軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

280.結果発表です!

「……ほ、本当に勝てて良かった……あの展開で負けたら恥ずかしいなんてものじゃない……一生笑い者にされてたわ……っ」

闇の使徒から離れたのは、『立場』に囚われることなく力を求める覚悟をしたから。

そのためには、光の使徒との接触すらいとわない。

リズに勝利することで、そんな新設定を証明したレン。

恥ずかしさに真っ赤だった顔がようやく落ち着いて、安堵の息をつく。

「レンちゃん、すごかったねぇ」

「【タヌキの葉っぱ】を使って姿を消し、距離を取るというのには驚きました」

「手段を択ばない闇の魔導士って前フリをしてたのが良かったわね」

あらためて、深く息をつく。

「さあ、これで最後のクエストも完了ですわ」

豪商貴族の起こした戦火の証言者。

ウェーデン城にヴァイキング首領・ガーランドを送り届け、最後のクエストも無事終了。

「最後まで助けてもらいっぱなしだったな。ありがとう、最高の冒険者たちよ」

フィンマルク国軍副官はガーランドを連れ、裏切り貴族への反撃準備を始めるのだった。

『――――イベント参加の皆さま、おつかれさまでした!』

『――――ウェーデンギルドは大忙し、これにて終了となります!』

そして全てのクエストが無事片付き、大掲示板から票がなくなったところで運営のアナウンスが始まった。

『――――これからイベント終了に際して、ポイント上位パーティの表彰をいたします!』

「いよいよ来たか」

「さあどうなったかな」

大掲示板の前に集まり、賑わい出す参加者たち。

『――――第3位、1507ポイント……昼夜再逆転小隊!』

ガッツポーズする5人組のパーティに、拍手が送られる。

『――――続いて第2位、3689ポイント……闇の血盟!』

「お、おい、マジかよ……」

「トップ4人の組んだパーティが……負けたのか?」

拍手と同時に、一部のプレイヤーたちから上がるどよめき。

フィンマルクのクエストに居なかった面々は、トップチームが抜かれるという事態に驚いたようだ。

逆にヴァイキングのクエスト参加していた面々は、期待にざわつき出す。

『――――そして栄えある優勝パーティは、4008ポイント……『五月晴れ』だああああっ!!』

「「「おおおおおおおおーっ!!」」」

大掲示板前に歓声が巻き起こる。

「やったー!」

「やりましたね」

「最後のクエストが大きかったわね」

ハイタッチして、そのまま抱き合う三人。

「アサシンちゃんが先行してくれて助かったぜ!」

「あ、ありがとうございます」

フィンマルクで一緒だった面々から、次々に声をかけられる。

これまで『星屑』で周りに称えられたことなどなく、恥ずかしそうにするツバメ。

「はい! ツバメちゃんすごいんです!」

メイはそんなツバメの背中を、うれしそうに抱きしめる。

「従魔士もすごかったぞ!」

「まあ当然ですわね」

白夜はここぞとばかりに余裕のポーズで決めてみせる。

もちろんメイとツバメもさっそく隣に並ぶ。

「中二病ちゃんの指示も最高だったぞ! ありがとな!」

「中二病ちゃんはやめておきなさいよ!」

「おっとすまない……闇の使徒だったよな?」

「それは卒業したの!」

「じゃあ一体、何の使徒なんだ……?」

「何の使徒でもないのよーっ!」

全力の中二病バトルを演じたレンは、当然こうなる。

「うんうん、レンちゃんカッコよかったよー!」

「そしてメイちゃんの海竜狩りだな! あれが今回のイベント最大の要点だった!」

「ヴァイキング船落とし、最高だったよなぁ!」

「皆さんのおかげですっ! ありがとうございましたーっ!」

メイは手と尻尾を振りながら、うれしそうに飛び跳ねる。

賑わい続ける、大掲示板前。

「メイちゃーん」

そんな中、声をかけてきたのは死霊術ローチェ。そして。

引きずられるようにしてやって来たシオール。

「おつかれさまー。なんかごめんね、シオールがこんな感じで」

