軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

537.光の騎士と帰り道

「わたくしも、動物値はかなり高い方と自負しているのですけどね……」

竜使いの白夜は当然、動物値が他プレイヤーより高い。

それにもかかわらず、メイに即懐いてしまったドラゴン。

これには苦笑いするしかない。

「ほら、私たちがドラゴンと一緒にいても意味がないんだから」

レンに言われた白夜がドラゴンを捕まえると、おとなしく付き従うようになった。

これにて『捕獲』の段階は終了だ。

「ところでこのドラゴンちゃん、捕まえてどうするの?」

「ドラゴンは格の高い生き物。悪魔召喚の生贄にされるのを防ぐため、神殿に連れ帰り保護するのですわ」

「よかったぁ」

それを聞いてひと安心。

どうやら神殿ルートでは、アルティシアを滅ぼす悪魔の復活を防ぐために、ドラゴンを保護するというクエストになっていたようだ。

「そう考えると、暗夜教団がこのドラゴンを狙いに来てる可能性もあるわね」

「すぐに神殿へ帰った方が良さそうです」

「助かりましたわ。それでは神殿に戻りましょう」

競争になっている可能性があるこのクエスト、やはりドラゴンを神殿に連れ帰るまでクリアとはならない。

それは当然、ここから『奪われる』可能性もあるということだ。

だがすでに罠は解除されている。

そうなれば、アルティシアに詳しい白夜たちに不安要素などなし。

暗夜教団とかち合う可能性が高そうな街への直線ルートを回避しつつ、余裕をもって森を戻っていく。

「よかったね。保護してくれるんだって」

メイがそう言って触れると、騎竜サイズのドラゴンはわずかに腰を落とした。

「乗せてくれるのー!?」

さっそくその背に飛び乗ると、軽い身のこなしで木々を抜けていく。

足の速い騎乗型のドラゴンは見ためにもカッコよく、我慢できなくなった白夜が反応する。

「メイさんわたくしもー!」

今度は白夜がドラゴンの背に乗り、レイピアを引き抜いてみせる。

「光の竜騎士、九条院白夜というのも悪くありませんわね」

「おおーっ!」

バーン! と決めポーズを取る白夜に歓声を上げるメイ。

やはり地を駆けるタイプのドラゴンも、なかなかに格好良い。

「びゃ、白夜さんあたしも! ランスに盾は絶対に似合うと思うんだ!」

すると花森ミヤビも駆けつけて、ドラゴンを中心に盛り上がり始めた。

「あれが闇の使徒を脱退してまで力だけを求めた、伝説の魔導士とその仲間なのですね」

星野エトワールは先ほどの『鬼ごっこ』を思い出して、あらためて感嘆の息をつく。

「ドラゴン保護のクエストの時も、そのまま残ってくれてよかったね」

夜の森を庭のように駆け回っていたメイの姿を思い出して、深くうなずき合うニ人。

雪崎ヒカリはドラゴンに視線を向けながらつぶやくも、白夜は警戒を崩さない。

「それでも油断は禁物ですわ。今回のクエストでは味方でしたが、今後もそうとは限りません。なにせ彼女は純粋に力だけを求めているのですから、その行動理念は正義や悪で計れませんもの」

「利害が一致しなければ……っていうことだね」

「なるほど。純粋に力を求めているからこそ、最強の野生児や影のごときアサシンと一緒なのですね。単純な強さだけを求めた結果、闇の使徒よりさらに強力な者たちと手を結んだと……」

エトワールは敵か味方か分からない強者というレンたちの在り方に、ゴクリとノドを鳴らす。

「一体アルティシアへは、何を企んで来たのでしょうか」

「大罪悪魔のために違いありませんわ。ただそれが『力』を見極めるために来たのか、我がものとするために来たのか……何より、いつ敵になるのかも分からない」

「恐ろしいです」

「ええ、全く底が見えない状況ですわ……だからこそ、しっかりと見極めをしなくてはなりません」

「さすが白夜さんだね」

「やはり光の使徒を率いるのは、白夜さん以外にいません」

「間違いないね」

盛り上がるエトワールたちの言葉に、いよいよ白夜はレイピアを夜空に向ける。

「もちろんです! その力を身勝手に使うというのであれば、わたくしが全身全霊をかけて止めてみせますわ!」

「「「おおーっ!!」」」

「だから何も企んでないのよ!!」

一気に気合が入る光の使徒たちの会話は、少し後ろに続くレンたちに丸聞こえ。

盛り上がる白夜たちに、いよいよ我慢できなくなったレンがツッコミを入れた。

「レンちゃん……すごいんだね!」

「レンさん、さすがです」

「メイたちも真に受けないの!」

いつの間にか『善や悪』ではなく、純粋な力だけを求めるがゆえに敵か味方かも分からない伝説の存在みたいに言われ出して、戦慄するレン。

賑やかに道を進んで行くと、神殿が見えてきた。

こうしてメイたちは罠解除のクエストを終え、白夜たちも無事にドラゴンを連れ帰れることに成功したのだった。

「「白夜さん」」

「なんですか?」

メイたちと別れ、神殿内部にまで戻ってきたところで、すぐに駆けつけてきたエトワールとヒカリ。

その真剣な面持ちに、思わず息を飲む。

「何かわたくしに伝えたいことがある。そういうことですわね?」

「はい、その通りです」

「その通りだね」

「もちろん構いませんわ。気になったことがあれば、何でもおっしゃってください」

白夜は大きく息を吸い、静かにうなずいた。

「私たちも、ドラゴンに乗らせていただけないでしょうか!?」

「どうしても乗りたいんですよね!」

「…………」

そこはやはり光の使徒、騎竜に跨りポーズを取りたいという気持ちは皆同じだったようだ。