軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

501.伝説の島

「ここがアヴァロニアね」

「とてもきれいな島です」

「おおーっ! すごーい!」

ついにたどり着いた伝説の島。

メイたちは、悪徳貴族船をアヴァロニア東部よりの砂浜に接岸した。

「よし、さっそく行こう! ぬはああああーっ!?」

アルトリッテは砂浜に飛び降りようとして足を踏み外し、そのまま船から落下。

「わあー! アルトちゃーん!」

見事に砂浜に顔を突っ込む形になっていたアルトリッテを、メイが引き抜く。

「だいじょうぶ!?」

「ぷはっ! ちょ、ちょっとだけ慌ててしまったな!」

「この光景を見る限り、間違いなく特別な何かが隠されている感じね」

船を降りてくる、レンとツバメ。

見えるのは北欧を思わせる岩山の連なりと、そこに張り付くように生えている草木。

流れる川と湖のほとりには、小さな白い花が咲いている。

フィヨルドのような地形には数々の湖があり、空に溶け込むような青緑の輝きを放っている。

「RPGでは、マップの果てにあるような光景ですね」

「……幻想的」

広がる光景を眺めながらツバメがつぶやくと、船を降りてきたマリーカがうなずいた。

吹き抜けていく風が、五人の髪を揺らす。

「海賊団の船やプレイヤー船も接岸していますね」

「各々、この島にたどり着いてるってわけね……私たちが回避だけに集中して船を進めてたら、他の船はいない状態だったのかしら?」

セイレーンを止めなかった場合、この島にたどり着けた船は他にいたのか。

そんなことを考えながら、あらためて付近を見渡してみる。

やはりこの壮大な風景には、何かが始まりそうな気配がある。

「い、いよいよなのだな」

一方アルトリッテは、緊張にプルプルと震え出していた。

「ここに、【エクスカリバー】がある……」

「何せまだ見ぬ未踏の地だもの。当然新しい物も色々あるはずよ。誰も知らないクエストなんかもね」

「ワクワクしますね」

「本当だねぇ」

メイたちはゆっくりと、辺りを確認するように歩を進めていく。

どこまでも続く広い大地は穏やかで、同時に神秘的な空気を感じさせる。

まだ見ぬ世界を、五人は興味深そうに進む。

「たくさんの足音が聞こえるよ。皆も、何かを探してる感じなのかも」

そう言ってメイは、近くの岩の背後に隠れて皆を手招きする。

するとそれからわずかな時間を開けて、エルダーブリテンから船を出してきたプレイヤーたちの一部が通り過ぎていった。

その先に見えるのは、海賊のパーティ。

どうやら海賊たちも、チームを分けて島の探索を行っているようだ。

「また海賊かよ」

「やっぱこの島、色々とクエストが隠れてるんだろうな」

各々が自らの武器を手に、海賊の後を追う。

「おいおい見ろよ、こんなところに冒険者がいるぞ! 荷物全部ここに置いてきな!」

「はいそうですかと言うと思うか!? 【三段跳び】【ターンブレード】!」

一気に接近し、回転からの急停止。

そこから弾ける衝撃波が、海賊三人をまとめて吹き飛ばす。

「【アイスニードル】!」

すかさず続く魔法攻撃が突き刺さり、陣を崩す海賊たち。

「【パイレーツ・ボム】」

反撃は炸裂する手製爆弾。

「うおおっ!? 爆弾かよ!」

「と、とにかく距離を取れ!」

緩やかな軌道で飛んで来る爆弾に、プレイヤーたちは慌てて回避体勢に入る。

「そらっ【岩石落とし】だ!」

前衛組がどうにかこれを避けると、錬金術師が魔法で反撃。

落ちてきた岩が海賊の頭部を襲い、無事打倒を成功させた。

「おい、向こうにも海賊がうろついてるぞ。とっとと片付けてクエスト探しを続けようぜ!」

「初見マップは美味しいからな。これまで見たことのないアイテムや装備も出てくるはずだ!」

追従プレイヤーたちは、探査のために駆け出していく。

「この島に着いた時点で、すでに競争は始まっているのだな……! 私たちも探してみようっ!」

6年に渡る探求の日々のこともあり、ドキドキが隠せないアルトリッテ。

「どういう形で【エクスカリバー】につながっていくか分からないからな。まずは何かきっかけになりそうな……む!」

はやる気持ちに背中を押されるような形で進んで行くと、見えたのは林の中にたたずむ魔女の姿。

「さっそく行ってみよう!」

まだ人気のない方向に見つけたクエストの気配に、ついつい足も速くなる。

アヴァロニアのクエストは、未だ誰もたどり着いていない新規のもの。

得られる全てが『星屑初』だ。

火のついた大釜の前で、切り株に腰を下ろしている魔女のもとに五人は近寄っていく。

「ほう、冒険者とはめずらしい」

「こんなところで何をしているのだ?」

「魔法薬の精製だ。この薬を使えば、高い魔力を得ることができる」

そう言って魔女は、完成したばかりの魔法薬を三つの小ビンに取り分けた。

赤、青、黄の美しい液体に、メイたちが視線を奪われていると――。

「む?」

突然駆け込んできた三匹のゴブリンたちが、それぞれ一つずつ魔法薬の小ビンを奪取。

そのまま全力疾走で逃げ出していった。

「こいつら……っ! 冒険者たちよ、そのゴブリンどもを捕まえてくれ!」

「また急にクエストが始まったわね!」

「ですが、ゴブリンならそう難しくはないはずです【加速】【リブースト】!」

ツバメは高速移動スキルで一気に距離を詰める。すると。

ゴブリンは手にした魔法薬を飲み込んだ。そして。

「ッ!?」

その姿をウサギに変えて一気に加速。

驚くツバメの手をすり抜け、そのまま華麗な足さばきで逃げていく。

「なるほど、変身でそれぞれ違う逃げ方をするゴブリンたちを捕まえろってクエストかしら?」

「……手分けが必要」

突然始まった、アヴァロニア最初のクエスト。

ゴブリンは三手に分かれて逃げていく。

メイたちもそれにならって、パーティを三つに分けて追いかけることにした。