軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

287.王都へ!

「わあ……!」

ポータルによる移動で王都ロマリアへとやって来たメイは、広がる壮観な光景に思わず声をあげた。

続く街並みは、これまで見たどこより規模が大きく、通行人の数も段違い。

整然とした石造りの街は、複数階建ての建物も多い。

また魔法石を使った街灯が等間隔に並び、足元に敷かれた石畳も綺麗な模様を描いている。

馬車も豪華な作りの客車を引いており、近代ヨーロッパの都市を思わせる。

「本当に綺麗なところよねぇ」

「すごーい!」

さっそくメイは、尻尾をブンブンさせながら付近の建物をキョロキョロと見回す。

「あっ!」

そして一直線におしゃれな雰囲気の武具店の前に駆け出すと、【王者のマント】を羽織り、ショーウィンドウに飾られた剣を眺める。

「レンちゃん、ツバメちゃん。ここなら素敵な剣士のお姉さんに見えないかな?」

「あら、素敵な剣ね」とお姉さん風に言いつつ、メイはあらためて振り返る。

「耳と尻尾がブンブンしてなければ雰囲気が出るんじゃない?」

「あっ」

これではジャングルから出てきた少女が、見たことのない作りの剣に目を輝かせているようにしか見えない。

ほほ笑むレンに、メイも「てへへ」と笑ってマントをしまう。

「やはり人が多いですね」

ツバメは通行人の多さに感嘆していた。

メイン通りから一歩入れば、多くの商人が露店を開いて商売を行っている。

もちろん、行き交うプレイヤーの数も格段に多い。

混雑する中央通りを、クルクル回りながら進むメイ。

右の武器屋に目を輝かせ、左のアイテム店に「おおーっ」と声を上げる。

「あれはもう特技よね」

「はい、すごい技です」

こんな状況でも誰にもぶつかることなく人波をすり抜けていくメイの姿に、感心してしまうレンとツバメ。

「おやっ?」

そんな中でメイは、角を曲がった道の端でヒザを突いているNPCに気が付いた。

「どうしましたかー?」

大きめの白衣をまとった、少年とも少女ともとれる見た目のNPC。

これだけ大きな街の一角で、あからさまに困っているにもかかわらず、声をかける者はいない。

レンたちは少し不思議に思いながらメイに続く。

「私はトミー、植物学者をやっております」

「植物学者さんですかっ」

「はい、実はプレゼント用のめずらしい観葉植物を届けるようにと貴族の方から言われているのですが……頼んでいた業者が見つけられていないようで……このままでは誕生日に間に合わず、研究費が打ち切られてしまうかもしれないのです」

「大変だあ……っ」

「なるほどね。こんなに分かりやすいところにあるクエストなのに、どうして放置されてるのか分かったわ」

「どうしてですか?」

「このクエストをクリアした場合、もらえる報酬が『植物』関係なのよ。要するに、ハウジングくらいにしか使わない『植物』とか『種』がもらえるんじゃないかしら」

「そういうことですか」

ツバメは納得したようにうなづく。

「レンちゃん、ツバメちゃん、このクエスト受けてもいいかなぁ」

「もちろん。話を聞いちゃった以上、このままにしておくのは寝覚めが悪いんでしょう?」

「やったー! ありがとうっ!」

「それにメイがいる以上、私たちにはハウジング以外の意味も出てくるからね」

「ありがとうございます! それではぜひ、私のラボに来てください」

こうして早くも王都ロマリアでクエストを受けたメイたちは、トミーのあとに続く。

「……都会に来て最初に受けるクエストが自然に関わるものというのが、メイさんらしくて良いです」

スキップするように歩き出すメイの姿に、楽しそうに笑うツバメ。

たどり着いたのは、白色の石で造られた研究所。

鮮やかな色のツタに覆われたラボは一角がガラス張りの温室になっており、たくさんの植物が植えられている。

「すごーい……」

星のような白点が綺麗な青紫の花。

『星屑』にしか存在しない植物の並ぶラボに、メイは興味深そうに目を向ける。

「お願いしたいのは王都ロマリアの北東の山に咲く花、【ホワイトプリム】の回収になります。以前私が偶然見つけたものなのですが、この付近で咲くものではないので、特別なものと言えると思います。これなら貴族さまもお喜びになるでしょう」

「……でも、その場所に向かうにはやっかいなモンスターがいる、そんな感じかしら?」

「その通りです。冒険者の皆さま、よろしくお願いします」

「おまかせくださいっ!」

さっそく気合を入れるメイ。

生息地の場所を聞けば【帰巣本能】の効果で、すぐに方向が分かる。

「【ホワイトプリム】を手に入れていただいた際には、私が採取し、育ててきた植物、その種からとっておきのものを持って行っていただきたいと思います」

そう言ってトミーは、自信ありげに胸を叩いた。

「…………これ、植物学者もジョブとして実装しようとしてたのかしら」

その豊富なラインナップや特性に、驚くレンとツバメ。

「メイの【密林の巫女】が、少し変わってくるのかもしれないわね」

そう言って、楽しそうに笑った。