軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

425.隠された集落です!

「ありがとう! これで家に帰れるよ!」

植物型モンスターたちの撃退。

駆けてきた羽飾りの白ワンピース少女は、うれしそうに笑う。

「そうだ、お礼をしたいから一緒にきて!」

そう言って少女は、慣れた足取りでジャングルを駆けていく。

下手をすれば置いて行かれてしまいそうな早い動きで先行する少女だが、メイたちも移動に関してはスペシャリスト。

ちょっと少女を追い抜きそうになりながら、しっかりとついて行く。

そのうえレンが【浮遊】で、先を見据えることも忘れない。

するとやがて少女がたどり着いたのは、集まった木々と絡まるツタによって巧妙に隠された小さな集落。

外から見れば草木の密集地にしか見えないが、踏み込めば大きな木の洞にいくつもの住居が作られているのが分かる。

「これはこの子に連れてきてもらわないと、なかなか気づけなさそうね」

「本当ですね」

「それにしても……かわいいお家だねぇ」

小人が住んでいそうな家々。

メイはその可愛い造りの家々に、興味津々だ。

そしてそんな可愛い家々に夢中のメイに、ツバメもうれしそうに目を細める。

小さな集落は、隠しマップと言ってもいいくらいの隠密具合。

これは何かありそうだと、レンは付近に視線を走らせる。

「あったあった! これはお礼だよ、持っていって!」

そんな中、自宅へと駆け込んだ少女が持ってきたのは一冊の本。

【忍び足】:徒歩はもちろん、移動スキルや跳躍時に立つ音を大幅にカットすることができる。

「これはツバメがいいんじゃないかしら。アサシンが音を消して近寄るっていうのはすごく効果的だと思うわ」

「いいと思いますっ!」

「ありがとうございます」

メイは元々普通に歩くのであれば静かにできる上に、木々の上を進むことも可能。

さらに最高速を出せば、音の有無でどうこうできないほどに速い。

そしてレンも【浮遊】を使えば足音が鳴らない。

こうしてスキルブックは、ツバメが受け取ることになった。

「おやめずらしい、そこにいるのは冒険者かな?」

メイたちを見つけてやって来たのは、腰に帆布のような長エプロンを提げた不精ひげの男。

「はい! メイと申しますっ!」

右手を元気よく上げて、メイが応える。

「この冒険者さんたちに、危ない樹のモンスターから守ってもらったんだよ! 分枝はもちろん、本体までばっちり片付けちゃったの!」

「あのやっかいな本体まで?」

少女がそう言うと、不精ひげの男は「それは大したもんだ……」と何やら考え始める。

「実は最近、釣りができなくてね……困ってるんだ」

「釣りっ!」

その言葉に、メイがさっそく目を輝かせる。

「湖と川の間に大型のワニたちが集まって来るんだ。そいつらがまたかなり獰猛なモンスターでね……付近の動物たちは水場を奪われているし、魚は貴重な食料源の一つだから我々も困ってるんだ」

「どうやら、新しいクエストで間違いなさそうね」

「そこでだ。君たちには釣りと、ワニ退治をお願いしたい」

「りょうかいですっ!」

「引き受けてもらえるのかい? それならこいつを持っていくといい」

不精ひげの男はそう言って、アイテムを取り出した。

「【ブレード】ですか?」

男が手にしているのは、ツバメが【投擲】に使っているようなシンプルな造りの刃。

「柄の部分に魔法石を取り付けることで、属性の付与ができるんだが……炎、水、氷、風、雷、地どれがいい?」

手にしたブレードは3つ。

そして選べる属性は6つの中から1つだけ。

「属性の付与ができるのですか。そういうことでしたら……雷でしょうか」

「雷だな。ちょっと待っててくれ……よし」

ツバメの選択は慣れた雷属性。

不精ひげの男が魔法石を柄に差し込むと、刀身にわずかに雷光が閃き消えた。

【雷ブレード】:小規模の雷光を発する投擲用の刃。

「雷の属性ブレード……」

ツバメは手にした投擲用ブレードを、じっと眺める。

「雷属性っていう選択は、面白くなりそうね」

「はい。条件次第では使い勝手の良い武器になりそうです」

行き先は川と湖。

そして、この集落へ来る際の戦いによって得たこのマップのシステム。

雷属性は水場の多いこのジャングルで便利に使えるのではないかと、ツバメは考える。

「問題の湖はこの先にある。少し奥に進めば川の流入点があり、そこからワニたちがやって来るんだ。討伐、頼んだぞ」

「お魚もよろしくね!」

少女はそう言って、三本の釣り竿を持ってきた。

見ればそれぞれ造りが違い、どうやら狙える魚にも違いがありそうだ。

「はいっ! それでは行ってきます!」

こうして三人はそれぞれ釣り竿を肩に担ぐと、並んで湖へと向かうことにした。

モンスターが待ち受けること請け合いのクエスト。

しかし三人での釣りは久しぶり。

メイは鼻歌を口ずさみながら、スキップで密林の道を進むのだった。