軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

289.大地の石斧

「さて、【大地の石斧】はどんな感じかしら」

「いよいよですね」

わずかに湾曲した古木の先に、鉱石を含んだ岩をくっつけた感じの野性的な一品。

見ようによってはハンマーのようにも見える新武器を抱え、メイは走り出す。

「【バンビステップ】!」

即座に反応した不死型トレントは、伸びる根による範囲攻撃を展開するが、メイはこれをゆうゆう回避して迫る。

続く攻撃は、烈風と共に吹きつける無数の枯葉。

迫る葉の乱舞は、刃となってメイに襲い掛かる。

「【ラビットジャンプ】!」

しかしメイはこれを大きな前方への跳躍で回避して、【アクロバット】でくるっと一回転。

「いっくよー! 新必殺技――――【地裂撃】だぁぁぁぁーっ!」

そのまま不死型トレントの目前に、【大地の石斧】を叩き込んだ。すると。

「「ッ!?」」

石斧の先の地面が、ものすごい速度でひび割れていく。

そして付近一帯、かなりの範囲を一瞬で陥没させた。

崩落に巻き込まれた不死型トレントは大きく体勢を崩し、身動きが取れなくなる。

壮大な一撃に驚くレンたち、しかしこれだけでは終わらない。

「……ん?」

ここでメイ、【大地の石斧】で放つ【地裂撃】には、二段目のスキルが用意されていることに気づく。

「そういうことならっ! いきますっ! 【グレート・キャニオン】!」

いまだ動けずにいる不死型トレントに、放つ追撃。

ドン! と大きな音を立てて、地面が揺れる。

直後、落ちた地面から巨大な岩盤が突き上がり、トレントを空高く突き飛ばした。

一度大きく割れ落ちた地面が、一転して天に向けて突き上がるというド派手な一撃。

メイの放った新スキルは、不死型トレントの残りHPを全て消し飛ばした。

「……て、天変地異です」

「【腕力】に依存させるから……」

その光景に、レンとツバメは呆然と息をつく。

「やったーっ!」

対して、見事に新技で敵を打倒したメイは、うれしそうに拳を突き上げた。

「これで【ホワイトプリム】を――」

さっそく花を回収しようとして、その動きを止める。

大きく落ちた地面から、突き上がったままの地盤。

広がる地殻変動直後みたいな光景に、かつての高原の面影はもちろん白い花もなし。

「……ど、どうしようっ! 花も一緒に消えちゃったよー!」

大慌てで地面にしゃがみ込み、花を探すメイ。

「大丈夫よ。大きな戦いで壊れた街なんかも、時間が経てば修復されるでしょう?」

そう言ってレンは笑う。

「そ、そっか、よかったぁ……」

やがて高原の自動修復が始まり、メイは安堵の息をついたのだった。

「なるほどね。【地裂撃】でダウンを取ったところで止めるも良し、追撃スキルの【グレート・キャニオン】まで一気に使うもよしっていう武器なのね」

「どこまで使うかで次撃へのチャージにかかる時間が変わってくる。少し変わった武器ですね」

【大地の石斧】の仕様を確認して、天変地異にしか見えない点以外は納得するレンとツバメ。

「もう何が起きても驚かないつもりだったんだけどねぇ」

「まだまだ甘かったようです」

そう言って笑い合うレンとツバメ。

無事目的の【ホワイトプリム】を手に入れたメイたちは、植物学者のラボに戻ってきた。

「戻ってまいりましたーっ!」

「おおっ! 【ホワイトプリム】を30株も! すごいです!」

その数に驚く植物学者トミー。

「もしかして……戦う内にモンスターの攻撃で数が減っていく類のクエストだったのかしら」

新スキルによってモンスターが一方的に倒されたことで気づかなかったが、レンの予想は正解だ。

「これなら間違いなく貴族さんは大喜びでしょう! ありがとうございました!」

そう言ってトミーは、自身が集め育てた植物が載った一覧書をデスクに開いた。

「この中から、お好きな物の種をお持ちください!」

「へえ、どんなものがあるのかしら」

さっそく三人、イラスト付きの植物解説文を読む。

そしてメイたちは、一つの株からたくさんの枝が伸びる【豊樹の種】を選んだ。

説明を読むと、建てた家に一粒使うだけで『緑の家』になるほどの効果を持つようだ。

せっかくなので、これをたくさんもらっておく。

「それと、今回は多くの【ホワイトプリム】を持ってきていただいたので、特別にこちらもどうぞ」

【世界樹の分種】:世界中に根を伸ばすと言われている巨大な世界樹の種。城のように大きな樹木になる。

「やったー! ありがとうございますっ!」

ミッション報酬の種を一粒もらって、歓喜するメイ。

「……なんでかしら、またとんでもないことが起きそうな気がするわ」

「はい、ドキドキとワクワクが入り混じった不思議な感覚です」

【大地の石斧】に続いて、大事になりそうな説明文。

手にした報酬に、そわそわしてしまうレンとツバメだった。