませんっ!」

「はいそこまで。私の目が黒いうちはメイは絶対『使徒』にはさせないわ」

中二病、ダメ絶対。

そう言ってレンは、メイの手を引き奪い返す。

「目が黒いうち? それなら【魔眼開放】の時ならいいんですのね?」

「ほう、ならばその時を狙うか」

「揚げ足とるんじゃないわよ!」

今度はレンに狙いを変え、笑う白夜とリズ。

「……そう言えば、闇の使徒は6人いると言っておりませんでした?」

不意に白夜が首を傾げる。

暗夜教団となった3人と、リズたち。

足しても5人にしかならない。

「――あの子は、『内輪もめは面倒』と言って来なかった」

「ああ、これだけの事態だというのにヤツは『興味ない』と言っていたな」

雨涙の言葉に、リズは苦笑い。

「ちょっとやめて! 『争いに興味はないけど戦うと強い人をまだ残してます』感を出すのやめて! それも新しいフラグみたいになるから!」

組織に属しながら自由を謳うタイプの2期生がまだいる感じの雰囲気に、即座に『NO』を叩き付けるレン。

「組織の集合写真があるなら、隅っこで明後日の方向を向いている『気まま』タイプですね」

ツバメの『謎の組織あるある』に、こくこくとうなずく雨涙。

「……わたくしたちも、もっと力を付けなくてはなりませんわね。次に会う時が敵でも、味方でも」

白夜の言葉に、エトワールたちも力強くうなずく。

暗夜教団の強さと、それを打ち破ったメイたちの姿に思わず燃える光の使徒たち。

なんだかんだ皆、今回のクエストを楽しんだようだ。

「夜が……明けます」

まぶしさに、ツバメは思わず目を細める。

街の中央部が半壊した、聖教都市アルティシア。

登ってきた朝日が、その輪郭を照らしていく。

光を受けた世界樹の存在感に皆、思わず見とれてしまう。

「本当に……伝説の戦いを終えたかのようですね」

「本当だねぇ」

アルティシアも原状復帰が済むまでまた、この光景が話題になるのだろう。

メイたちはそのままなんとなく並んで、昇る朝日と守り抜いた街を眺める。

そしてその姿にまた、観戦プレイヤーたちは魅了されてしまう。

「なんだか大変なクエストになっちゃったわね……」

「でも、すっごく楽しかったよ!」

「やはり『使徒』の皆さんが集まると、楽しくなります」

「大罪悪魔を倒すだけならまだしも、暗夜教団やら使徒同士の戦いやらごちゃごちゃと……本当に楽しめてた?」

「もちろんだよ! どこだって楽しいよ、レンちゃんと一緒なら!」

「メイ……」

「はい、私はお二人がいればどこでだって楽しいです」

「ツバメ……」

クエストの全てが終わり、アルティシアに朝が来る。

昇る太陽に照らされる、メイとツバメの笑顔。

そのまばゆさに浄化され、消えていくレン。

その消滅の仕方は、これまで見たどんな悪霊の成仏よりも美しかったという。