無表情のままうなだれるシオールの頭を、ローチェが「よしよし」となでる。

「この子、普段の我慢を『星屑』で晴らしてる感じなの。だからこっちで負けが続くと……あはは」

ブチ切れ武闘家モードのことを差して、苦笑いのローチェ。

どうやらシオールの我慢がきかなくなった時には、ローチェが面倒を見ているようだ。

「ローチェさんも、なんだか雰囲気が違いますね」

「んー、シオールがこういう感じの時は私がちゃんとしないとだからね」

そう言って、優しく笑ってみせるローチェ。

すると死んだ目のまま、シオールがメイを見る。

「……メイさん、あなたは私みたいにならないでね……いつも素敵な……」

「お姉さん……?」

「笑顔の女の子でいて……ぐふっ」

「おねえさぁぁぁぁん!」

「素敵なお姉さんを続けるのも、大変なのね」

「普段は色々と耐え忍んでいるのでしょう」

レンとツバメは、感慨深そうにうなずく。

「そっかぁ……でも、大変な毎日を乗り越えているシオールさんもやっぱり素敵ですっ!」

「…………メイちゃん」

「はい!」

「もう私と……結婚して」

「ええええええーっ!?」

シオールは自身に向けられた真っすぐな笑顔に、うっかりとんでもないこと口走る。

「ちなみにメイちゃん……あの大きな狼は親御さんかしら?」

「違いますっ! 育ての親はトカゲなんですっ!」

「……どうしてこうなるのよ」

おかしなすれ違い方をする二人に、レンは思わずツッコミを入れたのだった。

「ツバメさんや。身長体重スリーサイズを教えてもらえませんかな?」

「……え?」

いつの間にか、興味深そうにツバメを見つめていたのはなーにゃ。

「三体目のホムンクルスを……最高のものとするためにっ」

「っ!?」

なーにゃはツバメの身体に手を回すと、「なるほど……」と各所のサイズ感を計り出す。

夢中で目を輝かせるなーにゃに、ツバメはされる一方だ。

「ナイトメア、貴様は本当に我らの遥か先を行っていたのだな……」

そしてレンのもとにやって来たのは、兜を外した黒神リズ・レクイエム。

金色の髪をツインテールにした、華のある少女。

「ま、まあそういうことね。ええと……闇に目を囚われないようにってことよ」

「さすがだ」

そう言って、薄くほほ笑む。

「……今回は敗れたが、必ずまた力をつけて戻ってくる。だから……」

そこまで言って、リズはわずかに視線を外してつぶやく。

「その時はまた……一緒に戦って……くれ」

「もちろんよ。説明が足りないままいなくなって悪かったわね。それと……心配してくれてありがとう」

そう言って笑い返すと、今度は真面目な顔でリズを見据える。

「それとリズ、正気に戻った時はいつでも相談に乗るわ」

「正気?」

「赤面の日々との向き合い方もね。いきなり全部を捨て去って『昨日までの自分は死にました』って言うのは、すごく難しいから」

「……?」

「とにかく、私のこの言葉を思い出したらすぐに呼んで。一人でいたら間違いなく頭を抱えてのたうち回ることになるから」

「あ、ああ」

「あと、他の使徒たちにもよろしくね」

見事に疑惑を晴らし、事態を丸く収めたレン。

安堵に大きく肩の力が抜ける。

「ああ、しっかりと説明しておこう……他の6人には」

「……えっ!?」

思わぬ言葉に驚嘆する。

「ろ、6人!? ちょっと待って! いつの間に2期生オーディションが行われたのよ!?」

「皆、ナイトメアの失踪には疑念を抱いていてな」

「お願い! お願いだからしっかりと説明しておいて!」

いつの間にか増えていた闇の使徒、嫌な予感にレンは震える。さらに。

「……まさかこのわたくしまで手中に収めるつもりだったとは、驚きましたわ」

ここぞとばかりに白夜までもがレンに迫りだす。

「あ、あれはその……」

「ですが、そうはいきませんわ。私はさらなる力を得て、次こそ貴方の、闇の使徒の本性を暴いてみせます!」

「ほう、貴様にできるか?」

不敵な笑みを浮かべてにらみ合う、白夜とリズ。

「なんかこっちも面倒なことになってるー!?」

生まれた新たな状況を前に、レンは白目をむいたのだった。