軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

330.大自然と人間と

一緒に作った夕食を終え、『星屑』へと帰還したメイたち。

一応最後に、スキルやアイテムの確認をしておく。

それから従魔ギルドにやってくると、すでにたくさんのイベント参加者たちが集まっていた。

「王都の地下クエストもいよいよ終局といった感じですね。このまま最後まで駆け抜けましょう」

「もちろんよ」

「はいっ!」

気合を入れるツバメに、レンとメイが応える。

「この子を『獣の王』に返す。あとは判断を待つだけだ」

従魔ギルドのマスターはそう言って、南方にある半壊の教会塔へと向かう。

「魔獣の群れと和解して終わるのか、それとも何かが起きるのか……緊張の瞬間ね」

「はい、どんな展開になるのでしょうか」

レンとツバメは、思わずワクワクし始める。

「……悪しき人間から王の子を取り戻して帰還したメイちゃんが、獣の王の前に立つ……すごい絵になりそうだな」

「獣たちの王と、自然界に生きた人間のメイちゃん。その横でメイちゃんに懐きまくってる王の子って、これもう映画かなんかだろ」

「見どころが詰まってるよなぁ」

一歩引いた位置から見ている参加者たちも、ここからの展開に期待が止まらない。

気が付けば今回のイベント参加者に加えて、王都クエストの規模の大きさを聞いて駆けつけたプレイヤーたちも集まってきていた。

「……あれが魔獣たちの行軍か」

「いやー、やっぱとんでもないな」

見えてきた砂煙に、そのすさまじさが分かる。

「問答無用で特攻してくるパターンはさすがにないんじゃないか? プレイヤーが塔の上にいる以上は何かしらやり取りがあるだろ」

「それに動物のパラメータが関係してるなら、メイちゃんは最高だろ。和解の流れはあるぞ」

未だ半壊状態の王都南部。

メイは軽やかな動きで、塔の天辺へ。

王の子は今も、隣に寄り添う形だ。

「君ならきっと、獣の王も認めてくれるだろう」

従魔ギルド長の言葉からも、和解の雰囲気が伝わってくる。

すさまじい迫力で迫り来る、魔獣たちの行軍。

このまま突撃されたら、王都は文字通り崩壊してしまうに違いない。

「お、おい、なんだこいつら?」

集まっていたたくさんのプレイヤーたちが、突然ざわつき出した。

目の前に現れたのは、これまでを大幅に上回る数の王都兵と元老院兵たち。

「……なにをするつもりだ?」

大量の兵士たちを率いてきた元老院副長に、従魔ギルド長が問いかける。

「決まっているだろう。化物どもから我らの王都を守るのだ」

そう言って、片手を振り上げる。

「さあ――――野蛮な獣どもを駆逐しろ!」

その手には、二つの転移宝珠。

強烈な輝きが灯り、メイの右前方に『巨竜』が現れた。

「「「おおっ!?」」」

イベント開始時に王都の一部を破壊したドラゴンの再登場に、驚く参加者たち。

さらに左前方に、地下の檻に拘留されていたもう一体の超大型魔獣が登場。

「待て! そんなことをしたら魔獣たちの怒りは止められなくなる! 世界中の動物を敵に回すことになるぞ!」

「黙れえっ!」

元老院副長は、従魔ギルド長を蹴り飛ばした。

「うああっ!」

「我ら元老院の誇る最強兵器にて、魔獣どもを血祭りにあげ……王都ロマリアの、我ら人間の恐ろしさを教えてやる! ハッハッハッハァ!」

元老院副長は、悪どい笑い声を上げる。

「なるほど、あのNPCが最後まで愚かな人間の代表ってわけね。これで明確に『獣の王』『王都兵』『私たち』の三つに別れることになったわ」

倒れ込んだ従魔ギルド長は、声を振り絞る。

「頼む……なんとか王都兵たちを、二体の魔獣を止めてくれ! あんなのを差し向けてしまったら、もう動物たちとの戦いを止めることはできなくなってしまう……っ!」

「これは、時間制限でしょうか」

従魔ギルド長の言葉を聞いて、ツバメが問いかける。

「超大型と獣の王がぶつかる前に、倒して止めろってことでしょうね」

「おい、ちょっと待て……それってまさか」

「二体……同時なのか?」

一体でも苦戦必至の超大型を、二体同時に相手にするという厳しい状況。

従魔士パーティ、そして同行組の面々が驚愕する。

「それどころか、王都兵も私たちの邪魔をしてきそうだわ」

地響きを鳴らし、王都へと迫る怒りの獣王。

続く無数の魔獣たち。

「……レンちゃん、ツバメちゃん」

そんな中、静かに状況を見守っていたメイが二人に視線を向ける。

「王の子にHPゲージはなし。ここは純粋に二体の超大型魔獣を倒しなさいってことね。それによって王都の未来が変わるってクエストだわ」

「いきましょう。今回の合宿の集大成というべき戦いになると思います」

「待っててね」

そう言って王の子の頭をなでたメイは、空中でくるっと回転。

軽やかに直地すると、ツバメやレンと共に歩き出す。

向かうは、赤く目を輝かせる二頭の超大型魔獣。

その狙いはもちろん、獣の王だ。