軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

39.占い師に会いに行きます!

「この子にも、慣れてきました」

ジャングルの道なき道を、大ヒヨコで進むツバメ。

「こんな移動手段もあったのね。これなら広いジャングルの移動も速くなりそう」

レンも大ヒヨコの足を軽快に進める。

占い師のもとへと先導するのは、譲られた水晶玉を手にした騎士たち三人だ。

「それー! みんなー!」

そんな五人の頭上を、メイはゆうゆうと跳び越えていく。

すっかり大ヒヨコを乗りこなしているようだ。

聞けば、メイたちのいた村はテーブルマウンテンの南東側。

占い師がいるのは、北側にある大樹のもとらしい。

騎士たちの歩みに合わせて進んで行くと、周りの木よりも二回り以上高く、数十倍の太い幹を持つ樹が見えてきた。

「うわ、すごい」

メイが感動の声をあげる。

付近にはタープがいくつも張られていて、商人NPCや冒険者たちも多くいる。

ジャングルの北側拠点は、この大樹になっているようだ。

そのにぎやかさに、さっそく楽しくなってくるメイ。

少なくとも、メイがいたジャングルには見られなかった光景だ。

大樹の近くに大ヒヨコをとめて、皆で占い師のもとへ向かう。

「へー、ジャングルのこっち側も楽しそうじゃない」

「来てよかったね」

バザー形式を見るのが初めてのメイは、めずらしそうなものを見つけてはちょこまかと駆け回る。

どうやらプレイヤー間で、用途不明のイベントアイテムの交換なんかも行っているようだ。

「レンちゃん、あれは何?」

「食材ね。一応料理なんかもできるのよ、『星屑』は」

「料理! そうなんだぁ、楽しそう」

ツバメもアイテム交換に興じるプレイヤーたちを、興味深そうに見て回っている。

「占い師がいるのは、このバザーの奥なの」

プリースト女子が指さした先には、五、六人は普通に入れる大きさのテントがあった。

ロウソクを明かりにしたテントの中には、鮮やかな色使いのフードマントをまとったどこか妖艶な雰囲気の女性が一人。

「おーい、鳥に盗まれた水晶玉を持って来たぞ」

「本当ですか? それはありがたい」

メイたちに譲られた水晶玉を、騎士が占い師に返却する。

「助かりました。これがないと占いの精度が大きく下がってしまうのです。こちらはお礼です。ぜひお使いください」

そう言って占い師が取り出したのは、一本の槍。

メイたちに有用なものではないようだ。

「良かったな、斧とかじゃなくて」

「斧をバカにするのはやめろ。カッコいいゲームもあるんだぞ」

ひどい言われように、思わず反論する騎士。

そんなあるあるに、レンは苦笑いを浮かべる。

隣のツバメも「分かります」と、感慨深そうな顔をしていた。

「これで『不吉なこと』っていうのが何なのか分かるんでしょ?」

「はい」

プリースト女子の言葉に、深くうなずく占い師。

「思い違いであればいいのですが……さっそく占ってみましょう」

水晶玉に手をかざし、占いを始める。

すると、鈍い光が灯り出した。

「やはり……もうあまり時間がありません」

「なに? 何が起こるのよ?」

そのシリアスな雰囲気に、思わずレンも喰いつく。

すると占い師は、静かに顔を上げた。

「ジャングルは、滅亡します」

「……え、何よそれ」

思わぬ言葉に、息を飲む。

「ジャングルに進攻してくる、モンスターの大群が見えます」

「大群……?」

「全てを破壊し、食い尽くすこの悪魔たちに、ジャングルは全てを蹂躙されてしまうのです」

占い師は、静かに言葉を続ける。

「……これを食い止めていたのが、守神様でした」

「どういうこと?」

「守神様は亡くなられてしまうはずでした。そこにやって来たモンスターの大群がジャングルを蹂躙するというのが本来の運命。ですが、守神様は今も生きておられます。近々目を覚ますでしょう。ですが、ヤツらは目覚めの時までにジャングルを奪い尽すつもりでいるようです」

「これは、予想以上に大きな展開をもってきたわね」

間違いなく最大級のクエスト。

レンが感心したように息をつく。

「ですが希望もあります。モンスターの大群は北からやって来る。そしてここ大樹を起点に東西に分かれ、ジャングル全域に広がっていくのです。よって、ジャングルの存亡はあなたたち冒険者にかかっています」

「ここで数を減らすことができれば、あとはジャングル各地の冒険者が叩くだけってわけね」

「問答無用でこのクエストが始まるのではなく、準備の時間がもらえる。それが占い師クエストのもう一つの報酬だったのか……」

騎士も「なるほどなぁ」と感心しきりだ。

「大樹にいるプレイヤーたちに声をかけて来る!」

始まる一大クエストに向けて、テントを駆け出していくプリースト。

そんな中、メイの猫耳がせわしなく動き出す。

「どうしたの?」

メイがテントから顔を出す。

そこには、同じ方角へ向けて移動していく動物たちの姿があった。

「大きなモンスターが出る時によく、動物たちが逃げて行くことがあるんだけど……その時と同じなんだよ」

「始まりますね。イベント後半戦の山場が」

ツバメの口調にも、確信の色が見える。

「ねえ。その大群で押し寄せて来てるのって、どんなモンスターなの?」

かすかに、しかし確かに聞こえ出す地響き。

レンの問いに、占い師は再び意識を集中する。

「ジャングルの全てを壊し、食い尽くす恐怖の魔物。その名は……」

「その名は……?」

輝き出す水晶玉。

占い師は、その目をカッと大きく見開いた。

「――――ゴールデンリザード」

「……え? ええええええええ――――っ!?」

それはメイが青春を捧げて戦い続けた、因縁のモンスターだった。